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主に政治と経済について、思いついたことを語ります。リンクフリー、コピーもフリー
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 8/11付けの朝日新聞。ポールクルーグマンの格付け会社、P&Gの格付けの出鱈目加減の指摘、米国の国債の「信任」についての懸念することの不条理さを縷々と語っていて、面白かったわ。彼によると米国の財政が赤字なっても、それですぐさま持続可能性がなくなるというわけではなく、これからの経済運営次第だということ、相変わらずの「共和党」批判に満ち溢れて、メディケアの財政負担を軽減する事は間違っているとしていたように思う。
 メディケアについてのクルーグマンの判断は、筆者は良く考えたことも無いので分らないが、財政負担増について、巷で騒ぎすぎで、日本の国債の金利は1㌫台であるから、多くの金融機関、機関投資家が日本の財政について信じているのである。にもかかわらず、国債の信認を過剰に問題視していると思う。直近の緊急の問題ではなく、ギリシャ国債のように「債務支払いの能力」が欠如していれば、債務不履行によるデフォルト回避と信用不安解消が課題になるのは当然であり、中央銀行による財政ファイナンスが、さらに通貨供給を増大させ、激しいインフレを市中にもたらすことにもなるだろう。
 ECBはこのジレンマに直面しているのだろうが、これとは違うのが米国の債務上限引き上げ失敗によるデフォルトである。
 
 国債需要が増えれば、国債の価格は下落し難く、金利は低くなるのは当然の経済現象なのだが、その償還期限が迫ったファイナンスを日銀はちょこまかとしている。[包括的緩和」とか称して、である。新規発行の長期国債の市中購入により、長短の金利差を縮小することにさえ逡巡するのだから、日銀には呆れる限りだ。

 S&Pは正義の味方か悪玉か?
                            岩下慶一

 “スタンダード&プアーズ(S&P)、米国債を格下げ”――このニュースは世界経済に衝撃を与えるのに十分だった。

 発表が金曜の夜だったため、米国の投資家は月曜の開場を待ちながら悶々とした週末を過ごす羽目になった。その間様々な憶測が飛び交った。“リーマンショック並みの大暴落を覚悟しなければならない”“いや、格下げはすでに織り込み済み、それほどの影響はない”。蓋を開けてみるとダウ平均は600ドル下落、歴代六番目の下げ幅となった。ウォールストリートは大混乱に陥り、多くの投資家が逃げ出した。ある新聞にはこんな見出しが躍った。“とにかく売れ、質問は後だ”

◇S&Pは悪者か?◇

 引き金を引いた恰好のS&Pには当然ながらかなりの批判が集まった。フォーブス・マガジン創始者の孫で、共和党のご意見番であるスティーブ・フォーブスは、CNNのインタビューで、暴落を招いた格下げは“許しがたい行為”だとしてS&Pを激しく攻撃した。オバマ大統領も、8日の演説の中で、“どこかの格付け会社が何と言おうと、米国はトリプルA(最上位の格付け)の国である”と宣言、S&Pへの怒りを露わにする。

 今回の格下げは債務引上げ法案がこう着状態にあった頃から噂されていたし、すでに市場には織り込まれているという認識もあった。だが現実になってみると、やはり相当のインパクトだった。突然の600ドルの下げで、投資家の怒りの矛先がS&Pに向けられるのも無理はない。一方、S&Pを賞賛する声もある。オバマと大統領選を戦ったマケイン上院議員は、“悪い知らせを持ってきたからといって、メッセンジャーを責めるはお門違いだ”と言い、暴落はオバマ政権の不手際だと主張する。

◇発覚した計算ミス◇

 格付け会社の業務は企業や債券の信用力を冷静に判断することなのだから、市場の暴落をS&Pのせいにするのは確かに理不尽かもしれない。逆に社会的影響を懸念して格付けを手加減するのは業務上の背信行為とも言える。しかしそれもこれも、格付けが正確であれば、の話である。

 格下げの発表があった翌日、S&Pの格付けの信憑性を揺るがせる出来事があった。米財務省が、S&Pが計算ミスにより負債を2兆ドルほど多く見積もっていることを指摘したのだ。財務省はそのホームページで、S&P側が今後10年で積み上がる負債を2兆ドル多く計算しており、これは“同社の格付けの信頼性を根幹から揺るがす致命的なミスだ”と糾弾している。

 この発表にメディアは色めきたった。米国景気の行先を左右しかねない情報が曖昧なものだとしたらこれは許しがたい。財務省の指摘を受け入れたS&Pは将来の債務額予想を修正したが、格付け判断に影響を与えるほどの変化はなく、AAの評価は変わらないとした。また、今回の引き下げ判断の理由は数字だけではなく、債務引上げ協議における議会の調整能力の欠如も大きな要素であり、具体的には“オバマ政権と議会が合意した財政健全化策が内容的に不十分なため”だとして自らの判断を正当化した。この発言は再びワシントンに波紋を投げかけた。“S&Pは格付けを武器に政治に揺さぶりをかけるつもりか”という反感と、“ふがいないキャピタルヒルをよくぞ批判した”という賞賛である。

 毀誉褒貶相半ばするS&Pだが、投資家ウォーレン・バフェットは、S&Pの引き下げにはまったく根拠がないと切って捨てる。“ギリシャ危機と違って米国に金がない訳ではない。長期において負債を返せない要素はまったく見当たらないはずだ”ちなみに、バフェットが筆頭株主として君臨する格付け会社のもう一方の雄ムーディーズは、米国債券AAAの評価を変えていない。

 格下げにはある程度説得力があるとしながらも、このタイミングで行われたことに疑問を投げかける向きもある。ブルームバーグのインタビューの答えたアナリストのロバート・リタンは、根拠となった数字はここ数年の予想から大きく変わっていないのにこの時期格下げをするのは不自然だと指摘、“政治的な意図”の存在をほのめかす。多くの米国人が同様の感想を持っているが、ウォールストリートジャーナルは、S&Pがムーディーズやフィッチなどのライバル会社よりも“政治の不安定”を重く見た結果だろうとしている。いずれにしても、債務引上げにおいて延々と泥仕合を繰り広げた政府への強烈な批判になったことは間違いない。

◇米債券最強説◇

 格下げの今後の影響についての予想はこれまた様々だ。エコノミスト、ポール・デイルズ氏の“今後数年世界を覆うであろう経済減速のサイン”という意見もあれば、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンの“まったく取り合う必要なし”という見方もある。クルーグマンはS&Pが不動産担保証券にAAAを与えてサブプライム問題の片棒を担いだこと、リーマンブラザーズに対し破たんする直前までA(信用力高い)の評価を与えていたことを指摘し、得意の毒舌で“一番信用してはいけない奴ら”とまで言い切っている。

 この他にも、格下げが米国国債の暴落を招くことはないという見方をするアナリストは多い。ブルームバーグは、根拠としてS&Pが2002年に日本の国債をAA-に格下げした例を上げている。10年物の国債の利回りは、格下げ後もAAAのドイツ国債を上回る1%を維持した。

 サンフランシスコの投資会社ストラテジスト、マイケル・ヨシカミは“格下げのインパクトはあるにしても、米国債以外に買うものがない状況では暴落などあり得ない”と強気の発言をする。こうした意見は今週になって裏付けられた。債券市場では格下げはほとんど材料視されず、10年物国債利回りは上がるどころか格下げ前から0.4%下がっている。米国債離れは起こらなかったのだ。ダウジョーンズも暴落の翌日、400ドル以上反発した。

◇ダメージを受けたのは政治家?◇

 こうしてみると、S&Pの金融市場への影響力は思ったほどではなかったようだ。影響を受けたのはむしろ政治の世界かも知れない。現在、民主・共和の双方が、“米債券格下げ”を互いの攻撃材料に使うことに執心している。共和党議員はここぞとばかりにオバマ大統領を非難する。“格下げはオバマ政権の不手際の象徴だ”(大統領候補の共和党ミット・ロムニー議員)“オバマが3年間に成し遂げたこと、ガソリンの高騰、失業率の増加、ダメ押しが債権の格下げだ”(リンゼイ・グラハム共和党議員)

 一方民主党も、債務引上げ協議において超党派による合意を退け、増税に強硬に反対したティーパーティー(茶会党)派議員こそ政治不信を招いた元凶だとして非難する。オバマ大統領の側近の一人、デヴィッド・アクセルロッドは今回の騒ぎを“ティーパーティー格下げ”と名付け、格下げはすべて共和党強硬派のせいだと主張している。

 今年11月には最大1兆5000億ドルの追加歳出削減策がまとめられる予定だが、そこで再び交渉が難航するようであれば、政治不信は一層深まるだろう。S&Pの格下げは、怒りを向けるべきものではなく、オバマや民主・共和の強硬派に対する天の警告ととるべきなのかもしれない。“スタンダード&プアーズ(S&P)、米国債を格下げ”――このニュースは世界経済に衝撃を与えるのに十分だった。

 発表が金曜の夜だったため、米国の投資家は月曜の開場を待ちながら悶々とした週末を過ごす羽目になった。その間様々な憶測が飛び交った。“リーマンショック並みの大暴落を覚悟しなければならない”“いや、格下げはすでに織り込み済み、それほどの影響はない”。蓋を開けてみるとダウ平均は600ドル下落、歴代六番目の下げ幅となった。ウォールストリートは大混乱に陥り、多くの投資家が逃げ出した。ある新聞にはこんな見出しが躍った。“とにかく売れ、質問は後だ”

◇S&Pは悪者か?◇

 引き金を引いた恰好のS&Pには当然ながらかなりの批判が集まった。フォーブス・マガジン創始者の孫で、共和党のご意見番であるスティーブ・フォーブスは、CNNのインタビューで、暴落を招いた格下げは“許しがたい行為”だとしてS&Pを激しく攻撃した。オバマ大統領も、8日の演説の中で、“どこかの格付け会社が何と言おうと、米国はトリプルA(最上位の格付け)の国である”と宣言、S&Pへの怒りを露わにする。

 今回の格下げは債務引上げ法案がこう着状態にあった頃から噂されていたし、すでに市場には織り込まれているという認識もあった。だが現実になってみると、やはり相当のインパクトだった。突然の600ドルの下げで、投資家の怒りの矛先がS&Pに向けられるのも無理はない。一方、S&Pを賞賛する声もある。オバマと大統領選を戦ったマケイン上院議員は、“悪い知らせを持ってきたからといって、メッセンジャーを責めるはお門違いだ”と言い、暴落はオバマ政権の不手際だと主張する。

◇発覚した計算ミス◇

 格付け会社の業務は企業や債券の信用力を冷静に判断することなのだから、市場の暴落をS&Pのせいにするのは確かに理不尽かもしれない。逆に社会的影響を懸念して格付けを手加減するのは業務上の背信行為とも言える。しかしそれもこれも、格付けが正確であれば、の話である。

 格下げの発表があった翌日、S&Pの格付けの信憑性を揺るがせる出来事があった。米財務省が、S&Pが計算ミスにより負債を2兆ドルほど多く見積もっていることを指摘したのだ。財務省はそのホームページで、S&P側が今後10年で積み上がる負債を2兆ドル多く計算しており、これは“同社の格付けの信頼性を根幹から揺るがす致命的なミスだ”と糾弾している。

 この発表にメディアは色めきたった。米国景気の行先を左右しかねない情報が曖昧なものだとしたらこれは許しがたい。財務省の指摘を受け入れたS&Pは将来の債務額予想を修正したが、格付け判断に影響を与えるほどの変化はなく、AAの評価は変わらないとした。また、今回の引き下げ判断の理由は数字だけではなく、債務引上げ協議における議会の調整能力の欠如も大きな要素であり、具体的には“オバマ政権と議会が合意した財政健全化策が内容的に不十分なため”だとして自らの判断を正当化した。この発言は再びワシントンに波紋を投げかけた。“S&Pは格付けを武器に政治に揺さぶりをかけるつもりか”という反感と、“ふがいないキャピタルヒルをよくぞ批判した”という賞賛である。

 毀誉褒貶相半ばするS&Pだが、投資家ウォーレン・バフェットは、S&Pの引き下げにはまったく根拠がないと切って捨てる。“ギリシャ危機と違って米国に金がない訳ではない。長期において負債を返せない要素はまったく見当たらないはずだ”ちなみに、バフェットが筆頭株主として君臨する格付け会社のもう一方の雄ムーディーズは、米国債券AAAの評価を変えていない。

 格下げにはある程度説得力があるとしながらも、このタイミングで行われたことに疑問を投げかける向きもある。ブルームバーグのインタビューの答えたアナリストのロバート・リタンは、根拠となった数字はここ数年の予想から大きく変わっていないのにこの時期格下げをするのは不自然だと指摘、“政治的な意図”の存在をほのめかす。多くの米国人が同様の感想を持っているが、ウォールストリートジャーナルは、S&Pがムーディーズやフィッチなどのライバル会社よりも“政治の不安定”を重く見た結果だろうとしている。いずれにしても、債務引上げにおいて延々と泥仕合を繰り広げた政府への強烈な批判になったことは間違いない。

◇米債券最強説◇

 格下げの今後の影響についての予想はこれまた様々だ。エコノミスト、ポール・デイルズ氏の“今後数年世界を覆うであろう経済減速のサイン”という意見もあれば、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンの“まったく取り合う必要なし”という見方もある。クルーグマンはS&Pが不動産担保証券にAAAを与えてサブプライム問題の片棒を担いだこと、リーマンブラザーズに対し破たんする直前までA(信用力高い)の評価を与えていたことを指摘し、得意の毒舌で“一番信用してはいけない奴ら”とまで言い切っている。

 この他にも、格下げが米国国債の暴落を招くことはないという見方をするアナリストは多い。ブルームバーグは、根拠としてS&Pが2002年に日本の国債をAA-に格下げした例を上げている。10年物の国債の利回りは、格下げ後もAAAのドイツ国債を上回る1%を維持した。

 サンフランシスコの投資会社ストラテジスト、マイケル・ヨシカミは“格下げのインパクトはあるにしても、米国債以外に買うものがない状況では暴落などあり得ない”と強気の発言をする。こうした意見は今週になって裏付けられた。債券市場では格下げはほとんど材料視されず、10年物国債利回りは上がるどころか格下げ前から0.4%下がっている。米国債離れは起こらなかったのだ。ダウジョーンズも暴落の翌日、400ドル以上反発した。

◇ダメージを受けたのは政治家?◇

 こうしてみると、S&Pの金融市場への影響力は思ったほどではなかったようだ。影響を受けたのはむしろ政治の世界かも知れない。現在、民主・共和の双方が、“米債券格下げ”を互いの攻撃材料に使うことに執心している。共和党議員はここぞとばかりにオバマ大統領を非難する。“格下げはオバマ政権の不手際の象徴だ”(大統領候補の共和党ミット・ロムニー議員)“オバマが3年間に成し遂げたこと、ガソリンの高騰、失業率の増加、ダメ押しが債権の格下げだ”(リンゼイ・グラハム共和党議員)

 一方民主党も、債務引上げ協議において超党派による合意を退け、増税に強硬に反対したティーパーティー(茶会党)派議員こそ政治不信を招いた元凶だとして非難する。オバマ大統領の側近の一人、デヴィッド・アクセルロッドは今回の騒ぎを“ティーパーティー格下げ”と名付け、格下げはすべて共和党強硬派のせいだと主張している。

 今年11月には最大1兆5000億ドルの追加歳出削減策がまとめられる予定だが、そこで再び交渉が難航するようであれば、政治不信は一層深まるだろう。S&Pの格下げは、怒りを向けるべきものではなく、オバマや民主・共和の強硬派に対する天の警告ととるべきなのかもしれない。
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