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 更新が遅れているので、ここ一ヶ月ぐらいで読んだ本を掲載。予想外に面白く、楽しめた順に並べてみた。詳しい書評は、例によって時間が出来てから後程という事で・・・・。
 適当にコメントすると上野 泰也の本書は、エコノミストに対する当方の偏見を払拭してくれた「良書」。財政政策、金融政策無効論を説き、構造改革によって景気が回復するという「楽観論」を展開した斉藤精一郎などその他、格差から目を疎けない市井は分るもののデフレに対する策が「制度」、あるいは社会システムによることだけを目指す金子勝、デフレがよいデフレであるという擬制の社民主義者、内橋克人などとかいう経済「学者」なんどより、ずーっとマクロ経済「学」の理解の上に経済、金利「予測」している。中でも「格差」型景気という用語が、デフレ圧力のあるうちでの景気として踏まえるところ、マクロの経済政策を織り込みながら長期では供給側の視点で見ること、短期では需要と供給でみていく論点の持ち方など優れていると思う。 
 マクロ経済の基本を無視せず、下手な経済学者の経済論より的を得た指摘がある。金融政策、財政政策、景気を構造的ではなく循環的な視点から眺めるまともな経済観、為替、長期金利、株との関係、上場企業と中小企業の従業員数と景況感DIから見た消費という需要分析、経済指標の見方も達者な見方が覗える。著者上野は有効求人倍率と失業率を比較検討しているが、失業率は「遅行」指数であり、また有効求人倍率は、一致指数と見るという点など、「景気」を見るのに参考になることが縷々指摘してある。

 田中秀臣は、まともな経済学とはお金ばっかりではなく、インセンティブによる経済性や「機会費用」(選択による犠牲を費用、コストとみたもの)であり、「弱肉強食」の市場主義を説く学問とはまったく違った学問なんだと力説。
 こういうものなんだよん、ということをそれぞれの分野で示していて清々しくも面白い。ネタばれになると読まれなくなるといけないので適度に内容紹介すると・・・。
 経済成長論のない財政再建論、社会問題、最低賃金の引き上げ法、年金未納問題などなどは根底的な問題解決にはならない。そのことも再確認並びに教えてくれる。全体の経済成長が様々な社会的困難をも解決するという設定は、大づかみに言ってポール・クルーグマンの米国の様々な医療制度の問題、年金問題も経済によって解消できるという視点と同じところをみた気がする。日本の問題や話題を扱っているので、身近な話題で参考になるわね。
 アレーと思ったのは、オリンピックの後には、不況になるの項目。変動相場制とドルペッグなどの現中国が採用している固定相場制では、積極財政政策の効果はかなりの差が出るのではと思うが、どうなんだろう。
 
 野口旭と田中秀臣の共著「構造改革論の誤解」は、いささか古いので掲載は今更な、ちゅう感じだが、本書が刊行された2002年2月は小泉賛歌の一億総ヒステリーの状態であった。そのような「異論」の差し挟みを許さない風潮の中での本書によるデフレ放置「批判」の意義が充分に見えてくる。彼らは、構造改革を批判しているのではなく、デフレ下でのそれを批判しているのであって、デフレの脱却が無ければ、構造改革そのものが解体、あるいは不徹底な「改革」に落ち着くことを懸念しての発言であったのである。それだけ説得力のある批判だったということである。
 小泉、安倍の改革路線が終了した時点でも、読まれるべき正論。不良債権が何故処理されたかが縷々と現実説明がなされる。不良債権は処理されたのではなく、実質経済成長率が改善しデフレ圧力の低下による「景気」が回復して、株価が上昇したために貸し渋りも解消したのである。
 社会科学は現実の説明が内在的に出来なければ異説というよりただの有害なデマにしかならない。デフレ対策無き、都市と地方「格差」、企業間格差を問題視するデマ経済学の陥穽の指摘の原資がここにある。

 猪瀬 直樹は構造改革一辺倒の論者だと思っていたが、「構造改革論の誤解」の推薦者でもあるとは知らずじまいだった。

 で、これもいまさらながらだが、「日本国の研究」「続日本国の研究」を読んでみた。道路関係四公団民営化推進委員会の猪瀬は改革に着手するが、道路公団の改革に一定の成果を収めながらもデフレ圧力といわゆる道路族、国土交通省の省益(石原伸晃)によって中途半端な改革に終わらされた。

 2005年(平成17年):10月1日 日本道路公団分割民営化に伴い、同公団の業務並びに権利及び義務は、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社及び日本高速道路保有・債務返済機構に分割して継承され解散となった。

 簡単に言うと道路公団を二つに分け、二階建てにしたのが「改革」の不徹底だった。高速道路の保有者、道路の開発と業務運用者を分けて、保有者と開発は国、運用者を民営化した。所有者から民間の運用者が借りて利益を上げ、その利益を保有者に返還するという改革となったわけだ。が、国が道路を所有するということは、そこに省益を認めるということであり、また、開発も日本高速道路保有・債務返済機構が担当するということになる。保有者が債務保証を国に対して要求できる可能性を残したのである。

 当時、石原伸晃大臣は、料金収入を新規高速道路建設にまわすことを容認する姿勢であった。

 石原大臣は新会社が新たに借金をして建設することと料金収入を建設費に回すことはそんなに違わないとの主旨を述べていた。

 だが両者は全く違う。新会社による資金調達は金融市場での資金調達である。金融市場では、会社の財務もプロジェクトの収益性も厳しく査定される。査定に合格しなければ資金調達は出来ず、高速道路も作られない。料金収入を建設資金にまわすのでは、査定が行われず、無原則に不採算路線を建設し続けてきたこれまでと何ら変わらないことになる。

 

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