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近藤駿介がまともな新首相の実態を示しているぞ。円高が有利だとか、米国の没落だとか、増税による震災復興だとか頓珍漢なマクロ経済学者などの言い分など「誠実」ではあるが、非常に危険な「政策」なのだということを気づくべきのだが・・・・。
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 8/11付けの朝日新聞。ポールクルーグマンの格付け会社、P&Gの格付けの出鱈目加減の指摘、米国の国債の「信任」についての懸念することの不条理さを縷々と語っていて、面白かったわ。彼によると米国の財政が赤字なっても、それですぐさま持続可能性がなくなるというわけではなく、これからの経済運営次第だということ、相変わらずの「共和党」批判に満ち溢れて、メディケアの財政負担を軽減する事は間違っているとしていたように思う。
 メディケアについてのクルーグマンの判断は、筆者は良く考えたことも無いので分らないが、財政負担増について、巷で騒ぎすぎで、日本の国債の金利は1㌫台であるから、多くの金融機関、機関投資家が日本の財政について信じているのである。にもかかわらず、国債の信認を過剰に問題視していると思う。直近の緊急の問題ではなく、ギリシャ国債のように「債務支払いの能力」が欠如していれば、債務不履行によるデフォルト回避と信用不安解消が課題になるのは当然であり、中央銀行による財政ファイナンスが、さらに通貨供給を増大させ、激しいインフレを市中にもたらすことにもなるだろう。
 ECBはこのジレンマに直面しているのだろうが、これとは違うのが米国の債務上限引き上げ失敗によるデフォルトである。
 
 国債需要が増えれば、国債の価格は下落し難く、金利は低くなるのは当然の経済現象なのだが、その償還期限が迫ったファイナンスを日銀はちょこまかとしている。[包括的緩和」とか称して、である。新規発行の長期国債の市中購入により、長短の金利差を縮小することにさえ逡巡するのだから、日銀には呆れる限りだ。
 米国債の債務引き上げ交渉前の山崎元の意見だが、「支払い能力」から見たらギリシャのデフォルトとは訳が違う。米国よりEUの方が、ギリシャ、アイルランド、アイスランドなど「支払い能力がない」と市場からは思われているので、金融危機の可能性は高いのではないのかと思う。ともあれ山崎元氏が冷静な発言をしている。山崎元氏のブログ

 近藤駿介氏が実務家ではありながら、「今回の円高介入」について冷静な分析をしている。筆者としては日銀の非不胎化政策(市中金融機関から通貨を引き上げない政策)を大きく望むがこれも地銀は効果がないと言ってやらないからな・・・。期待は非常に薄いが。近藤駿介のブログ

 中身の伴わない「経済学者」には騙されないように、頭を冷やして臨みたいものである。
非常識の政策が円高を呼ぶ

 「米欧は正真正銘の財政危機なのだが、日本政府の債務は問題であっても、危機ではない。だから円や日本国債をみんな買うのだ」と、英ロンドンの国際金融アナリスト、A・シムキン氏は筆者にずばり語った。

 社会保障支出も東日本大震災の復興も、B型肝炎訴訟和解金支払いも、これ以上政府債務を増やすとギリシャ並みの危機になるから、増税で財源を確保しなければならないというのが、菅直人政権の「何でも増税」路線なのだが、国際金融社会では異様に映る。外から見れば危機レベルではないのに、政府は家計や企業の所得を奪ってまで国債の償還を保証するのだから、米欧や中国など世界の投資ファンドは安心・安全の日本国債を買い、円相場を吊り上げては荒稼ぎできる。

 ◆認識の甘さが間違い

 世界の経済学者の間では、「日本はなぜ世界の非常識となる経済政策をとるのか」という疑問が広がっている。米エール大学で教鞭(きょうべん)をとっている浜田宏一教授はそこで、米国人の同僚教授とともにこの夏休み期間、来日して精力的に政治家、官僚、大学教授、ジャーナリストなどにインタビューし、原因分析に取り組んでいる。筆者も浜田教授に見解を聞かれた。「日本の政官学、メディアにはデフレに関する認識が甘いことが、安易な増税など政策の間違いを生んでいるのです」と答えた。グラフは日本の基礎的財政収支と経済全体の物価指数である国内総生産(GDP)デフレーターの前年比を比較している。基礎的財政収支とは国債など借金を除く政府の収入と借金元利払いを除く支出の差額で、財政の健全性を表す。デフレーターが下方に落ち込む、つまりデフレと連動して基礎的収支赤字が膨らんでいることがよくわかる。

 消費税増税に踏み切った1997年度には少し改善したが、98年度にはデフレが本格的に始まり、消費税、所得税、法人税を合わせた基幹税収が急激に落ち込んでいく。小泉純一郎政権の最後の年の2006年度、基礎的収支はめざましい改善を遂げた。円安誘導政策により輸出主導型の成長軌道に乗り、税収が大幅に回復したからだ。しかし、07年度からは円高に反転し、08年9月にはリーマン・ショックに見舞われた。円高は東日本大震災でさらに加速し、現在に至る。

 円高はデフレを呼ぶ。デフレはおカネの価値がモノやサービスに対して高まる。物価が上がる米国などの通貨に対してデフレ国の通貨、円相場が上昇するのはまさしく市場原理であり、デフレの帰結だ。

 こうみると、「国庫はデフレの最大の被害者」(宍戸駿太郎筑波大学名誉教授)なのだが、歴代の政権、財務官僚にその意識は乏しいままだ。逆に、政府要人は「デフレよりも日本国債への市場信認のほうが重要だ」(与謝野馨経済財政担当相)と信じてやまず、日本=ギリシャという悪夢をメディアの論調に刷り込んでいる。デフレを退治するためには、思い切った財政出動と金融緩和が欠かせない、というのが経済学上の国際常識のはずなのだが、デフレを重大視しないと逆に増税を通じて財政均衡を図る財務官僚の思考が支配的になる。財務省に近い経済学者たちは、例えば増税による税収増加分20兆円を財政支出すれば、20兆円だけGDPが増えると論じている。増税すればデフレになり、税収が減った97年の失敗を無視している。

 ◆小学生にもわかる嘘

 いくら増税しても財政出動すれば景気回復できるというのであれば、およそこの世に財政問題など存在しないはずである。増税さえすれば不況も財政もすべて解決されると聞けば、小学生だってそれは嘘だとわかるだろう。軽薄な菅直人政権だけは本当だと思い「何でも増税」にのめりこむ。

 財務官僚は一方では、日本がデフレから脱し、インフレ率が上がれば、国債利回り(国債の市場金利)が上昇し、国債を大量保有する金融機関は1%の利回り上昇で2・5兆円の評価損が生まれ、信用不安が起きると警告する。日銀もインフレ発生を理由にお札を刷らず、円高を放置し、デフレを事実上容認する。

 だが、国債を支える日本の家計の金融資産は1500兆円に上り、そのうち現預金は820兆円に上る。1%の金利上昇で8兆2千億円家計の金融収入が増え、消費を刺激し、カネが回り出す効果を無視している。政府が外国からの借金に頼る米国やギリシャとはわけが違う。

 政策の最優先目標を脱デフレに転換するだけで、日本は活路を切り開けるのだ。そのためには、菅直人首相の即時退陣と後任のデフレ認識が必要だ。

[東京 15日 ロイター] 福田慎一・東京大学大学院教授(専門:金融論、マクロ経済学、国際金融)は15日、ロイターとのインビューで、復興国債の財源として日銀による国債直接引き受けを行うことは、将来的なインフレを招き、その際には急激な引き締めという痛みが伴う可能性が高いと指摘した。

 また日銀が100兆円規模の国債をすでに保有している状況で、追加的に10兆円程度の国債を保有しても景気浮揚効果はすぐには期待できないとも述べた。一方で増税による財源確保は、経済への悪影響が予見可能であり、その対処も含めて政策として道筋が立てやすいとした。

 より重要な問題として、復興財源として10兆円単位の日銀引き受けは1000兆円規模の日本の公的債務から見れば小さな金額であり、復興財源よりはるかに大きい借金を背負っている中で、全体のバランスとして財政あるいは日銀の行動を考えるべきだとの考えを示した。

 日銀の役割として、デフレが10年以上続く中で、現在の日銀が掲げている望ましい物価水準は低すぎるとし、もう少しインフレ許容度を高めるべきと注文をつけた。 

  <日銀引き受けによる影響は予見不能> 

 福田教授は復興国債の財源として、増税でも日銀引き受けでも、どちらも痛みを伴うことは同じと指摘。ただどちらも当面はそれが見えにくいと説明。それでも将来の影響が予見可能な増税の方が対処方法も検討できることから、痛みを最小限に抑えることができるとした。 

 財源を増税に求める場合、当面は公債発行でまかなうため、経済への影響は出ないが、将来の増税の痛みが出てくる。ただし、「どういうマイナス効果がでるのかわかっているので、経済政策として道筋をつけて実行しやすい。増税のタイミングをどうするかは課題だが、経済学で言われているのは、一気に増税するのではなく、徐々に引き上げていくということ。それさえ気をつければコストは最小限にとどめることができる。政策としてはこちらが常道だ」とした。 

 一方で日銀の国債直接引き受けの場合にも、「現在は流動性のわなに陥っているために、資金供給してもすぐに日本経済に影響は出てこないため、当面痛みはわかりにくい」としながらも「流動性のわなが終わるときにインフレが生じる。そうなった場合には、大量の資金を放置できなくなり、急激に資金を吸収する必要がでてきて、その際に金利上昇のコストもかかってくる」と指摘した。 さらに日銀引き受けの場合には、「その影響も含めてよくわからないことが多く、採用には慎重になるべき」だと指摘。「この10年、日銀は海図なき航海を続けており、手探りで緩和を行ってきた経緯がある。うまくいったもの、うまくいかなかったものがあり、今となっては反省点もある」という状況の中で、日銀引き受けが必ずしてもインフレをもたらすとは言い切れないものの、不確実性が高く、場合によってはコストが大きい帰結をもたらすというのが過去の歴史からの教訓だと慎重な考えを示した。

  <復興財源よりも巨額の公的債務の方が問題> 

 福田教授はまた、深刻な日本の財政状況のもとで、復興財源だけが議論になっていること自体に疑問を呈した。「国・地方合わせて公的負債の残高は1000兆円を超えており、そのこと自体がより深刻な問題」と指摘。「それに比べて、10兆円単位の日銀引き受けがどの程度の問題になるのか。すでに日銀は100兆円規模の長期国債を保有している。復興財源よりはるかに大きい借金を背負っている中で、全体のバランスとして財政とか日銀の行動を考えるべき」と述べた。

 その上で、これ以上の財政拡大に懸念を示した。「中央銀行は目先の利益で行動してはいけないという大原則がある。政権が不安定化してくると、政府は目先の景気をよくする政策に傾きがちになる。そういう中で、中央銀の国債引き受けも行われハイパーインフレになった経緯がある」と指摘。「10年以上デフレが続いていて、なかなかデフレを脱却できないという中、ひとつの起爆剤を日銀に求める人もいるが、日銀が引き受けによりこれ以上の国債保有を増やすのは効果が限定的な割にはリスクが大きすぎる」と述べた。 

  <今回の円高に金融政策での対応は無理> 

 欧州での財政問題の広がりや米国景気への不安をきっかけに円高が進んでいるが、デフレが円高を招いているとの見方から金融緩和の必要性を主張する意見もある。しかし福田教授は、「為替変動にとって重要なのは金利差。日本は金利がゼロにはりつき、長期金利も低いので動かしづらい。相手国の金利が上下してそれにあわせて為替が動いているのが現状で、日本の政策でなかなか円安誘導はしにくい」として今回のように海外要因による円高に対し、金融政策での対応は無理があると指摘する。

 ベースマネーを増やして円安誘導に成功した事例として過去における量的緩和時代に円キャリートレードが誘発され円安誘導できた面があった。「円キャリートレードを再び起こせば円安誘導はある程度できるかもしれないが、それをしたことで当時どれだけ良いことがあったか。若干円安に振れたという意味ではよかったが、副作用もそれなりにあった」との見方を示した。 

  <日銀はもっとデフレファイター的スタンスを> 日本経済が10年以上デフレに悩まされている現状について、福田教授はマネーの循環に問題があると指摘。 

 「現在の金融市場ではマネーの回り方にかなり問題がある。1400兆円の個人金融資産の半分以上が銀行預金となり、かつては貸出から設備投資に回り経済が成長してく仕組みだったが、現在は、貸出に回らず国債の購入に回っている。国債購入でまかなったお金はさほど生産的ではない使われ方をするために成長に結びつきにくい」と説明。この悪循環を断ち切り生産性の高い分野にマネーを回す仕組み作りに力を入れるべきとした。

 ただ一方で、デフレに対する日銀の姿勢にも注文を付けた。望ましい物価水準として日銀が公表している「物価安定の理解」では消費者物価0─2%、中心は1%としているが、福田教授はこれは「先進国では最低水準。日銀は物価を許容する度合いをもう少し持っても良い」として、デフレファイター的なスタンスがやや足りないと指摘した。
  

(ロイターニュース 中川泉、木原麗花;編集 宮崎亜巳)

[東京 8日 ロイター] 岩田規久男・学習院大学教授はロイターとのインタビューで、復興国債は、その全額を日銀が政府から直接引き受けるか、ないしは、市場からの復興国債同額の長期国債を買い入れることで財源とすべきだと主張した。

 <増税での財源確保は逆効果、日銀引き受けなら確実な需要創出>   

 政府は増税を視野に復興国債の発行を検討しているもようだが、岩田教授は「増税での財源確保は需要を抑制し、復興には逆効果となる。一方、日銀買い入れは、財政支出増加とマネー増加という2つの経路を通じる需要創出効果があるので、経済効果は格段に大きい」とした。 

 同教授は、買い切りオペと直接引き受けの効果の違いについて、買い切りオペでは日銀に復興国債と同額の長期国債購入を義務付けられない点と指摘。

 「政府から直接引き受けるには、財政法の例外規定を適用できるので、復興国債を日銀に買いとらせることが可能になるが、市場から日銀がどの程度長期国債を買い入れるかは政府が指示できるものではなく、日銀の判断にゆだねられてしまうので、実効性は不透明」とした。

 市場からの買い入れの場合でも、復興国債全額を買い入れる場合であれば、直接引き受けと効果は同じだとした。

 <過去の引き受け事例が超インフレもたらしたとは言えず>

 日銀自身は、国債引き受けがハイパーインフレを招くと警戒姿勢を示している。白川方明日銀総裁は、昭和恐慌からの脱出をはかるため日本で最初に国債引き受けを採用した高橋是清を引き合いに「市場によるチェックを受けない国債引き受けという行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした」と指摘している(5月28日、日本金融学会での講演)。しかし岩田教授は1930年初頭の高橋財政時のデータから「インンフレ率は最大で6.5%となったが、最後の2年間は2%でしかない。平均的には穏やかなインフレといえる。しかも実質成長率は一番良いときで10%」と指摘。「世界各国が大不況で四苦八苦するなか、いち早く恐慌を脱出。マクロ政策としてこれほどの成功例はない」と評価している。

 その後インフレとなったのは、「1935年ごろに経済が巡航速度に入ったため、高橋は財政支出や軍需支出を減らすと主張し始めたために、36年のニ・ニ六事件で暗殺されてしまった。その後、軍部のいいなりに軍事支出を日銀引き受けでまかなうことになってしまった」ことが原因だと説明し、高橋是清の国債引き受け自体をインフレ要因とする理解はは誤りだと指摘する。 

 現在の局面での引き受け実施の場合について、「デフレを脱却してインフレ率が5─10%以上になっても日銀引き受けをやめないというのであれば、インフレ率が大幅に上がり、金利暴騰もありうる。しかし、「そこまで政府も日銀も良識がないはずがない」と指摘。

 実際に、米国がリーマンショック以降に巨額の国債を買い入れてもインフレになっていない事例を指摘。インフレ誘発を怖がり、その懸念を広めている日銀の主張に論理的な根拠は薄いとした。

 <デフレが円高をもたらす>

 需給ギャップを抱えてデフレに陥っている現在、何より重要なのはインフレ予想を高めることで、設備投資や消費を刺激、円安をもたらすことが可能となると指摘。

 「デフレというのはもっているだけで通貨の価値があがることだ。デフレで円の価値が上がれば、円に対する海外の需要は増える。予想インフレ率は、アメリカは2%ちょっとで、日本はマイナス。日米予想インフレ率差がなくなると、30円くらいの円安となり、1ドル=110円くらいになる。3月の大震災後の円急騰は日本の震災でデフレ予想が高まったためで、デフレで説明できる。デフレと円高は同じことの両面だ」と説明した。

 その上で、同教授は「デフレ脱却は金融政策ではできないというのが日銀理論。そういう中央銀行はいらない」と日銀の姿勢を批判。「スウェーデンはリーマン・ショック後、デフレになったが、マネタリーベースを4倍増やしている。それでインフレはやっと2─3%の間。日本はどれだけ増やしたか。リーマン・ショック前より最大で10%しか増やしていない」とさらなる対応を求めた。

 このインタビューは7日に行った。

 (ロイターニュース 中川泉;編集 佐々木美和)

ローレンス・H・サマーズ

 [ケンブリッジ(米マサチューセッツ州) 12日] 米国は2008─09年に政策を総動員することで金融の崩壊と恐慌を巧みに防いだが、国内経済はまだ失われた10年の渦中にある。

 2006年第1・四半期─2011年第1・四半期の5年間の平均経済成長率は1%に満たず、バブル崩壊後の日本と似たような状況にある。この間、就業率は63.1%から58.4%に低下。就業者は1000万人以上減った。景気の底打ち後も就業率はほとんど変わっておらず、最近は景気減速の兆しが出ている。

 生産が潜在力を下回る状況が長期化すれば、雇用や所得ばかりか、未来も犠牲になる。今月、かつては想像できなかった規模の新卒生が、仕事や生活手段がなく、親元に帰った。全米の学校で予算が不足し、数学や科学の高等課程が減り、週4日しか授業が行われないケースも出ている。現在と将来の所得・税収減は、現在と将来の容認しがたい財政赤字の大きな原因となる。 

 処方箋を書くには、正確な診断と病因の理解が必要だ。景気後退とは、企業の生産物に対する需要が少な過ぎ、求職者全員を雇用できない状態だ。現在のような高失業期には、明らかに企業の採用需要が不足しており、労働者の勤労意欲が不足しているわけではない。

 現状をみると(1)離職率や求人数は過去最低に近い水準にある、(2)技能や学歴にかかわらず、ほぼすべてのグループで失業率が上昇している、(3)利益率の上昇と賃上げ率の低下を考えると、労働者ではなく雇用主がほぼすべての市場で力を持っている──ことがわかる。 

 私は、生産が潜在力を下回る根本原因は需要の不足だと常々訴えてきた。需要の大切さを見落とすと、大変なことになるからだ。

 フランクリン・ルーズベルト大統領は、ヒトラーの台頭とそれに伴う軍需の拡大がなければ、1941年初めに失政者として退陣していただろう。国内失業率は15%を超え、ニューディール政策で道筋をつけた景気回復も、1937年には財政赤字削減とインフレ抑制という従来的な価値観を主張する声が早々に上がり、経済に希望が持てなくなっていた。 

 私が1993年にクリントン政権に入った頃、日本の潜在成長率は4%で、現在までに国内総生産が2倍になるとの見方が一般的だった。実際には、バブル崩壊の後遺症で日本経済はほとんど成長していない。 

 需要に制約された病んだ経済は、通常の経済とは全く違う動きをする。通常であれば成長と雇用創出につながるはずの政策が、ほとんど効果を発揮しない、もしくは逆効果になる場合がある。需要に制約された経済では、潜在的な供給を増やしても、効果は期待できない。 

 景気が後退し、消費者が借り入れの縮小と貯蓄の拡大に動けば、需要が減り、その結果雇用も減る。所得の高低を問わず、職業訓練や啓発プログラムは個々人の就職には役立つかもしれないが、需要の制約が続く限り、全体の求人数には影響しない。非常に逆説的なことに、生産性や効率性の改善につながる対策は、需要も同時に喚起しない限り、就業者の減少につながる恐れがある。全体の生産水準は、引き続き需要に制約されるためだ。 

 米国ではこれまで、景気後退に陥っても、需要の急増で景気が力強く回復するケースが多かった。第2次大戦後に起きた深刻な景気後退は2回のみ(1974─75年と1980-82年)で、どちらの場合も2年以内に経済成長率が6%以上に達した。これは今では想像もつかないような高成長だ。何故だろうか。 

 従来、戦後の米国ではインフレが景気循環を決めてきた。景気は、連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に動くまで回復を続け、ときには成長ペースが加速した。FRBがインフレを懸念し始めたときには、すでに手遅れの場合が多く、金利を引き上げ、与信を制限し、住宅市場、設備投資、消費者の耐久財購入を阻害することで、景気後退を発生させた。インフレが落ち着けば、大幅な利下げと、それまで手控えられきた投資の再開で、景気が急回復することは、目に見えていたといえる。

 現在は事情が大きく異なっている。金融政策は以前に比べ慎重になっており、インフレ率の上昇やFRBの利上げで景気の拡大が突然遮られることはなくなった。ポール・ボルカー元FRB議長がインフレを鎮圧して以降、3度にわたる米国の景気拡大期は、すべて長期間継続している。景気拡大に終止符が打たれたのは、自信の過剰で資本資産価格が過度に上昇し、保有資産の評価額が上がり、借り入れ・貸し出し・支出が過度に膨らんでからのことだ。 

 バブルの崩壊後は、うっ積された投資の需要がない。過度の自信が残した余剰資本があるだけだ。空き家、テナントの入らないショッピングモール、納品先のない工場。同時に、消費者は期待していたほど自己資産がないことに気づく。借金の担保が不足し、返済が予想以上に厳しくなったと感じる。これでは、民間消費が激減しても不思議ではない。バブル崩壊後の景気下降は10年以上続くことがあり、軍備増強など外的な要因で初めて脱却できるケースがあるのもうなずける。   

 民間消費は、構造変化にも圧迫されている。非常に分かりやすい例が出版業界だ。商店街の本屋が大型書店との競争に敗れ、大型書店がオンライン書店との競争に敗れ、オンライン書店が電子書籍との競争に敗れた際に、2つのことが起きた。経済の生産力が増す一方で、生産能力を満たす需要を生み出す力が損なわれた。経済資源が、小売り・卸売り業界で働く支出性向と成長余力の高い中間層から、支出性向が大幅に低い層に移ってしまったためだ。流通網への設備投資の必要性も低下している。

 ではどうすればいいのだろうか。運命だとあきらめたり、二大政党が平時に推し進めてきた政治的な課題について論じている場合ではない。金融危機の最大の皮肉は、自信・借り入れ・貸し出し・支出の過剰で発生した危機は、自信・借り入れ・貸し出し・支出の回復がない限り、解決できないということだ。 

 したがって、持続的な回復が定着するまで、経済政策では、自信・借り入れ・貸し出し・支出の拡大を優先目標とする必要がある。この目標を達成するまで、他の政策は効果が期待できない。平時にどれだけ魅力的、効果的にみえてもだ。 

 インフラの整備や更新を先延ばしにする経済は誤った経済だと認識すべきだ。10年物の金利が3%を割り込み、建設業の失業率が20%に迫っている今こそ、インフラ投資を拡大すべきだ。

 金融政策の軸足を適切な需要確保から、将来のバブル・インフレ予防に移すのは、あまりにも早すぎる。基調インフレ率は依然低下傾向にあり、自信過剰よりも、借り入れ・投資の不足が大きな問題となっている。金融規制改革法は、金融危機の再発を防ぐという極めて重要な課題に概ね適切に対処した。精力的な実行が必要だ。ただ、今の問題は、自信過剰ではなく自信過少であり、政策でもこの点を重視すべきだ。 

 最も重要なのは、米国の信用力に対する最大の脅威は、低成長期が長引くことだという現実を財政議論で受け入れる必要があるということだ。低成長期が続けば、南欧のように財政赤字の対GDP比が急上昇する。歳出抑制と歳入拡大に向けた中期的な対策をめぐる議論は必要不可欠だが、同時に短期的な経済成長も重視する必要がある。大統領と議会が昨年秋に合意した給与税減税・失業給付延長がなければ、米経済は今日、二番底のリスクに直面していた可能性が十分にある。財政面からの需要喚起を2011年末で大幅に縮小するのは早すぎる。財政面の支援は継続すべきであり、実際には、給与税の従業員負担分だけでなく会社負担分も減税して、支援を強化すべきだ。従業員負担分の減税幅を2%から3%に引き上げることも望ましい。短期的なコストは2000億ドル強で、そうした対策により、経済が今後2─3年で大きく改善し、税基盤の大幅な拡大と政府の必要支出の減少につながることが期待できる。 

 他の次元の政策でも、米国経済を特徴づけている需要不足という問題を考慮することが適切だ。例えば、オバマ政権は、輸出管理の近代化、米国製品の海外での売り込み、貿易協定の締結・発効を通じて、輸出を促進するという重要な仕事をしている。査証(ビザ)政策を変更すれば、観光・教育・医療サービスの輸出促進など、この点でさらに多くのことが達成できる可能性がある。同様に、不必要な規制負担の軽減を命じた大統領令を厳格に実行し、自信を取り戻すべきだ。

 おそらく、米経済の底にある一番の強みは回復力だろう。米国は2008─09年に思い切った対策を講じることで、大恐慌を回避した。今度は、経済の現実を見据えることで、失われた10年を回避することができるはずだ。

(ローレンス・H・サマーズ氏はハーバード大学教授。元財務長官)

産経新聞 5月12日(木)16時33分配信
内閣府が12日発表した4月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景気実感を3カ月前と比べた現状判断指数は前月比0・6ポイント上昇の28・3となり、2か月ぶりに改善した。家計関連で自粛ムードが弱まり購買意欲が上向きになったことを反映した。2~3カ月先の見通しを示す先行き判断指数も11・8ポイント改善の38・4となり、東日本大震災による落ち込みから明るい兆しも見え始めている。

 現状判断を項目別で見ると、家庭関連は1・8ポイント改善の27・1。このうち飲食関連は20・7となり、3月から4・8ポイント改善した。小売関連、サービス関連も改善しており、調査員からは「4月に入り、3月の落ち込み分を回避することができている」(北関東のレストラン)などの声が寄せられた。

 一方、企業関連は1・3ポイント悪化の29・3、雇用関連も3・5ポイント悪化の33・8だった。調査員からは「自粛ムードの中でファッションに対する消費マインドは完全に冷え込んでいる」(南関東の繊維工業)などの声があった。


 自粛ムードが弱まってもね、もともと名目の成長率が低いマクロでの経済社会で、その総額は、国民所得、一人頭の国民所得に依存する消費総額が減少するのは当然。
 
 で、あるから大震災による総需要の不足、総供給側の震災被害による供給不足によって、名目経済成長は縮小することは目に見えている。その額の試算は、20兆から30兆であるとも言われている。この不足分を埋める財政出動と需要不足を補えるだけの長期国債の買い取り、もしくは引き受けによる通貨供給による「実質金利」の緩和がされることを希望したいが、マクロ経済音痴が支配する財政赤字を言い募る「有識者」の述べる増税による被災地区支援の「説」が、為政者には支配的だと見えるから、早期の復興は困難。多くの被災者が、減収、解雇されるだろうから、総所得を構成する就業者数も減ることが予想される。となれば、東北地区の所得はかなり縮小され、それに伴い長期的な消費、長期を見込んだ投資も減少することが予測できる。
 
 長期国債の日銀引き受けに反対するいわゆる「専門家」が多いだろうが、非常時には薄く、広く、そして長く、負担感が直接的でない「国民」負担をお願いするのが政策担当者としてまずはすべきのふるまいではないだろうか?! あるいは、直接の引き受けするのは、危険が多いというのならば、金融機関から長期国債、東北の地方債を買い上げる手段を講じてもいい。地方銀行に資金供給するのだから、震災による融資焦げ付きを政府ではなく、中央銀行が吸収するのである。

 
 かなり以前から財政難で苦しんでいた東北の地方債、市債、を地方金融機関を通してでも買いつけることも「非常時」政策手段として用いられてはどうか?おそらく反対者の意見は、まだ起こってもいない「インフレ」懸念を持ちだして反対するだろうが、震災被害が20兆円ほどもあるのなら、需要の不足、設備被害による供給量の不足があるのだから、インフレが起きる懸念などほとんど無いと考えるのが妥当だ思うが、どうか?!財政ファイナンスのメッセージを「市場」に送ることになり、国債の信認を得にくくなるから長期国債の購入は控えるべきだとの専門家、エコノミストたちの見当はずれな反対意見を散見するが、であれば、中央銀行が異常にバランスシートの拡大を図っている米国の長期国債の金利は異常に上昇しているのだろうか?長期国債の金利が、日本においてそれほど高くなっているのだろうか?財政破綻懸念が強ければ、今のギリシャなどのように金利が異常に上昇するはずである。国債の金利が財政破綻懸念で上昇するのは、その国債の買い手が国債償還について非常に懸念する、信用を置かないから購入しないから国債の価格下落を通じて流通利回りが大きくなるから起きるのである。
 日本の国債の金利は高いだろうか、また米国の長期金利は異常に高くなっているだろうか?そうではない、投資家たちは米国債に信認を置いているから買っている、だから、ギリシャの国債のように金利が高くはなっていない。財政赤字は、ただちに国債信用を棄損するものではない。市場は、日本の国債に対しても、米国債に対しても信認しているのである。但し、日本の長期金利の低さは、デフレによる実質金利の高止まりから、投資活動によって得られる「利益率」は非常に低いものになっているからが主たる原因だと思う。企業の投資利益率が非常に低いから、金融機関は企業に融資を控え、融資によるリスクテイクをするより、長期国債を購入した方が金利分が確実に稼げるから、長期国債を購入することになっている。つまりは、企業競争を通じてデフレーションの圧力が強ければ、企業、供給側は、収益率が低くなるのから、金融機関としては当然の国債購入動機がはたらいているのである。これが、市中に資金が回らない、金融機関の金余りの現象の主因である。

 「経済的」復興支援の方法は、幾らでもあるし、幾らでも政策手段がある。そしてそれは他の制度変更、希望を持ってもらう雰囲気作り、原発の事故による人的被害、それに対する人的対処、風教被害などに対する人的対処にひきくらべて、それほどの労力は必要ないではないか。

 
世界第二位の経済大国は日本に代わり中国になった。日本は42年ぶりに転落した。中国の名目GDPは20年前、日本の1割強だったが、ここ10年間で4倍強となるなど、その成長はたしかに凄い。しかし、情けないのは日本だ。ここ20年ほど先進国中の最低ランクでまったく成長していない。1991年度の名目GDPは474兆円であったが、2009年度は474兆円と同じ水準なのだ。G7の他の先進国では、名目GDPは年率4.5%程度の成長をしている(下図参照)。


 仮に1991年以降、G7の他の先進国と同じ経済成長率であったら、2009年度は1028兆円となっていたはずだ。つまり、失われた20年がなければ、今の給料は2倍以上になっていたのである。この20年間で失われた付加価値総額は5000兆円以上にもなる。国民一人あたりの逸失所得は4000万円以上だ。これだけ長期停滞が続けば、日本経済の世界に占める地位が低下するのはやむをえない。

 この長期停滞については、日本の構造問題を強調する立場と金融政策の失敗を強調する立場がある。90年代になって急に日本の構造問題が出てきたというのは不自然だ。90年代以降変動相場制が定着し、金利自由が終了したのでマンデル=フレミング効果により財政政策より金融政策の効果があった。にも関わらず、バブル崩壊後に羮に懲りて膾を吹くようにデフレギャップが発生しても金融政策を緩和せず引き締め気味に運営してきたことが原因だとする、金融政策失敗説のほうが説得的だろう。



 1990年代はマクロ経済には効かない財政政策をやり続けた。小泉政権になってこの失敗に気がついたが、金融政策では未だにデフレターゲットをとり続けている( このコラム参照 )。

 菅政権の改造内閣では、与謝野馨経済財政担当大臣や藤井裕久副官房長官が入り、マクロ経済運営は財政再建至上主義に大きく舵を切った。

 もちろん与謝野氏は、口では財政再建は経済成長とムダ削減と同時にやらなければいけないという。しかし、これまでの同氏の実績は、経済成長とムダ削減はやってこなかった。それを以下に示そう。

 まず、経済成長。日本の失われた20年の特徴はデフレによる名目経済成長がなかったことだ。この間の実質経済成長は他の先進国と大差ないが、物価上昇率は著しく日本だけが先進国でデフレだった。経済学では、中央銀行がベースマネーを増やせば物価上昇率が上がるのは常識である。

 ちなみに、2008年のセンター入試試験にもこんな問題が出ている。

 中央銀行が行うと考えられる政策として最も適当なものを以下から選べ
1.デフレが進んでいる時に通貨供給量を減少させる
2.インフレが進んでいる時に預金準備率を引き下げる
3.不況期に市中銀行から国債を買い入れる
4.好況期に市中銀行に資金を貸す際の金利を引き下げる

 もちろん正解は3。ところが、2000年代の現実の日銀は1をやった。この問題は普通の高校生はできるが、日銀総裁や日銀の御用学者やマスコミには難しいらしい。実際に日銀のやったことは、センター試験も落第のデタラメだったので、日本のデータを一見しただけでは、ベースマネーと物価上昇率の関係がよく見えない。


 この話は、与謝野氏の「インフレは悪魔」という発言に関係する。

 2006年3月、日銀が量的緩和を解除したとき、与謝野氏は小泉政権で経済財政担当大臣だった。私は竹中総務大臣補佐官として総務省にいた。量的緩和の解除は消費者物価が安定的にゼロ以上になることだった。その当時、0.5%程度の統計数字がでていた。ところが、消費者統計には上方バイアスという高めに数字がでるクセがある。総務省は物価統計を所管しており、そのクセを知っていたので、竹中大臣は安定的にゼロ以上になっていないと主張し、量的緩和解除に反対だった。ところが、与謝野氏は、それを無視して、量的緩和解除に賛成した。

 要するに、デフレのままでいいと言ったわけだ。それは名目成長はいらないと同じで、与謝野氏の経済成長は失われた20年の継続である。

 増税の根拠とされる内閣府の中長期的試算の前提は名目1.5%成長だ。それで増税を主張する。なお、デフレを脱却すれば名目4%になるが、それだと増税は必要ない(このコラム参照 )。だから、与謝野氏の経済成長とはせいぜい名目1.5%成長までだ。



 次にムダの削減。これは霞ヶ関埋蔵金で有名だ。与謝野氏には埋蔵金はない。というのは会計上の埋蔵金はあるが、それは官僚が使うといえば「存在しない」になる。国民のためにつかう埋蔵金はない、という意味だ。

 自民党政権では与謝野氏の意見は通らなかった。もしその意見の通りになっていたら、50兆円くらいの増税が行われていたかもしれない。

 これでわかるだろうが、与謝野氏の言い方は官僚の詭弁と同じだ。経済成長はするといいながら、デフレ継続で名目成長せいぜい1.5%まで。ムダは省くといいながら、官僚がムダでないといえば、それはムダでない。マスコミでの与謝野氏の露出が高まる中で、こうした言葉遊びさえ指摘できないメディアは情けない。


*** デフレ下でも価格が下がらない新聞 ***
 そもそも大手新聞は消費税増税に賛成なので、あえて指摘しないのだろう。なぜ消費税増税に賛成なのか。それは、昨年11月22日付けの本コラム(丹呉元財務次官の人事、菅・与謝野会談の裏側でくすぶる「増税大連立」もはや「末期症状」の政権は禁じ手に踏み込むのか  )で指摘した財務事務次官の天下りに大いに関係している。

 最近しばしば英国の消費税の話をマスコミ関係者はよくする。実は英国の消費税では新聞は税率ゼロだ。これは欧州でも特殊な存在である。ほかの国はEU指令でゼロ税率を否定しているので、せいぜい軽減税率だ。

 なぜマスコミで英国の話が多いかというと、日本で消費税増税しても、新聞は食料品などともに生活必需品ということで、ゼロ税率(悪くても軽減税率)の適用を受けたいからだ。

 軽減税率は、依怙贔屓の租税特別措置と同じで利権の固まりになる。消費税増税騒ぎの裏側で、こうした利権獲得がはじまっていると考えた方がいい。こうした利権の裏には、必ずといってよいほど天下りがある。前財務事務次官の大手新聞への天下りはその兆候ではないか。

 また、新聞業界では消費税増税の中で軽減税率を勝ち取るかために、欧州に調査団を送っていてるという噂もある。軽減税率になると、相対価格において有利になるので、個別企業としては当然の選択ともいえる。

 もっとも、新聞業界の特殊性はこの際知っておいた方がいい。まず、再販制度という独禁法適用除外のカルテルによってデフレ下でも価格下落が免れている業種だ(下図参照)。こうした再販制度は先進国でまずない。欧州並みに軽減税率を主張するのであれば、再販制度の価格カルテルはやめるべきだろう。




 さらに、新聞の新規参入については、「日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律」という商法の特例が障壁となっており、これで新聞社の株式を取得することはできず事実上新規参入はできない。こうした規制もあまり世界にはない。このように新聞業界は競争政策から見ると既得権の保護業種である。競争政策の教えによれば、こうした非競争的な規制業種は長期的には競争力がなくなり衰退していく。私はかつて公正取引委員会に勤務していたことがあるので、そうした事例を数多く見てきた。

 いずれにしても、財務省は、こうした業界特性や個別企業の戦略までも知った上で、マスコミを使って消費税増税ムードさえ高まれば、後は軽減税率に群がって増税反対はなくなると思っている。

 はたしてそうだろうか。かつては新聞を中心とするメディアがほぼ情報独占し、霞ヶ関も記者クラブを通じた情報操作が機能していた。ところが、ネット経由の情報の役割が徐々に大きくなってきた。今回のコラムの従来のメディアでは取り上げられないだろう。しかし、今ではこうしてネットの上で書ける時代になっている。

 菅政権の消費税増税路線が功を奏するかどうかは、国民生活に直結する大問題であるが、メディア論から見ても、既存メディアとネットメディアの攻防とみることもできる。

 なお宣伝であるが、私らの「政策工房」でマスコミの報じないニュースを有料で発信している。ご興味にある方は、こちらにアクセスしていただきたい。
 12月20日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)はインフレ抑制のために6カ月以内に利上げを開始するとの見通しを経営者団体の英産業連盟(CBI)が明らかにした。
  CBIは20日のリポートで、英中銀が2011年4-6月(第2四半期)から0.25ポイントの利上げを3カ月ごとに実施し、12年半ばまで続けると予想。その後、利上げペースを速め、政策金利は12年末に2.75%に達するとした。
  CBIの経済担当チーフアドバイザー、イアン・マカファティー氏は「エネルギー・商品相場の高止まりは、インフレ率が多くの人が望むほど急速には低下しないことを意味するとみられるため、一段と懸念されている」と指摘。「依然として景気回復の軌道上にあるとみているものの、来年初めの経済成長は極めて鈍い公算が大きい」と分析した。
  英中銀当局者らは、インフレ抑制措置を取るべきか、財政緊縮策の経済への影響を弱めるために債券購入を拡大すべきかで意見が分かれている。11月のインフレ率は3.3%と、政府目標の上限である3%を9カ月連続で上回った。
  CBIは今後のインフレ率について、中銀目標である2%を来年「大幅に上回った」後、2012年1-3月(第1四半期)になってようやく2%を「若干下回る」と予測。12年末には2.4%になるとした。
  成長率に関しては、今年10-12月(第4四半期)が0.6%、来年第1四半期が0.2%と予想。来年の平均成長率は2%と、9月時点の見通しを据え置いた。12年の平均成長率は2.4%に加速すると分析した。
 どうなんだろうね、英国はどういった政策を打つのだろう。米国は、追加の経済対策で、60兆円ほどの財政出動とFRBの長期国債購入の量的緩和に踏み切ったので来年度は回復するだろう、と思う。英国は、緊縮財政に政府がかじを切ってしまったから、景気の回復速度は鈍くなるんだろうな。
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