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 更新が遅れているので、ここ一ヶ月ぐらいで読んだ本を掲載。予想外に面白く、楽しめた順に並べてみた。詳しい書評は、例によって時間が出来てから後程という事で・・・・。
 適当にコメントすると上野 泰也の本書は、エコノミストに対する当方の偏見を払拭してくれた「良書」。財政政策、金融政策無効論を説き、構造改革によって景気が回復するという「楽観論」を展開した斉藤精一郎などその他、格差から目を疎けない市井は分るもののデフレに対する策が「制度」、あるいは社会システムによることだけを目指す金子勝、デフレがよいデフレであるという擬制の社民主義者、内橋克人などとかいう経済「学者」なんどより、ずーっとマクロ経済「学」の理解の上に経済、金利「予測」している。中でも「格差」型景気という用語が、デフレ圧力のあるうちでの景気として踏まえるところ、マクロの経済政策を織り込みながら長期では供給側の視点で見ること、短期では需要と供給でみていく論点の持ち方など優れていると思う。 
 マクロ経済の基本を無視せず、下手な経済学者の経済論より的を得た指摘がある。金融政策、財政政策、景気を構造的ではなく循環的な視点から眺めるまともな経済観、為替、長期金利、株との関係、上場企業と中小企業の従業員数と景況感DIから見た消費という需要分析、経済指標の見方も達者な見方が覗える。著者上野は有効求人倍率と失業率を比較検討しているが、失業率は「遅行」指数であり、また有効求人倍率は、一致指数と見るという点など、「景気」を見るのに参考になることが縷々指摘してある。

 田中秀臣は、まともな経済学とはお金ばっかりではなく、インセンティブによる経済性や「機会費用」(選択による犠牲を費用、コストとみたもの)であり、「弱肉強食」の市場主義を説く学問とはまったく違った学問なんだと力説。
 こういうものなんだよん、ということをそれぞれの分野で示していて清々しくも面白い。ネタばれになると読まれなくなるといけないので適度に内容紹介すると・・・。
 経済成長論のない財政再建論、社会問題、最低賃金の引き上げ法、年金未納問題などなどは根底的な問題解決にはならない。そのことも再確認並びに教えてくれる。全体の経済成長が様々な社会的困難をも解決するという設定は、大づかみに言ってポール・クルーグマンの米国の様々な医療制度の問題、年金問題も経済によって解消できるという視点と同じところをみた気がする。日本の問題や話題を扱っているので、身近な話題で参考になるわね。
 アレーと思ったのは、オリンピックの後には、不況になるの項目。変動相場制とドルペッグなどの現中国が採用している固定相場制では、積極財政政策の効果はかなりの差が出るのではと思うが、どうなんだろう。
 
 野口旭と田中秀臣の共著「構造改革論の誤解」は、いささか古いので掲載は今更な、ちゅう感じだが、本書が刊行された2002年2月は小泉賛歌の一億総ヒステリーの状態であった。そのような「異論」の差し挟みを許さない風潮の中での本書によるデフレ放置「批判」の意義が充分に見えてくる。彼らは、構造改革を批判しているのではなく、デフレ下でのそれを批判しているのであって、デフレの脱却が無ければ、構造改革そのものが解体、あるいは不徹底な「改革」に落ち着くことを懸念しての発言であったのである。それだけ説得力のある批判だったということである。
 小泉、安倍の改革路線が終了した時点でも、読まれるべき正論。不良債権が何故処理されたかが縷々と現実説明がなされる。不良債権は処理されたのではなく、実質経済成長率が改善しデフレ圧力の低下による「景気」が回復して、株価が上昇したために貸し渋りも解消したのである。
 社会科学は現実の説明が内在的に出来なければ異説というよりただの有害なデマにしかならない。デフレ対策無き、都市と地方「格差」、企業間格差を問題視するデマ経済学の陥穽の指摘の原資がここにある。

 猪瀬 直樹は構造改革一辺倒の論者だと思っていたが、「構造改革論の誤解」の推薦者でもあるとは知らずじまいだった。

 で、これもいまさらながらだが、「日本国の研究」「続日本国の研究」を読んでみた。道路関係四公団民営化推進委員会の猪瀬は改革に着手するが、道路公団の改革に一定の成果を収めながらもデフレ圧力といわゆる道路族、国土交通省の省益(石原伸晃)によって中途半端な改革に終わらされた。

 2005年(平成17年):10月1日 日本道路公団分割民営化に伴い、同公団の業務並びに権利及び義務は、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社及び日本高速道路保有・債務返済機構に分割して継承され解散となった。

 簡単に言うと道路公団を二つに分け、二階建てにしたのが「改革」の不徹底だった。高速道路の保有者、道路の開発と業務運用者を分けて、保有者と開発は国、運用者を民営化した。所有者から民間の運用者が借りて利益を上げ、その利益を保有者に返還するという改革となったわけだ。が、国が道路を所有するということは、そこに省益を認めるということであり、また、開発も日本高速道路保有・債務返済機構が担当するということになる。保有者が債務保証を国に対して要求できる可能性を残したのである。

 当時、石原伸晃大臣は、料金収入を新規高速道路建設にまわすことを容認する姿勢であった。

 石原大臣は新会社が新たに借金をして建設することと料金収入を建設費に回すことはそんなに違わないとの主旨を述べていた。

 だが両者は全く違う。新会社による資金調達は金融市場での資金調達である。金融市場では、会社の財務もプロジェクトの収益性も厳しく査定される。査定に合格しなければ資金調達は出来ず、高速道路も作られない。料金収入を建設資金にまわすのでは、査定が行われず、無原則に不採算路線を建設し続けてきたこれまでと何ら変わらないことになる。

 

上野 泰也
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田中 秀臣
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野口 旭,田中 秀臣
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猪瀬 直樹
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猪瀬 直樹
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   後に成型、比較検討することにして、とりあえず抜粋引用の掲載。
小沢氏「そこで最初に福田総理に対してご要望でございますけど。私どもは暫定税率といいましても30年以上続いておりますが、今日の道路事情の中ではもはやこの分2・6兆円は、国民のみなさんに還元すべきではないかと、お返しすべきではないかというふうな考え方に立っております。と言いますのは、まず日本の道路事情は、これは総理もご承知の通り、かなり整備をされてきております。私どもの調べたところでは、国土面積に占める道路の割合は英国、フランスの日本は倍でありますし、米国は広い国ですから、一概には比較できませんが、3・5倍ほど日本の道路は、先輩たちのみなさんのご努力で整備されてきております」

 「従いまして、今までと同じような巨額の道路財源は必要ではなくなったんではないかと。特に暫定税率が期限も来ましたし、この際は、そういう考え方で今日を迎えました。それと同時にですね。2・6兆円という国民のみなさんに対して、還元するということは、特に最近、米国経済の景気後退の中から日本の経済も不透明な状況になりつつあると。そして一般国民の身の回りの日常必需品が軒並み値上がりしている。このままだと、まさに不景気の物価高というような形になりかねない」

小沢
 中略「地方は私の方はもちろんですが、総理もお分かりだと思います。お互いに郷里のことを考えますと、実感を持って感じられるんですが。やっぱり地方は非常に疲弊している状況にあると思います。そういうことも考えますと、平均して1世帯あたり各都道府県5万数千円の減税になります。特に田舎の方、地方の方は最高8万数千円の1世帯あたりの減税ということになります」
福田首相「それから、続けてよろしいですか。そのあとで申し上げますけれども、このガソリン税にまつわる問題ですけれども、4月1日からガソリン税が廃止されました。そして混乱がないというようなことをですね、よくおっしゃるんでありますけども、私は混乱がないわけではないと思います。これは各給油所でどういう値段をつければいいか、ということで大変な混乱ございます。そして各給油所は自分の店の経営問題がありまして、そのことについて政府としてはですね、中小企業金融として何かの場合の対策を考えておりますけれども、そういう経営上の問題があります」

 「そして各地方自治体は4月1日が過ぎたが、予算の執行ができない分がでてきた。こういうことでございます。このことは各地方自治体からよく聞いておりまして、一体いつ、どうなるかといったようなことを聞かれるわけでございまして、このことは一体いつまでガソリン税がない時代が続くのか、ということになりますけども、そのことについても大変、地方は影響を受けるわけですね。予算を各地方自治体でつくっているわけですよ。これから議会で決定するけれども、しかし、つくって、それを執行しようとしているときになくなってしまったという状態を代表としてどう考えるか」

 「それから年間2・6兆円とおっしゃるけれども、いったいいつまで続けられるのか、この1年間なんですか。1年間2・6兆円。この1年間に2・6兆円も、これも大変でございます。これをあと何年続けられますか。その間のですね、財源を一体どうするのか。そのこともお答えいただけなければならない。私ども大変心配しているんですよ。大変心配しておりましてね、このことについての代表のしっかりした意見をうかがいたい。2・6兆円の財源が不足すれば当然地方も困りますけれども、中央もですね、財源をどうやって手当てしようか。財源なくなれば社会保障とか教育とか、そういう分野にも食いこんでくる」
福田「今回もなぜ不同意なのか、天下りがいけないということが主たる事情というように私は受け止めておるんでありますが、本当にそうなのか。これ天下り人事なのか、適材適所の場合、かつて官僚であったものが、そのポストにつくということがそんなに悪いことなのかどうか。人材を活用しない国家なのかどうか。そういうところを一つお尋ねを、確認をさせていただきたい。こういう風に思います。このことについてはきょう、自民党、民主党幹事長会談が行われまして、両幹事長はですね、オープンに日銀人事について話し合い、民主党内の雰囲気などを政府に伝えたと。それに従って政府は人事案を国会に提案したが、民主党内で同意を得られない事情について、天下りを認めないという強い意志だったと、鳩山幹事長からご説明があった。こういう風なことなんでありましてですね、ぜひそういう適材適所と思ったその人物が不同意になったことについて代表からひとつ説明をもらいたい」
小沢氏「総理からいろいろお話がありまして時間がなくなりましたが、私が言っておりますのは日銀総裁の件、ずいぶんおっしゃいましたが、私が言っているのは、いわゆる日銀総裁の問題だけではなくて、日本の政治、行政の機構が官僚機構という中央集権の中でがんじがらめになっているこういう状態ではいけないということを言っているんです。日銀はさらにその中でひとつの官僚の大蔵省のポストという形になっている。これだからこういうことは改めなくてはいけない」
福田首相「今回のチベットにかかわる問題。これは大変、せっかくのオリンピックを前にして残念なことだと思います。しかし、これはやはり一番責任あるのは、中国だというように思いますけど。中国がどのように解決するか、冷静に対応してほしい。そして平和的に話し合いで解決してほしいというように思います。そのために中国政府も全力を挙げてもらいたいというふうに思います。私どももですね、大変憂慮いたしまして、いろんな形で今申し上げた趣旨で、中国政府に申し上げているところでございます」
現状4/7までの報道では 日銀人事をめぐって、利上げ派の白川副総裁が総裁に昇格すこることについては、民主党は同意、渡辺博史氏については、副総裁になることには不同意ということらしい。が、気がついたことを適当に言ってみる。

 捩れ国会というが、自民にも民主にもねじれというか歪みというか、それが存在する。民主に対して批判のための批判政党などというたわごとを言っているマクロ経済音痴の「保守」の評論家が多々存在するが、民主には適切な金融政策という観念がないから反発しているだけで、それは、自民党内でも中川秀直、山本幸三以外わかっているものは少ないのだから、民主党と同程度のマクロ経済音痴の「知恵」の評論家が批判のための批判をしているに等しい。
 
 で、ここではもっぱら「政治」の中の世間、政策的違いということでさらりと眺めて、適当なこと、いい加減な観測をしてみたい。
  「映画「靖国」は、長年日本で生活する中国人の李纓(りいん)監督が、10年間にわたって靖国神社の姿を様々な角度から描いた作品だ。先月の香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど海外でも注目を集めている。」とされているが、この映画が上映中止となった。この事態に対して、様々な発言がある。これは「思想の自由」の位相、ないしは範疇で臨まれるべきことなのであろう。
「朝日新聞」は例によって過剰な反応気味だが、「自由」を守るという意義から述べている。これがいつも朝日新聞の論調なのだが、すぐさま戦前の歴史を持ち出しそれとの相似形で論じる論法が見える。この論法で、今現在の中国共産党の日中戦争時の歴史の歪曲とその認識に沿った中国政府の歴史教育をもちょっとした検証もなく中国側の意向に沿った論説の展開をする。韓国の歴史教育の内容もあまりに行き過ぎであるが、その行き過ぎの部分にはほとんど盲目的に従う論説を展開する。中国政府、韓国政府の歪曲した歴史教育は、非難されてしかるべきである。
 さらに筆者には、今回の上映中止がプリンスホテルの件と同じような位置関係にあるとは思えない。というのは日教組は、不正当な非合理的な圧力団体と化しており、またその歴史認識にも、かなりの疑問を持つからである。さらに、プリンスホテルは、快適かつ静寂な宿泊サービスを提供する義務がある。これが優先されたということである。
 ただ、類似点は街宣極右翼の威圧的活動を抑止する公安活動が極左の活動に対するそれと比較して甚だしく手薄であるということに過ぎない。
 読売新聞は上映中止を自由の観点から比較的重層的に述べている。おおむね同意だが、稲田議員は、朝日新聞が述べるように、上映中止を遺憾に思うという声明だけでなく、上映を推進すべく映画館に、また、警察に上映館の警備などを働きかけるべきであろう。それが「首謀者」である影響力の大きい政治家としての責任ある立ち振る舞いである。何よりも政治家にも「自由」が保障されているのであり、また、その自由のうちで発言行動しているのだからである。
 最後は産経新聞。これには笑った。上映中止は当然だそうだわ。表現や、ドキュメンタリーに政治的中立性を求めるという態度はどうにかしている。表現に中立性などありえるという思い込み自体が、「人」の実相を知らなさ過ぎる。
 この新聞が、「自由」を媒介に発言しているにもかかわらず、一方の「自由」を行為以前に封殺してもかまわないというのだからあきれかえる。それじゃあ、中国や報道統制国家ロシアと同じことになるわな(^_^.)。
 
 筆者を含めて一般庶民は、臆することなく、気兼ねなく、戦没者、戦死者を<宗教>的にも哀悼出来る恒久的施設がほしいだけ、だ。産経はゴリゴリの靖國ファンだからな、仕方ないが・・・・。



 
「靖国」上映中止―表現の自由が危うい 朝日新聞

これは言論や表現の自由にとって極めて深刻な事態である。

 中国人監督によるドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の今月公開を予定していた東京と大阪の五つの映画館が、すべて上映中止を決めた。来月以降の上映を準備しているところも数カ所あるが、今回の動きが足を引っ張ることにもなりかねない。

 右翼団体の街宣車による抗議や嫌がらせの電話など具体的な圧力を受けたことを明らかにしている映画館は一つしかない。残りは「お客様に万が一のことがあってはいけない」などというのが上映をやめた理由だ。

 トラブルに巻き込まれたくないという気持ちはわからないわけではない。しかし、様々な意見がある映画だからこそ、上映してもらいたかった。

 すぐに思い起こすのは、右翼団体からの妨害を恐れて、日教組の集会への会場貸し出しをキャンセルしたプリンスホテルである。

 客や周辺への迷惑を理由に、映画の上映や集会の開催を断るようになれば、言論や表現の自由は狭まり、縮む。結果として、理不尽な妨害や嫌がらせに屈してしまうことになる。

 自由にものが言えない。自由な表現活動ができない。それがどれほど息苦しく不健全な社会かは、ほんの60年余り前まで嫌と言うほど経験している。

 言論や表現の自由は、民主主義社会を支える基盤である。国民だれもが多様な意見や主張を自由に知ることができ、議論できることで、よりよい社会にするための力が生まれる。

 しかし、そうした自由は黙っていても手にできるほど甘くはない。いつの時代にも暴力で自由を侵そうとする勢力がいる。そんな圧迫は一つ一つはねのけていかなければならない。

 言論や表現の自由を守るうえで、警察の役割も大きい。嫌がらせなどは厳しく取り締まるべきだ。

 五つの映画館が上映中止に追い込まれた背景には、国会議員らの動きがある。自民党の稲田朋美衆院議員らが公的な助成金が出ていることに疑問を呈したのをきっかけに、国会議員向けの異例の試写会が開かれた。

 稲田氏は「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。それが本気ならば、上映を広く呼びかけて支えるなど具体的な行動を起こしたらどうか。

 政府や各政党も国会の議論などを通じて、今回の事態にきちんと向き合ってほしい。私たちの社会の根幹にかかわる問題である。

 いま上映を準備している映画館はぜひ踏ん張ってもらいたい。新たに名乗りを上げる映画館にも期待したい。それを社会全体で支えていきたい。
 福井総裁の手腕の評価だが、一般人にとっては金融政策などほとんど関係なく生活には無関係で、なんら影響を与えないと思われている超メタ次元の話題だろう。その一般人としての筆者が評価する。経済学は、難しいと思っているが、それなりに「経済学という教養」(稲葉振一郎)程度の知識から述べていくと福井総裁、あるいは福井総裁の組織としての日銀の罪は、就任期間5年のうちで、前半と後半に分けると後半はデフレ期待を呼び覚ます政策だったと断言できる。今般の円高も日銀が招いたトンデモな政策の結果だと推論する。理由は、単純明快である。ベースマネーの絞込みにある。ベースマネーの絞込みは、流通する円の縮小だから絞り込む前より円は少なくなる現象を市中に招き寄せる。よって、円と返還される外貨は、より多くを必要とする。だから、特に対ドルにおいて円高になったと考えることができる。この推論が経済学的に妥当、ないしは、該当に遠からずであれば日銀の後半の金利「正常化」政策が招きよせた「災害」となることになる。
 
 円高は、MF理論を為替レートに拡張して捉える理論もあるが、どうもそれによると今般の円高は基本的に納得のいく説明がつけにくい。

 また、前期は相対的に速水優と比較すれば大きく評価できる。振り返ってみれば一昨年の年末から昨年の株価、不動産の資産価格の上昇は、2001年から5年間続いた超金融緩和政策、また、福井が総裁に就任した2003年3月(イラク戦争開戦時期)から始めた財務省で当時為替政策を取り仕切っていた溝口善兵衛(現島根県知事)の米国短期証券の大量の購入による円安ドル買い政策(但し、購入の上限つきという制約があった)と福井新総裁の強力な量的緩和策と不十分ではあるにしてもデフレ脱却を表明したインフレターゲットもどき政策(リフレ政策)の効果が市中に行き渡ったマクロ的な需要拡大の表現としてみることができる。
 米国の経済回復とFRBによる長期金融緩和の明確な宣言があり、2003年5月に決定されたりそな銀行への2兆円の公的資金の投入によるハードランディング懸念の後退による株価上昇を通じて一定の金融上昇効果を持ったと考えられる。

 福井総裁の誕生の経緯をWikiから引用。少し流れを追ってみるための引用。

 
2003年、複数の候補者の中から財界及び小泉内閣の支持を得て、日本銀行総裁に就任。たすきがけ人事の慣行を破る形で福井総裁誕生となった。就任直後にイラク戦争が発生し、国際情勢が混迷を極めていた中での就任となった。
 
 当初は、速水路線(良いデフレ論争)を踏襲するのではないかと危惧する向きもあったが、そうした危惧に反して、景気にも配慮する姿勢を見せ、デフレ脱却に向けた舵取りを行っている。また、政府(内閣府)とも適切な意思疎通を図るよう心掛けており、政策当事者間の信頼醸成の点でも功を奏している。非不胎化介入による円安維持を行い、その後、日本経済ことに輸出部門は2004年から本格的な回復軌道に乗り、福井の手腕を評価する声が日々高まっているとの指摘がある。

 2004年2月14日、英エコノミスト誌はToshihiko Goldilocksと題した記事で、前任の速水優を「おそらく世界で最悪の中央銀行総裁possibly the world's worst central banker」と評した上、連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長や欧州中央銀行(ECB)のジャンクロード・トリシェ総裁ではなく、より強力な量的緩和に踏み切った福井俊彦を世界で最も優れた中央銀行総裁と評価する記事を掲載した。

 2006年3月には、5年超続いた金融の量的緩和政策を解除、同年7月には実質的に約8年間に及んだゼロ金利政策からも脱し、短期誘導金利を 0.25%(ロンバート金利は0.4%)へ引き上げることに成功。但し、米国経済・日本経済共に先行きの不透明感を増しており、引き続き難しい政策判断が求められる立場にある。wiki


 そこで、市場関係者の方が実務的に詳しいので、その「総括」を見てみる。メディアの「市場」関係者としてのエコノミストの評価は、以下にあげるように、06年の緩和政策の解除、ゼロ金利政策の解除というデフレ脱却宣言なき「愚策」に対しても比較的肯定的である。
 イラク戦争が、2003年3月20日に開始されて、5年になる。その間、米・英の兵力に対するイスラムの宗教的信仰との対立から、2006年のシーア派聖廟(せいびょう)爆破事件を切っ掛けにイスラム教内部のシーア派とスンニ派の対立に転化。イスラム教内部でのスンニ派とシーア派の「民兵」の次元で、すなわち、武力による対立にまで激化、抗争するにまでの事態なった。5年間に投じた米国累積軍事費が60兆円だとか仄聞する。米兵が4000人近くの戦死者に至り、イラクの住民が数万単位で死亡している状態であるとの報道がある。「犠牲」の惨さはあまりに大きい。とはいえ、武力抗争がイスラムの内部で続く状況があるとき、即座の米兵の撤退は、開戦理由のいかんにかかわらず開戦の当事者として余りにも無責任ではある、とは思う。第三の権力が、ここでは必要であるだろう。
 以下は、アルカイダ「思想」が、拡散していく土壌がイラクでは作られつつあるという報道。このような事態になるということは、開戦当時から姜尚中 、小林よしのりなどから指摘されていた。姜は、シーア派とスンニ派の対立が激化し、またクルド族に対する対応も非常に困難になるだろうという予測から開戦反対に言及、また小林よしのりは、米国の開戦は、大東亜戦争と同じように泥沼化、長期化するという指摘をして開戦に反対していた。「左」と「右」が開戦について一致して反対だったのだから興味深い現象だが・・・。
 イランのシーア派の跋扈が、核保有と連動して米国政府の戦略ミスと繋がる。イスラム内部の少数はであるシーア派と多数派であるスンニ派の抗争、イラク、イランとサウジアラビアの対立が、シーア派を媒介に反米に溶解していく危機がある。イスラム諸国家で混沌としていく情勢をイラク、イラン、サウジアラビアなどの中東情勢に限定した情勢は読ませるものがあった。東南アジアのイスラムの動きも知りたいものだが・・・・。

 
アルカイダ思想の拡散
イラク戦争の開始から二十日で五年となった。米国は依然、撤収への道筋を描けず、イラクの将来像も見えないままだ。「テロとの戦い」が続けられる中、「イラクの大量破壊兵器」という虚構の論理で始まった戦争は、イランの地域的影響力を飛躍的に強め、中東全域の政情を一層、不安定化させている。
    (エルサレム・萩文明)


 新家義貴氏の原油高の物価に対する影響をGDPデフレーターを使って論じている興味深い議論が掲載されていたのに気づいたのでリンク掲載。「消費者物価上昇でもデフレ脱却はまだ先」である。データで説明してあって極めて説得的である。氏の様な方が、本来のエコノミストと称することが出来る方なのであろう。必読もの。
 自民党の増税派や金利上昇派どもや民主党の仙石議員初め、ほとんどの民主党の議員のマクロ経済音痴どもには、デフレ脱却ならぬ金融政策の「不勉強の脱却」をお勧めする。

 原油高と円高による株安と続く経済不安は、国会議員たちの不勉強を原因とすることが、日銀総裁の同意不同意の「事件」で、さらに鮮明になったな。(笑)

追記:
 デモ鎮圧の抑制要求 中国政府に米国務長官
2008.3.16 10:58
 ライス米国務長官は15日、中国チベット自治区ラサの大規模暴動で犠牲者が出たことについて「極めて悲しい」出来事とする声明を発表、中国政府に対して過度のデ 
デモ鎮圧を抑制し、拘束したデモ参加者を解放するよう求めた。

 国務省は同日、安全確保が困難として、チベット自治区に滞在する米国人に退避勧告を出した。

 声明で長官は「暴力行為が今後も続く恐れがある」として、中国政府とデモ参加者の双方に沈静化を呼び掛けた。

 特に中国政府には「ラサとその周辺で警察官や兵士の数が急増している」と懸念を表明し、今後の当局の動きを米国が注視していることを強調。「政治や宗教に関する意見を自由に表明する、基本的かつ普遍的な市民の権利」を尊重するよう要求した。

 また米国は中国政府に対し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との対話を一貫して促してきたと指摘し、チベット問題の抜本的解決に取り組むよう求めた。産経新聞

 米国の政権は、共和党(保守自由主義政党)であるから、中国には批判的である。そのことを差し引いても、日本の政権与党もこれくらいの声明を出したらどうなんだ。それとも中国政府に配慮しなければならない、弱みでもあるのだろうか?このようなどっちつかずの姿勢は、保守でも、ないということを明らかにするものである。
 福田は、小泉「自由主義」から、話し合い「民主主義」へと方向転換の政治過程である。それは道路特定財源の一般財源化し不必要な道路は作らないという小泉時代からの「自民党」の公約さえ反故にする経済的社民政策への方向転換もしている。それだけでなく、金融関係での外資の規制、外資ファンドに対する「規制」など、おおよそ「自由主義」とは逆の方向に転換している。古賀誠などの「中選挙区」への逆戻り提言など、「選挙戦」の有利不利からの言辞だメディアは言うが、それよりも「自由主義」度が落ちてきていることを背景とする。何故なら、小選挙区では、「対立」が明らかにならなければならないが、自由主義から平等主義への転換によって、政策の違いから「人」の違いへ中選挙区は論点をづらし易い選挙制度として機能するからである。であるから、中選挙区制は対立を嫌う「日本人」になじみやすいという虚構が語られるのである。と適当に言ってみるが・・・。

 
日銀総裁人事案
 中日新聞3月8日付記事から抜粋。
表の左が、民主党仙石由人議員の言い分。これを読むと、なんと何と、民主党の「金融政策」とやらは、日銀に金利の上昇を求めているではないですか?その理屈がまた振るっている。低金利は、家計から企業への所得移転だそうであるから家計部門は金利上昇を望んでいるということだろう。

 何故金利が上がらないかという疑問は、仙石たちの頭には浮かばないのだろう。金融機関に対する資金総需要が少ないからである。何故資金需要が少なくなったか?銀行数が増えたという「構造」議論があるが、銀行の合併があることを見聞したりする中、さるどこやらの石原都立銀行もあたふたしているが、そんな経済状況下であることを考えるとその論理は、説得力に欠け、間違っている、と考えられる。
 
 資金需要が少なくなっているのは何故だろうか。融資を受ける企業に資金需要を起こすだけの設備投資、店舗改装、多店舗展開してまでの投資需要が少ない「社会」が循環的に存在するからである。端的に言えば、魅力ある投資を迎えるだけの需要見込みがない、不足しているからである。
 
 金利が上がれば、貯蓄が増え、家計の所得が増え、それで、消費も増えるという論法なのだろうが、消費は需要の一部である。総需要は、消費、投資、政府支出、及び純輸出で構成される。金利が上るとすると住宅ローン、学資ローン、耐久消費財など(おおむね、需要が増えれば価格が上がる財)のローンも上昇する。消費の一部である住宅着工数が減少、学資ローンの上昇は、家計を苦しくし、消費が減る、この面から見ても、金利上昇策は総需要減退策でしかない。さらに資産デフレの期待の現象が、将来住宅の値下がりが期待できる現象である住宅価格の下落が起きれば、住宅購入、マンション購入も現在時では手控えようということになり、総需要は減退、減速することが将来的に起こると考えられることになる。
 
 確かに企業と家計での局所的部分的な「移転」の動向を見れば、仙石議員の言い分も成立する。しかし、金融政策は、マクロ経済の安定のためにされる政策であり、家計と企業の所得の移転策では、ほとんど国民経済を向上させることにはならない。国民経済をみるとき失業率も見る必要があるからだ。
 所得は貯蓄と消費と税金などの公費の負担で出来ている。循環的に見れば、貯蓄が増えることは、貯蓄を受けた金融業界が、資金を需要する企業の投資、企業群の投資に使われる可能性がある。よって、貯蓄は、投資に使われ、個民所得が増大するという滑らかな循環をまたらす経済状態になっていることが望ましい。貯蓄の増大は、需給の逼迫による低位のインフレ状態では、総需要の増が見込まれるために既設企業群は需要を見込みながら設備投資、店舗展開などを考えるから金融機関を通した資金需要が増える。
 しかしながら、景気の拡大といっても、実質の経済率の向上だけで、名目の経済成長率は、よくて2㌫台である。マネーの循環を見ても・・・・。
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