国債の大量の発行によって、国債の買いが少ない場合、流通利回りとしての長期金利は上昇する。国債需要が供給に追いつかなければ、国債の価格が下落し、国債の額面金利を国債の流通価格で割った利回り率は上昇する。よって、長期国債の大量発行が見込まれれば、長期金利の上昇を抑える意味でも、国債の大量買付けが臨まれる。
インフレ(ハイパーインフレ、スタグフレーションは除く)時には、金融政策として、法定準備率の引き上げ、政策金利から公定歩合の復活、長期国債と短期の国債などのスワップ(交換)など伝統的な政策が打てる余地がある。伝統的な政策が打てないのは、インフレ=景気過熱の状態が、90年代後半から日本経済にはないという「長期」の経済状態が存在するからである。ここに長期とは、構造的な長期停滞というより、景気循環の促進に政策ミス、政策失態が続けられたことが、原因として大きい。
米国のFRBの長期国債の大量の買取策は、大量に発行されるだろう国債の予想金利を下げる働きをする。それを予め読み込んだ上での予想実質金利の低下をマイルドなインフレ率を想定しながら実施したものである。つまり、FRBは、マクロの経済の安定を主眼に、量的金融緩和へ踏み込んだ。長期金利上昇を防ぐ意味での長期金利の買取でもある。長期金利が上昇して、経済環境が良くなるなど言うマクロ経済学など社会通念では聞いたことはあるが、学として聞いたことがない。FRBはバランスシート毀損の危機より、マクロ経済の安定を政策優先している。またバランスシートの毀損に対して政府保証などの政府間との協定も結んでいる。
株価の時価評価の変更、金融危機時での自己資本比率の規制の可変性の導入など不況期と好況期での可変性がある「規制」が必要とされ、バーナンキはすでにその発言をしてる。遅かれ早かれその対策が打ち出されるだろう。
こういった対応策の稚拙さが米国と日本の中央銀行の差であり、また、EUの中銀行政策の実効性不備の社会での金融政策のあり方よりも、劣る日本の金融政策である。この稚拙な金融政策は、バブル崩壊が始まった時期から、今まで続いている。米国の景気が好調のとき、日本の景気がそれほどでもなかった主因は、金融政策の稚拙さにある。
国債買い増し求める声じわり 日銀、内規たてに防戦
政府の借金である国債を、日本銀行はどこまで買い入れるべきなのか。国債増発が確実になる中で、政界の一部には日銀に買い増しを求める声が出始めた。日銀は、購入に上限を設ける「銀行券ルール」をたてに「いま以上は無理」と主張するが、財政規律の「最終防衛ライン」としては、やや心もとない。
与謝野財務相は10日、09年度補正予算案に10兆円以上の国債の追加発行を盛り込む意向を表明した。大量の国債増発は、長期金利の上昇を招きかねない。
一方、日銀は3月の金融政策決定会合で、国債買い入れ額を月4千億円分増やし、過去最高の1兆8千億円とした。市場の安定に「先手」を打ってくれた日銀は、政府にとってありがたい援軍だ。
与謝野氏は「日銀にお願いすることは一つもない。全面的に信頼している」と蜜月ぶりを強調。現時点では、これ以上の買い入れを求めたわけではない。
しかし、国会ではもう一段の買い増しを求める声が出ている。9日の参院財政金融委員会で民主党の大久保勉議員は「今は非常時だ。銀行券ルールの撤廃に踏み込むべきだ」と主張した。
「銀行券ルール」とは、日銀の長期国債の保有残高を、世の中に出回っているお札(銀行券)の発行残高の枠内に収めるという日銀内の取り決めだ。直近時点では銀行券発行残高77兆円に対し、国債保有残高は43兆円で、余裕があるように見える。だが、これから国債を毎月1兆8千億円買い入れると、満期がきた国債の償還を計算に入れても、あと4~5年で「ルール」の上限に達するという。
日銀は、長期国債の保有残高が大幅に増えることには、問題があると説明する。
一つは、長期国債ばかり大量にもっていると、将来金融引き締めに転じたときに、市場で国債を大量に売却せざるを得ず、長期金利が跳ね上がるおそれがある――という点だ。金融調節を円滑にするためには、国債ばかりため込んで身動きがとりにくくなるのは避けたいという。
もう一つは、野放図に国債を買い増せば政府の財政規律がゆがみ、急激なインフレを起こしかねないとの懸念だ。日銀は、もとは内部の暗黙の取り決めだった「銀行券ルール」を、量的緩和政策の導入を決めた01年3月の決定会合で、初めて明文化。資金の大量供給に合わせて「国債の買い増しを求める声が強くなるリスクがある」と見て、「防波堤」の役割を担わせようとした。
最近になって、日銀はそのトーンを高めている。白川総裁は政府との協調姿勢をアピールする一方で、「(国債買い増しが)財政負担の軽減が目的と見られると、マーケットに悪影響を与える」とたびたび強調。山口広秀副総裁も先月の講演で「銀行券ルールを逸脱しないことが、財政ファイナンスと認識されない金融調節だ」と述べた。
ただ、銀行券ルールには法的根拠はなく、日銀自身も「専門家以外には分かりにくいルール」(幹部)と認める。市場でも「ルールを超えて国債を買い入れても、直ちにインフレになるとは思えない。次の経済対策の時に、日銀券ルールは撤廃されるだろう」(野村証券の松沢中チーフストラテジスト)といった見方が出ている。
危機が深まるなかで、米英の中央銀行も国債の大量購入に踏み出している。日本の財政法は、日銀が国債を政府から直接引き受けることを原則禁止しているが、一方で国会の議決があれば引き受けも可能、とのただし書きがついている。国債買い入れをめぐって政府と日銀はどこで一線を引くべきか、守るべきルールは何か、改めて確認すべき時期にきている。(堀口元、織田一)
◇
日本銀行が国債買い入れ額の大幅増額を決めた3月の金融政策決定会合で、財務省や内閣府の出席者からも買い入れ増額を支持する意見が出ていたことが、10日公表された議事要旨で明らかになった。
3月17、18の両日開かれた会合では、毎月の国債買い入れ額を4千億円増額し、月1兆8千億円とすることを全員一致で決めた。議事要旨によると、財務省からの出席者は、政策委員の国債買い入れ増額の議論を受けて「日銀は長期国債買い入れの増額など、積極的な資金供給を行い、資金面から経済を下支えして頂きたい」と求めた。政府の出席者は議決権は持たないが、会合で意見を述べることができる。
政策委員の議論では、多くの委員が円滑な資金供給のために長期国債の買い入れ増額をすべきだと主張。複数の委員は「市場安定に向けた日銀の強い意志を示すため、できる限り大幅な増額が適当だ」とも述べた。 asahi
岩田一政は、まともなマクロ経済学者の一人である。田中と岩田の失業対策は、ほとんど同じ発想からされているものと思われる。最大の失業対策、ないしは雇用対策は、直接的な制度変更だけではなく、景気対策によることが望ましい。失業率の高い時期でのGDPによる財政出動の換算は、失業率の高いままの経済成長で設定すると有効需要の創出とは見合わない失業率の高止まり経済を招く弊害があると田中は指摘。
「ポスト麻生の経済政策を吟味する(再掲載)」
ここでは、日本版ワークシェリングと民主党の給付付き税額控除の吟味がされていてるが、後者については田中はおおよそ肯定的である。日本版ワークシェアリングの結末は、政府と日銀の無策がこのまま続けばという条件付で、おおよそマクロ経済的に悲惨な結果を招きかねないことが指摘されている。
そこで先だって窃盗容疑で逮捕された高橋洋一の「“給料半減”時代の経済学(2)」も大変参考になる。これを読むとまともすぎる政策提言が掲載されていて、高橋の逮捕はこうしたまともな政策提言、平易な言葉で本質を突くマクロ経済解説がなされないことになる。それを雑誌などのメディアで見ることが出来なくなる。これが何よりも、残念であると同時に社会的な損失になる。
おそらく、マクロの経済学を理解しがたいものとして拒否する人たち、あるいは、経済学を根本的に容認できない人たちには、社会通念上容認しがたい理屈が展開されてると思われるだろう。
が、政府が経済政策として社会介入を全くしないという自由主義的イデオロギーによる政策だけでは、ここのところの需要不足の世界同時「不況」からの脱出も短期での脱出は難しい。
現状は平常時(平常時は、ここ15年ほどのことではないが)ではなく非常時であり、非常時の財政の出動(一部の規制緩和、減税を含めて)と超金融緩和(市場からの中堅、中小企業、直接の手形の買い付け、社債の大量購入、株の購入、地方債の購入、政府資産の購入によって政府債務の削減など・・。)によるデフレの完全脱却と有効需要の創出による不況脱出策が失業率向上を避ける一番まっとう、有効な方法なのである。
すでにこの税制改正のことは、自動車業界は織り込み済みで販売量向上を販売店は期待しているだろうが・・・・・。但し、日本は長引くデフレーションで、名目での国民所得がほとんど増えていないし、今回の不況で残業代なども削減されている。ドイツと同じ条件にしてもドイツほど国内販売がかなり大きく増えるとも思えないが・・。いずれにしても、社会的厚生を達成するための税制ではないが、「景気」刺激策のひとつにはなる。
ま、ともあれ、環境車であることで経済成長を落とさず二酸化炭素軽減する方法の一つでもあるだろう。
是非はともかく高速道路1000円政策、定額給付金の実施などで、また麻生政権の支持率が、上がったが、これでまた上がるだろう。民主党小沢の西松建設から受けた献金を、西松のダミーの政治団体から受けたとする疑惑と代表辞退をしない往生際の悪さからも麻生政権支持率がじわりと上がるだろう。さらに加えて、北朝鮮のミサイル発射問題で、強硬姿勢を示す麻生政権の姿勢が、形はどうあれ一般に好感されることになるように思う。5月解散なんて非常に考えにくい。
3月30日16時55分配信 読売新聞
警視庁練馬署は30日、温泉施設のロッカーから財布や腕時計を盗んだとして、元財務官僚で東洋大教授の高橋洋一容疑者(53)を窃盗容疑で書類送検した。
同署幹部によると、高橋容疑者は24日午後8時ごろ、東京都練馬区の温泉施設「豊島園庭の湯」の脱衣所で、区内に住む男性会社員(67)が使っていたロッカーから、現金約5万円が入った財布や、数十万円相当のブルガリの高級腕時計を盗んだ疑い。ロッカーは無施錠だったという。
男性の通報で駆けつけた同署員が調べたところ、防犯カメラに高橋容疑者に似た男が写っていたため、浴場から出てきた高橋容疑者に事情を聞くと、盗んだことを認めたという。調べに対し、高橋容疑者は「いい時計だったので、どんな人が持っているのか興味があり、盗んでしまった」と供述しているという。
逮捕しなかった理由について同署は「証拠隠滅の恐れがないと判断したため」としている。
高橋容疑者は小泉政権で竹中平蔵・元総務相のブレーンとして郵政民営化などを推進。安倍政権では内閣官房参事官として公務員制度改革の青写真を描いたが、2008年3月に退官。「さらば財務省!官僚すべてを敵にした男の告白」などの著書がある。東洋大は「教育に携わる者として許し難いことであり、厳正に処分を行いたい」としている。
これが事実だとすると、なんとも情けないやつだなぁということになる。高橋洋一のマクロ経済の言論には、関係者が是非はともかく注目していたのに・・・・・。植草といい、高橋といい、どうにかしてるな奴らマクロ経済学者は・・・・。
このような悪の循環、負の循環を描く不況に落ち込みやすい最悪の不況の事態となる。年率換算で-12.5パーセントの実質経済成長率だといわれる不況である。ここにデフレ圧力が強力に圧しかかれば、生活を脅かす経済状態が次第にやってくることは目に見えている。
物価横ばい・買い控え、迫る「デフレ」(1/2ページ)朝日新聞
日本経済に物価下落による経済の縮小という「デフレ」の影が差し始めた。今年に入ってから消費者物価は伸びが止まり、下落局面入りする可能性が強まっている。世界的な景気悪化に底打ちの兆しはなく、消費者の買い控えが物価の下押し圧力となって、企業収益や雇用情勢をさらに悪化させかねない。
総務省が27日発表した2月の全国消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除いた総合指数が100.4と、前年同月比で2カ月連続の横ばい。食品やエネルギーを除いた指数は2カ月連続で前年を下回り、物価の下落基調が鮮明になっている。
昨年の物価上昇の要因は、原油をはじめとする資源価格の高騰だった。投機資金の流入で、国際指標となる米国産WTI原油の先物価格は昨夏に1バレル=140ドルを突破。ガソリン価格も一時1リットル=200円を上回り、物価上昇率は2%以上となった。
だが、昨年9月の「リーマン・ショック」以降は、世界的な景気悪化による需要減もあって資源価格が急落。今後も政府の小麦売り渡し価格の引き下げや電気料金の値下げが見込まれ、物価を押し下げる大きな要因になる。
ただ、こうした資源高の反動が消える今夏以降も、消費者物価は下落基調が続くと、多くのアナリストは予想する。景気後退の長期化で需要の低迷が続けば、物価を下げ続ける要因になるためだ。
4月から発表が本格化する上場企業の09年3月期決算は大幅減益が確実で、今春闘でも定期昇給の凍結を打ち出す大手企業が相次いだ。今後は失業率の上昇も懸念される。消費者心理がさらに悪化すれば、企業は値下げに走らざるをえない。
今月に入ってイオンやイトーヨーカ堂などが店頭価格の引き下げを加速するなど、すでに小売業界では価格競争が本格化。全国に先行して27日発表された3月の東京都区部の消費者物価指数は、食品・エネルギーを除く指数が3カ月連続で前年同月比マイナスとなった。
大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「企業収益の悪化が続けば、秋以降も物価下落が長引きかねない」と指摘。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「企業の生産減に加え、雇用の悪化もこれから急速に進む。1%以上の物価下落が続く可能性が高く、税収減といった影響も出るだろう」とみている。(橋本幸雄)
デフレ再燃、懸念さらに 物価横ばい 続く雇用不安 産経ビジネスアイ
総務省が27日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除き、前年同月と同水準となり、2カ月連続で横ばいになった。景気悪化による実需減少から、メーカーや小売店では値下げの動きが止まらない。3月のCPIは「マイナスに転じる」との声も出ており、デフレ再燃の懸念が一段と強まっている。
≪止まらぬ値下がり≫
販売不振などを背景に家電や自動車の価格は下落が続き、富士通関係者は「売れ筋のノート型パソコンは毎年1万円ほど値下がりしていたが、今年は3万円弱も下げた」と漏らす。
2月のCPIではノート型パソコンが45.2%、薄型テレビが26.8%値下がりした。量販店からは、「他店や市場価格をみて1円単位で価格設定している」(ビックカメラ)との悲鳴もあがる。
不振にあえぐ自動車市場で話題をさらうハイブリッド車。ホンダが割安な新型車を投入したのに対して、トヨタ自動車は対抗値下げに踏み切る。「市場が動かないとどうにもならない」(トヨタの渡辺捷昭社長)という苦肉の策だ。それだけに、“薄利多売”による収益悪化は避けられそうにない。
≪過去最大の減少≫
こうした動きは、経済産業省が27日発表した2月の商業販売統計にも表れた。卸売りと小売りをあわせた商業販売額は、前年同月比21.5%減と3カ月連続で過去最大の減少幅を記録。とりわけ個人消費に直結する小売りは、5.8%減と6カ月連続で前年割れしている。
家具販売チェーンのニトリのように、昨年5月から4回値下げを実施した一方、2009年2月期決算で22期連続の増収増益を達成した例もなくはない。しかし、同社や「100円ショップ」の好調は過去のデフレ局面でもみられた現象でもある。
物価上昇率は昨年8月の2.4%をピークに縮小。1~2月は上昇率ゼロが続いたものの、エコノミストの間には「3月はマイナスに転じて、夏場にかけて下落幅が拡大する」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との声が大勢を占める。
民間シンクタンク36社の10年度の完全失業率の平均予測値は5.5%。昨年10~12月期の4.0%から急上昇するとの見方も強い。与謝野馨財務・金融・経済財政相は「(日本経済が)デフレ状況と表現するにはあまりに早い」と指摘したが、デフレ突入の足音が高まっているのは間違いない。(田端素央)
日経平均は急反発、米住宅など景気底入れ期待強まる
[東京 26日 ロイター] 東京株式市場で日経平均株価は急反発。80円程度と推定されている配当権利落ち分を考慮すると実質的な上げ幅は前日比200円を超えた。
予想を上回る2月米新築住宅販売や米耐久財受注でマクロ環境の改善期待が強まり日経平均先物やハイテク株が買われた。海外勢の売り越しが継続する一方、公的年金の買い観測が引き続き出ている。国内機関投資家がヘッジ売りを買い戻しているとの指摘もあった。
東証1部騰落数は値上がり1000銘柄に対して値下がり604銘柄、変わらずが96銘柄だった。
反騰相場に勢いがついてきた。配当権利落ち分をその日のうちに埋めるのは3年ぶりで「新年度相場への期待感が高まっている」(大手証券)という。東証1部売買代金は1兆2396億円と膨らまず参加者が多いわけではないが、「証券会社の自己売買部門などが強気になってきた」(準大手証券エクイティ部)との声が出ている。海外勢の売り越しは続いているものの、公的年金の買い観測が引き続き出ており、「売り込みにくい」(国内証券ディーラー)状況だ。株価反発基調の継続に、7000円割れなどを警戒してヘッジ売りを入れていた国内機関投資家などが買い戻しているとの指摘もあった。
買い方を勢い付けている要因のひとつがマクロ環境への改善期待だ。
米国で2月の新築1戸建て住宅販売が前月比4.7%増と10カ月ぶりの高い伸びを示したほか、2月の耐久財新規受注が予想に反して前月比3.4%増と増加に転じたことで、景気底入れ近しとの期待が強まっている。特に米住宅市場関連の指標では、1月米住宅価格指数、2月の米住宅着工件数、2月米中古住宅販売で前月比プラスが続いており、前年同月比ではまだ大幅減少が続いているものの、今回の金融問題の震源地である米住宅市場に変化の兆しが出てきた可能性があるとの声も出始めている。
31日発表予定の1月S&Pケース・シラー米住宅価格指数への注目度が高まってきたという。
ただファンダメンタルズの転換が確認できたわけではなく投資家の多くは「半身」の姿勢を崩していない。需給面でもリバランスを進める公的年金と短期資金の買い以外に実需の買いが増えているわけではなく不安定な状況が続いている。市場では米国の大手金融機関や日本の3月期決算企業の発表がある4月末から6月にかけて株価は再び調整局面を迎えるとの見方が多い。「市場参加者の多くはいつ利益確定売りを出すかのタイミングを図っている。新年度のニューマネーが入ってくるとしてもそれからだろう」(準大手証券エクイティ部)との声が出ていた。
個別銘柄では、キヤノン<7751.T>、ソニー<6758.T>など主力ハイテク株がしっかり。連結子会社の2社が第三者割当増資を行い資金調達すると前日発表したエルピーダメモリ<6665.T>はストップ高となった。みずほフィナンシャルグループ< 8411.T>三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>などの大手銀行株はまちまち。
(ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)
ま、こんな具合で、市場関係者の見方が、ほぼ正鵠を得ているのだと思う。というのも、日本の株価上昇の転換要因が、ほとんど見当たらないからである。確かに、日銀は長期国債の買取額の増額を述べたが、その発言のあとで、「この増額が、日銀の限度である。」との白川総裁の発言があった。この発言は、市場の期待を大きく裏切る発言内容でせっかくの政策効果を削減する効果しか持たない。
米国の株価上昇は、政策の転換によって齎されたが、日本の株価上昇は、市場関係者の認識が示すように、米国の景気後退への歯止めとなる住宅着工数の増大、米国生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価指数の2ヶ月連続での上昇など経済の基調の転換を背景にした米国株価上昇を受けての「上昇」要因が主因だろう。日本での株価上昇は、副次的に日銀の長期国債の買い取り策が、挙げられるのではないだろうか。
まとめれば、米国は政策転換による株価上昇相場、日本の株価は米国の株価次第の他力の状況は、変わらない。とすれば、米国株価は上昇トレンドに乗ったから、株価という資産価格が上昇していけば、その基調は実体経済にも好影響を与え、米国需要が次第に回復へと向かう機運を与えるだろう。米国の総需要が回復すれば日本の米国需要依存の輸出産業の販売量は、これから上昇へ向かうともいえる。というのも、日本の輸出産業の経常利益比率は、主要企業のほとんどが70㌫以上を輸出に頼っている状況だといわれているからである。
こうした産業構造は、2、3年で転換できるものではない。円安政策は功を奏する通貨供給の拡大できる状況でもある。ガイトナー財務長官(だったヶ)が、強いドル策を打ち出しているのでもあるから、日本側も不胎化である「信用収縮」を伴わない円売りドル買いの円安政策が展開できる国際政治状況にもあると思われる。何よりも今回の世界同時不況以前では、世界経済は名目で3㌫ほどの成長率で好況、日本経済は、名目の成長率が実質のそれを上回ることのない不調であったのだから、外需依存の傾向は収まるものではない。
米国株、反発 ダウ89ドル高 経済指標好感、一時下落も買い戻し
【NQNニューヨーク=横内理恵】25日の米株式相場は反発。ダウ工業株30種平均は前日比89ドル84セント高の7749ドル81セント、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は同12.43ポイント高の1528.95で終えた。経済指標を好感した買いが入った。午後には金利上昇などを嫌気した売りが出たが、取引終了間際に上げに転じた。
午前中は買いが膨らんだ。朝方発表された2月の耐久財受注額が市場予想に反して、前月比で増加。午前10時ごろ発表された新築住宅販売件数も市場予想を上回り、7カ月ぶりに前月比で増加した。23日に発表された中古住宅販売件数が市場予想を上回っていたこともあり、住宅市場底入れ期待が強まった。住宅株に加え、一般産業や素材株などに買いが入った。金融株にも上げが目立ち、ダウ平均は203ドル高まで上げ幅を広げる場面があった。
午後には下げる場面があった。午後一時ごろに発表された米5年物国債の入札が低調だったことを受け、米長期金利が上昇。同日には英国でも入札が不調に終わっていた。国債の需給悪化が続けば、財政支出拡大に下支えされた景気回復への道筋が描けなくなるとの警戒感につながったという。相場はここ2週間半で大きく上げており、利益確定や持ち高調整の売りが出た面もあった。その後、取引終了間際には再び買い戻しが入ったといい、相場は上げに転じて終えた。
米、不良資産買い取り発表 最大1兆ドル規模
【ワシントン=大隅隆】ガイトナー米財務長官は23日、政府と民間投資家が共同で金融機関の不良資産を買い取る枠組みを発表した。民間投資家の出資額に応じ政府が最大1000億ドル(約9兆7000億円)の公的資金を拠出。保証や低利融資と組み合わせ、5000億―1兆ドルの不良資産を金融システムから分離する枠組みだ。ローン債権の場合、買い取り価格を投資家の入札で決めるのが特徴で、損失負担を軽減して民間投資家の参加を促す。
オバマ米大統領は同日、記者団に「今回の取り組みは景気対策、住宅市場活性化策などと並び、経済再生へ向けた重要な柱。融資機能の回復が目的だ」と語った。米政府は主要銀行への追加資本注入も実施。金融機関の資産健全化と資本基盤の底上げを通じ、金融システムの健全化と信用収縮の解消を図る。(23日 22:57)
米住宅販売、2月4.7%増 新築戸建て
【ワシントン=米山雄介】米商務省が25日発表した2月の新築一戸建て住宅の販売件数は、季節調整済みの年率換算で33万7000戸となり、前月に比べ 4.7%増えた。前月比プラスは7カ月ぶり。件数は1963年の統計開始以来、過去最低だった1月に次ぐ低水準だが、米景気後退の震源である住宅市況に下げ止まりの可能性が出てきた。
1月の販売件数も当初発表の30万9000戸から32万2000戸に上方修正した。2月は30万戸への減少を見込んでいた市場予想平均に反して増加となり、株価の上昇材料となった。(07:00)
米市場の心理好転で株高、円債市場にくすぶる国債増発懸念
[東京 26日 ロイター] 26日の東京市場は、株高/債券安の展開となった。米財務省が発表した不良資産買い取り計画への期待感から米株式市場のセンチメントが好転し、新築住宅販売や耐久消費財受注のデータがよかったことで、東京市場でも買いが優勢になっている。
一方、円債市場では追加経済対策の財源として国債増発懸念がくすぶり、長めの金利が上がりやすくなっている。長期金利は約1週間ぶりに1.3%台に上昇した。ただ、米経済の先行きへの楽観論には危うさが付きまとっているとの見通しも出ており、このまま株高が進むとの見方には懐疑的な参加者が少なくない。
<2月米新築着工・耐久消費財受注が好調、日本株にも影響>
26日の日経平均は反発している。2月米新築住宅販売や米耐久財受注が事前予想を上回り、マクロ環境の改善期待が高まった。80円程度の配当権利落ちを考慮すると、日経平均の実質的な上げ幅は大きいとの見方も出ている。「買い戻しが中心と思われるが、主力株の一角が底堅く、新年度の運用資金も流入しているようだ」(東洋証券・シニアストラテジストの児玉克彦氏)とみられている。
売買主体は年金など国内勢の買いに対し海外勢の売りという構図は変わっていない。海外勢の売り圧力が低下しているとの見方はあるものの、財務省が26日発表した3月15日─21日の対外対内証券投資によると、海外勢は日本株を6241億円売り越している。売り越しは16週連続。新光証券・エクイティ情報部マーケットアナリストの高橋幸男氏は「海外投資家の売りが3月のSQ通過後もなかなか止まる気配がないことが気がかりだ。ヘッジファンドを含めてリスク資産の圧縮が依然、続いているとの印象」と述べている。
複数の市場筋によると、3月に入ってからの買い主体は公的年金だという。年度末を前に買い残していたボリュームが当初の購入計画部分に上乗せされ、市場の見通しを上回って日本株を買ったのではないかとみられている。
こうした市場の状況に関連し「日本の実体経済に明るさがみられないほか、政局の空転などもあり、海外勢からの信頼を得られていない。PKO的な買いだけで株価を支えるのは限度がある」(東海東京証券・エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声も出ている。
また、2月米新築住宅着工が増加したことに関しても「1月の急落幅が大きく、そこからの戻しが少しあっても、直ちに回復基調に入ったとみるのはかなり楽観的。価格が相当に下がった効果は出ているものの、もう少し見ないとこの先の基調を判断できない」(東海東京証券・チーフエコノミスト、斎藤満氏)という見方も東京市場のエコノミストの中では多い。
<国債現物8―9年ゾーンに売り>
円債市場では、長期金利の代表的な指標となる10年最長期国債利回りが、18日以来約1週間ぶりに1.3%台に上昇。手前から長期ゾーンにかけた金利差が広がり、イールドカーブは、ややスティープニングする形状となった。
国債先物の中心限月6月限は、前日比0.50円を超す下落となり、138.50円を割り込んで推移する場面もあった。
邦銀の運用担当者は「3月決算期末を控えた薄商いの中、現物市場で残存8―9年に投資家の売りが出たため、先物相場の大幅下落につながった」と指摘する。
財務省が25日実施した2年利付国債(279回債、表面利率0.4%)の入札で買った銀行勢が、5年ゾーンの保有残高を減らす入れ替え目的のフローが観測されたことも、先物相場が下落した要因との見方もあった。
もともと割高に位置していただけに「テクニカル上の売りが出やすかった」(前出の邦銀)とみられており、短期売買を狙った参加者の売りも巻き込んだという。
日銀の「緩和姿勢」が浮き彫りになる一方、長めのゾーンでは先行きの増発観測がくすぶっている。三菱UFJ証券・シニア債券ストラテジストの長谷川治美氏は「年度末を越えればTIBOR(東京銀行間レート)がもう少し下がりそう。一方、長いゾーンは、海外のイールドカーブに振らされたり、追加経済対策に伴う国債需給への懸念でリスクプレミアムが残る。新年度入り直後は、イールドカーブは今よりもいく分スティープしそうだ」と話した。
外資系証券の債券ディーラーは「あす27日にも09年度予算が成立し、4月に入れば追加経済対策や総選挙の時期などの話題も浮上しそうだ」という。
27日には消費者物価指数が公表される。国内証券の円債関係者は「米住宅市況に下げ止まりの期待が浮上する中、日本でも下げ止まり感がみえてくるかどうかが焦点。下げ止まり感がみえてこないなかで物価が下がってくるような状況だと、デフレスパイラルリスクも視野に入りかねない。春先はこうした点の見極めが重要になってくる」と話す。
(ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 宮崎 亜巳)
FRBの6月まで30兆円の長期国債買取の発表、財務当局の不良債権の買取の発表など不況対策の次から次への政策実施、公表によって米国株価が上昇に転じた。その後を追うかのように、水準は低いものの新規住宅着工数の増加など経済にとってそこが見え始めた指標が目立つ。
株価はこれから上昇トレンドに乗る。外政的なショックが無ければ、大部分のエコノミストの上昇懸念を裏切って、トレンドは上昇への傾向を持つだろう。1930年代の世界恐慌からの脱出はFRBの果断な国債買取緩和政策からだった。
FRBの30兆円もの長期国債の買取、さらに必要ならその増額もありえることのバーナンキの発言によって、通貨供給の増大を保証する。こうした一連の策の発動と恒常性期待を裏切らない発言は経済的好循環をもたらす。米国株価は、政府、FRBの政策ミス、あるいは外政的ショック(原油高、資源高などがなければ)確実に上昇トレンドに乗る。
金利下げるより資金供給を重視 山口日銀副総裁が見解
2009年3月25日21時37分
日本銀行の山口広秀副総裁は25日、北海道小樽市内で開いた懇談会であいさつし、当面の金融政策について「金融市場の安定化策と企業金融の円滑化策を中心に対応していくと思われる」と述べた。年0.1%の政策金利を引き下げるよりも、金融機関を通じて国債や社債、コマーシャルペーパーを買い切って市場に大量の資金を供給することを重視する考えを示した。
日銀と同様に米英中央銀行が国債の大規模な買い入れを決めたことに触れ、「各国中央銀行は未踏の領域に踏み込んでいる」と位置づけた。一方で、「各国の政策はショックを一時的に緩和し、大きな落ち込みを防ぐ時間稼ぎの役割しか果たさないことは、忘れてはならない」と強調。09年度後半以降に海外経済が減速局面を脱する、との従来の日銀の見通しは「不確実性が非常に大きい」とした。
ん、大きな落ち込みを防ぐの役割を持っているのが、日銀や政府政策ではないのだろうか?それとも、落ちるところでまで落とすのが、政府や日銀の政策当局者の役割だというのだろうか?
こんなにマクロ経済センスがあったんだと見直したいといいたいところだが、政府紙幣の発行には、断固反対だと述べたのはいただけない。すぐさま反対だと述べるのではなく、日銀の長期国債買取による量的金融緩和策の発動次第であるとか、検討してみる価値はあると述べるべきであった。金融政策の重要性を理解しているなら、そのように述べることも出来たはず。この点では、大きな減点で、政策ミスに匹敵する発言である。
さて、そこで与謝野の発言の検討だが、6㌫減といえば、世界同時不況にある先進国の中でも最低の成長率であるだろう。こういった事態を誰が招いたのか、与謝野は言及すべきであったのだが、金融政策の不始末が招いたとは彼は思ってはいないのだろう。であるから、その発言はでてこないことになる。
与謝野さんは、人格的には不埒な政治家の中でも特段に「誠実」である人であることは、誰もが認めるところだろう。それだけに、その政策手腕に疑問符がつくことが、非常に惜しいところなのだ。
6㌫減を回復するには、GDP、すなわち国民所得でいえば30兆以上になる。これを財政出動で補うという発想だけでは、旧来の小渕政権下での自民党の景気回復策とほとんど変わらない。30兆ほどの国債発行が必要となる。これを日銀が引き受けるという荒業を掛けるという政府と日銀との政策協定が必要となる。景気対策といえば、政府側だけの課題だと考えるのではなく、金融政策との会わせ技が必要となる。特に、デフレと不況の合作である日本経済には、それが特段に要請されることなのである。
政界経済は、米国、英国の長期国債買取というゼロ金利の下でのデフレ回避に、景気刺激へ金融緩和へと動き出している。世界経済は未だデフレではない。金融危機の回避のための迅速な資本注入などによって金融クライシスの回避がひとまず成功。そのため、実体経済への影響は極力少ないものとなっている。金融危機は危険性は減少している。それゆえに実体経済のデフレと不況の共存の状態には、世界経済は陥ってはない。金融緩和が続行される中、長期のデフレのまま、陽炎景気という格差型景気回復の脆弱な経済性向を持った日本経済に、米国発の需要削減による大きな不況の波が襲った。それであるから、日本側としては、デフレの脱却と不況の対策は、今まで以上の緩和策が必須である。このことは、当然のマクロ経済認識である、といえる。こういった二重の負荷を正当な経済認識と妥当なマクロ経済政策で乗り切る以外方法は、全くない。
とにもかくにもデフレの脱却と不況の始末を同時になさなければならない。追加経済対策だけでは、デフレは脱却できない。不況の始末は、追加経済対策と金融の更なる緩和によるしかない。
09年度成長率「6%減でもおさまらない」 与謝野経財相
与謝野馨財務・金融・経済財政相は22日のテレビ朝日番組で、2009年度の実質国内総生産(GDP)について「後半によほど改善しなければ、(前年度比)6%減でも収まらない」と語り、大幅なマイナス成長に陥るとの見方を示した。実質で0.0%増とした政府経済見通しは「4月にかけて改定する」と述べ、大幅に下方修正する可能性を示唆した。
日本の実質GDPは国際通貨基金(IMF)が19日、09年の暦年ベースで前年比5.8%減になるとの予測を発表した。経財相は番組でIMFなどの厳しい予測を紹介しつつ、景気は「そんなに良くなる傾向はない」との見方を示した。
政府が09年度予算案の前提として1月に閣議決定した経済見通しは実質GDPが前年度比0.0%増。一方で輸出や生産は昨年末から政府の想定を超えて落ち込んだ。日経グループのQUICKがまとめた民間調査機関18社による最新の予測は平均で実質4.3%減。政府見通しとの差は大きい。 (21:01)nikkei