若田部昌澄(早稲田大学教授)の民主党の政策の見方
若田部はマクロ経済学者としてとても参考になる見解を持って、かつそれを時期にかなった啓発している学者である。経済学素人の大衆に啓発してくれるその姿勢と経済の見方が基本を抑えているから難しいマクロ経済も良く分かる。
東京都議選での自由民主党の歴史的大敗を受けて、麻生首相は8月30日の衆議院選挙を決めた。すぐ後の民主党の報道で伝えられる政権公約を観ているのだが、参考にはなるだろう。マニフェストでは不十分で読める。
クルーグマンの流動性の罠と金融緩和の意義
数学が入っているのでちょっと読むのも厳しいが、ともあれ日銀の審議委員さんにはしっかりと読み込んでもらって、自分達の金融政策が不公平に傾いているということをしっかりと認識してもらいたいものだ。が、奴らは相当に強情であり、「自説」を曲げないことが日銀の独立に通じると考えている。このような考え方は、一般には信念があるとして受けがいいのだろうが、その「自説」がデフレやインフレが、長期的に通貨供給量とその増大に対しての期待にかかっていると思っていないのだから、経済学的な「自説」の範囲に収まっていないことになる。
もっと単純化すれば、中央銀行の役割にマクロ経済の過剰なインフレとデフレを長期の視野を持ってコントロールする責任があるということを放棄しているのである。須田がインフレターゲットについてなにやら御託を日経新聞の「経済教室」で述べていたが、インフレゼロから少し上までを日銀が想定しているインフレ情勢らしい。インフレゼロは、デフレと同じ状況であるにもかかわらずにである。
小宮の門下生であり優れた研究家である須田にしてこの始末である。インフレの中身が問題で、生鮮食品とエネルギー価格を除いたコア・コアCPIは、明らかにゼロ以下であるが、コアCPIは、少し高めに出る傾向がある。どのCPIを根拠におくかによって経済認識が変わってしまうわけである。
そこで、インフレであるかどうかは、名目GDPを物価調整をした実質GDPで割ることによって引き出されるGDPデフレターも眺めてみる必要ある。しかしこれもマイナスである。名目のGDPが実質のGDPより上に無いのである。これはデフレの状況である。
日銀は、実質のデフレを目標にしているのだわな。ホント大丈夫かよ、日銀さん。蛇足でいえば、かの白川総裁も米国の経済学者たちが90年代のデフレスパイラルに陥ろうかという危機のとき、日銀にあらゆる物を買えといっていたことを捉えて、米国がゼロ金利政策に突入、そして長期に渡る経済の停滞が米国では予測される中、ざまあみろとでも言いたげな発言をそこかしこでしているらしい。様々な発言や、06年3月の「量的金融緩和」の解除、07年の二度の政策金利の引き上げは奴が首謀者である。06年の解除後、中堅企業や中小企業の景況感はかなり悪化、そして矢継ぎ早の07年の政策金利の引き上げは、平均株価にも影響を及ぼしたという見方がある。そんな奴が総裁だからよ。総裁を選んだ連中にも相当な責任がある。総裁の人事案の提出権は、自民党にあった、そして、人事同意したのは民主党である。すなわち民主党も奴を選択することにのったのである。奴は歴代の日銀総裁のなかで一番の強情な奴だろう、と思う。その点、自民党も民主党も共同正犯であるな~。
奴の場知らずの出来損ない加減は、田中秀臣のブログで読める。(田中秀臣頑張って大衆にマクロ経済学的啓発をしていってほしい!)そのエントリーの中の奴の日銀での発言や岩田と若田部の発言もリンクされている。関心のある向きにはどうぞ・・・。こんな奴と長期停滞ーーーデフレと景気の循環を伴った停滞ーーーへの陥りをしたくは無いよな、誰でもが・・・・。
参考までに白川の量的金融緩和にいたしての議論と岩田紀久男と若田部昌澄の量的緩和の議論をコピーしとく・・・・。
白川のの議論
「第2に、金融システムの安定には、流動性供給と並んで公的資本の注入が不可欠なことは先ほど述べた通りです。しかし、こうした政策対応は、金融仲介機能を改善させるものですが、危機を引き起こした根本的な問題を解決するには不十分です。
この点は、第3の論点を提起しています。問題解決のためには、民間非銀行部門で積み上がった様々な過剰の解消が必要であることは論を待ちません。しかも、銀行部門への公的資本の注入や量的緩和などを通じた潤沢な流動性供給は、非銀行部門の過剰解消の必要性自体を帳消しにするものではないことも忘れてはいけません。こうした過剰の解消が完了し、経済が持続的成長軌道に復帰するには、ある程度の時間を要することを認識しなければなりません。どの程度の時間が必要かについては、バブル期に積み上がった過剰の大きさや、バブル崩壊後に発生する危機時において、信頼の喪失によって増幅される負の相乗作用の厳しさに依存しますが、いずれにせよ、その時間は短くないということを肝に銘じる必要があります。 岩田紀久男と若田部昌澄の議論 「リフレ政策ではなかった量的緩和 リフレ政策の中心は貨幣ストックを大幅に増加させることである。日本銀行は01年3月から06年3月までいわゆる「量的緩和」を実施した。しかしこの政策で日銀が目標としたのは貨幣ストックの増加ではなく、一定の日銀当座預金残高の維持であった。よく誤解されるのだが、当座預金残高の維持だけでは市中に回る貨幣ストックは増えない。増やすためには、銀行が国債不足に陥るほど大量に、日銀が国債を買い取る必要がある。銀行が国債不足に陥れば、銀行は民間非銀行部門から国債を買って不足を補おうとする。これによって初めて、貨幣が民間の非銀行部門に供給される。
しかし、当時の国債発行額に占める日銀の国債購入増の比率は、量的緩和開始当初の01年こそ67%と高かったものの、03年以降は18%、3%、10%にとどまった。そのため、貨幣ストックは5年間で11%しか増えなかった。要するに「量的緩和」はリフレ政策ではなかったのだ。」
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株価下落が大恐慌の引き金になったといわれる。しかし、それ以前の政策が間違っていた。フーバー大統領は、歳出を増やした。これを補うため、歳入を増やすための増税を織り込んだ緊縮財政策をとる。株価も暴落し、資産デフレが、バランスシート不況を齎し、実体経済が悪化して失業率が高まっている不況期に「緊縮財政」増税策を緊縮に異常な「信念」を抱くフーバーは採ったのである。これが当時の米国経済を壊滅的、破壊的な経済作用を導入する。
33年には、全国的に銀行の破綻が波及する。30年から31年にかけて年平均600行の銀行が破綻、32年に小康状態、そして33年に爆発的に増えて破綻行が3500行にも及ぶことになる。
29年以前に、当時の米国FRBは、株価上昇に危機感を抱き、金利を大幅に引き上げていた。28年2月に3・5㌫から4㌫、5月には4・5㌫、そして7月には5㌫へと三度にわたって引き上げた。引き上げた当初は株価は上昇。が、しばらくして、これが株価の暴落につながった。また、海外との金利差が縮小し、金が大量に流入することになる。ここが金本位制の制度の弱点である。金本位を維持するならば、米国は金利を引き上げるのではなく、緩和して、金の流出に努めるべきであった。ともあれ、この金融早急な引き締め策によって、株価はピークのときから7分の1に下落したのである。金融政策がいかに経済的な影響が大きいかの現在への教訓にもなる。
綿花の価格下落30年から33年に間に40パーセント下落であった。このような情勢から米国の農民達が地方から澎湃としてデフレ物価の下落に対して反対を表明。ルーズベルトはこれに同意する。デフレでは農業経営が出来ないという切実な政策的要求が、大統領を動かしたのである。
米国の大恐慌は29年から33年までの失業率が25パーセント、デフレーションが10㌫台の物価下落率であった。賃金を得ているものたちには、社会不安、解雇の不安は与えても、デフレーションは、実質の賃金は上昇しているのだから、現実的な危機は無かった、と推測もできる。
デフレーションは、債務者を苦しめる。なぜなら、実質的な金利負担は、物価下落によって上昇するからである。それは債務国家にも動揺の負担を与える。そのため、ケインズは、国家の負債を軽くするため国際的な共同の基金の設立を提案していた。これがIMFの原型であるとされが、このことの指摘も本書にはあって、興味深い。
デフレが債務者に負担を強いるという点をフィッシャーは、ルーズベルトに「貨幣錯覚」として説いた。名目の金利は、経済の状態によって姿を変えているが、それに人々は気が付かないということである。
この亡霊の姿は、実質の金利は、名目の金利からインフレ率を引くことで導き出されるが、実生活ではこれについてほとんど気づくことがない。
債務者は、経済の状態が良くないため負担が増え借金を返済するように行動する。借金の返済は、債務者にとって正当な行為であるが、マクロ全体で見ると、通貨の市中の銀行などへの金融機関への通貨の滞留を齎す。なぜなら、モノ・サービスが売れないから、新たな資金需要が減少する。このような市中での通貨量の不足は、物の価値の下落を意味する。つまりデフレの圧力が全般に及ぶのである。デフレと景気の上昇も伴えば(但し、景気の回復感には乏しい景気上昇である)、逆にデフレと不況が伴えば、さらに劇的なデフレへと不況を誘導することになる。
そのほかに本書では、ルーズベルトとケインズのやり取り、その政策の採用の可否とルーズベルトの逡巡、さらに、ルーズベルトのリフレーション政策への果断な転換が今日的な意味でも参考になることが描かれている。エクルズ、フィシャー、ケインズ、そのほか多くのマクロ経済学者が様々に政策当局に提言し、政策当局とやり取りしてるのが興味深い。
フーバー不況ならず、37年38年にルーズベルト不況がやってくるが、それも、財政政策の緊縮と金融の引き締めによって起こされたのといえることが指摘されている。政策として失業者1000万人に対する失業対策など、労働者、勤労者の生活、雇用の政策の実態などが詳述されている。とかくマクロの経済本は経済事象を扱うときにデータの記述だけに終わることが多い。それだけに終始せず、人々の困窮とそこからの脱出への死力の有様も描がこうというしている。
細かいことだが、秋山の通貨の引き下げ、「近隣諸国窮乏」政策であるとの説には納得がしがたい。それは「固定相場制」であればいえるのであって、31年にイギリスと日本が離脱、33年に米国の金本位制からの離脱、あるいは通貨切り下げへ踏み切ったフランスとイタリアは経済が良くなっており、さらに35年には金本位からの離脱をフランスは果たすのであるから、近隣諸国窮乏へとはならないのではないかと思うが・・・・。
国際的な金本位制の制度的欠陥が指摘されいないので、なぜ米国の株価暴落が、世界恐慌へと波及していったのかが説明不足なのが残念である。とはいえ経済学を適応した手軽に読める普及版の「歴史本」は、はなはだ数が少ないので、筆者にとっては嬉しい一冊である。
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昭和恐慌と経済政策
中村隆英
1922年ジェノア会議の通貨に関する決定
震災手形の発行
田中義一内閣の瓦解
蔵相 三土忠造の旧平価による復帰の拙速の指摘
ドイツ レンテンマルクの採用と中央銀行による通貨発行の制限の設定によるハイパーインフレの沈静化
英国 チャーチル(蔵相)の金本本位制旧平価での復帰論とケインズの旧平価復帰の過ちのマクロ経済学からの正当な指摘
米国 ハーディング大統領の「正常に返れ」論による1919年の金本位制採用の底流思想
ケインズの債務国家に対する「救済」論 ドイツは巨額な賠償金を負った。この債務負担を猶予すること。またドイツ銀行の通貨発行を一定の制限下におくこと。レンテンマルクによって今までの通貨単位を切り上げたことによってドイツの驚異的なインフレが終息することになった。
英国は一次大戦で、莫大な戦争費用を賄う為、戦債の発行をし主として米国に戦債を負った。
石橋湛山、高橋亀吉らの旧平価復帰より新平価での復帰についての正当な指摘
主な登場人物と事件
蔵相井上準之助と民政党浜口雄幸、幣原喜重郎
金流出と三井財閥の金融機関のドル買い円売り
それに対する民衆の非難
日本銀行総裁深井英五
ロンドン軍縮会議
安達謙蔵
海軍軍令部加藤寛治
満州事変
陸軍統制派軍務課長永田鉄山
陸軍参謀石原寛治と関東軍
武藤山治
養蚕農家の窮乏と中小企業の危機
銀行の倒産と不良債権
インテリの失業
蔵相高橋是清の金本本位制からの脱却とリフレーション政策による景気回復
政友会犬養毅
5・15事件
2・26事件
以上、後に修正など加える予定、いつになるかは分からないが。
政策ベースの経済的効果やマスメディアやその報道にあまりにも踊らされる「財源」不足論は、有効な金融緩和手順をとらず騒いでいのみで耳をまともに傾ける価値は無い。このような財源不足論などとはべつに、適当にシナリオ別に眺めてみるのも面白い。
民主党が今回の衆議院選で過半数以上を獲得、安定政権となったとする。保育など、教育産業の斜陽化に歯止めがかかる。このことは間違いないだろう。自民党のエコ減税は、家電と自動車産業の底割化を防いだのは、間違いない。それと同じく、民主党が圧倒的多数を占めることによって、つまり安定政権として運営する条件がそろったとすると、有権者の多くは長期の視点を政策内容にあわせて行動するよう傾向を持つ。
民主党の案は、自民党の返済なしの奨学金給付とちがって、一律の子供手当て、未就児手当て(これは自民党、民主党に限らず、今頃これが政策の前面に出るとは、遅すぎる観がある)小学生、中学生を持つ家庭に給付される。いうまでも無く子供を持つ家庭にとってはとりあえずの可処分所得の増加が見込めることとなり、ありがたい政策である。ここで、積み立て型の学資保険や学習支援事業などにとっては、追い風となる政策となるなるだろう。但し、長期のかつ安定的政権であることが条件である。なぜなら、長期的な移動は、教育関連の総資金の数パーセントが動いただけでも斜陽化を防ぐ効果を持つだろうからである。
しかし、民主党が獲得議員数を多くをとらず、過半数に達しないようであれば、このシナリオはかなり難しいものになるかも知れない。自民党の政策のいいところ、民主の政策のいいところ取りが始まればいいのだろうが、そのようには「政治」は機能しないだろう思う。
個人的には、返済不要の奨学金制度の額と給付対象を段階に分けて、高校段階からするのが望ましい。というのも、質的労働として高い価値を持つ、あるいは、しっかりと働いたものには多くの報酬が得られるという社会は、活力のあるそれとなるだろうから、奨学金制度を拡充するほうが望ましいのだと思う。但し、不健全な言い方であろうが、それに乗り遅れた人々には再度の挑戦に挑める制度が必要であるこというまでも無いことである。積極、果断に挑戦するものたちに大きな金銭的な評価だけではなく、社会的評価を与えるべきである。
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自民、マニフェストに年2%成長を明記
- 2009/08/02(日) 01:38:05 |
- 国内政治
- 麻生太郎首相(自民党総裁)は31日午後、党本部で記者会見し、衆院選のマニフェストを発表した。これにより、主要政党のマニフェストが出そろい、各党は本格的な政策論戦に突入した。自民党のマニフェストでは生活支援の充実を打ち出して「政権交代」を唱える民主党に対し、経済成長戦略を通じた所得向上を目指したのが特徴で、政権政党として「責任力」を訴える。
- 自民党マニフェストのキャッチフレーズは「日本を守る、責任力。」。成長戦略では「2010年度後半には年率2%の経済成長を実現する」ことを目標に掲げた。
- 今後3年間に内需拡大の基盤づくりを重点的に進め、40兆から60兆円の需要を創出。太陽光発電を20年に20倍にすることなど、「骨太の方針2009」など麻生政権で決定済みの経済対策をほぼ踏襲した。
- また、幼稚園・保育所の幼児教育を3年間で無償化するなどの生活支援によって、10年で世帯の可処分所得を「100万円増やす」と明記。10年後に1人当たりの国民所得を世界トップクラスに引き上げるとしている。加えて、高校、大学生向けに給付型奨学金を創設。低所得者の授業料を無償化するなど、子ども手当を目玉政策とする民主党に対抗した。ただ、生活支援策の必要額や財源は明らかにされていない。
- 年金問題では、3年以内に「無年金・低年金対策」のための具体策を講じると明記。地方分権では、道州制基本法を早期制定した上、17年度までの移行目標を明示した。
成長戦略そのものには賛成。巷では成長戦略などかなりの眉唾経済論として反感をもたれるだろうが、これが無ければデフレが継続する限り国民所得は上がらないよん(^・^)GDPは企業側の利潤、労働側の所得、資本家の配当にしか腑分けできないので、GDPの向上が無ければ労働側の賃金上昇は見込めないということになる。成長率の向上を無視したたとえば「労働分配率」の向上などがいわれることがあるが、それは無いものねだりに等しく、虫のいい労働者達のたわごとである。
不況期になると特にそのような言辞がマスメディアなどで騒がれるが、賃金の上昇がなぜ抑えられるかといえば、その経済に適切なインフレが無いからである。これはマクロの経済学の分かっていることのひとつである。
自分達の労働を過剰評価しすぎるというのは、古今東西同じ傾向がある。賃金を上げたければ、失業率の高止まりを防ぎ、7割経済から脱却するためにもデフレの脱却を目指すべきである。
名目の成長率が、4㌫が最大のところだろう。実質成長率を上回るような量的金融緩和を伴った財政政策運営が望まれることになる。
話題がそれるが民主は、デフレの脱却よりゼロ金利からの脱却を優先する馬鹿なことを抜かしている大塚耕平とか中川正春や仙谷由人とかいうマクロ経済にあっての金融政策の理解に乏しい「とんま野郎」どもがーーー物価安定目標を掲げる伊藤敏隆を日銀の総裁にする人事案に同意に賛成しなかった連中であるーーー主流派であり、物価安定策を目標とすべきという小沢さきひと、まぶちすみお、などは傍流となっている。
自民は雇用不況の局面で、消費税の増税を目論む馬鹿どもが主流派である。山本幸三、大村秀章、中川秀直あたりは、金融政策について明るいが、これも傍流である。
もうちっと理論的にも現実的にもまともな長期国債の買い切り策を含んだ量的金融緩和を軸にしたデフレ脱却成長戦略掲げろよな、自民党!!
日銀マネ タリーベースに観られるように、日銀様はこの景気後退期二通か供給を絞っているようだ。経済の底打ちは3月にあった。それからの回復は経済水準の低い7割、ないしは8割の経済での回復期にこの構えである。(>_<)。尤も筆者としては、政府の緒対策は景気の底割れを防いだと思う。同時不況期に国際経済強調に積極的であった。もしその当時に自国だけの「独自」の経済論ーーーたとえば民主党の金利を上げれば景気が回復するなどという「新中間層」向けの出鱈目な資産形成論による景気回復論を振りかざした論ーーーで国際的に対応していたのならもっとひどい結果を齎しただろう。
家電、自動車のエコ減税、高速道路の1000円政策、政府投資銀行の兆単位の融資政策、緊急の30兆円ほどの信用保証制度の拡充、デンソーなどに対する雇用助成についてすべきことをしていると思う。しかしながら、その緊急対策もそれ自体で乗数効果、波及効果を期待するのは、政策当局としては甘すぎる。その策の背景に、通貨供給量の拡大があるという長期の政策の下支えが無ければ、いずれはかの財政出動による景気は失速するであろう。失速が早くなる危険がある。
こうした観点からの金融緩和と財政出動のあわせ技が機能していない経済に対する政策懸念が、一部を除いてマクロ経済学者にほとんど観測できないのは驚きである。
2009/7/28 米国株式市場では、大恐慌以降最も急激な上げ相場が見られた後であるにもかかわらず、バリュエーション(株価評価)で見た割安感が強まっている。2年前に信用市場が機能不全に陥って以降初めて、アナリストが米企業の利益見通しの上方修正に転じたためだ。
2009/7/28 今週の米経済指標は、貿易や政府の景気対策が住宅価格低下のほか在庫投資や個人消費、設備投資の減少の悪影響を和らげ、過去50年間で最悪のリセッション(景気後退)が4~6月期に緩和した様子を示す可能性が高い。 二つの記事は、ブルームバーグからの引用。米国の経済は、堅調に推移している模様。それを受けて、日経平均も1万を上回る勢いだが、但し、小売業、サービス業などの「内需」関連株はそれほどでもないといわれている。デフレの圧力が浸透しつつあるのだろう。また株価には現れにくい中小の企業では、倒産が相次いでいる。これでは、就業者の多くが勤めている「内需」関連産業と中小企業の停滞によって、雇用環境は改善するにはかなり時間が常識的に考えても必要である。さらに産業間格差、それに伴い所得格差が広がる傾向を維持していくであろう。 米国株「26%の上昇余地」 業績予想 「改善」が「悪化」逆転
JPモルガン・チェースの集計によると、S&P500種株価指数を構成する主要500社の業績予想について、大手金融機関が6月に行った修正は、引き上げが896件、引き下げが886件だった。引き上げが引き下げを上回るのは、1兆5000億ドル(約142兆円)超のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の金融損失が第二次大戦後初の世界同時リセッション(景気後退)を引き起こす前の2007年4月以来だ。
◆相次ぐ好決算
14日発表のゴールドマン・サックス・グループの4~6月期決算が過去最高益となるなど、予想外の好決算が続いたのを受け、アナリストは10年の企業業績予想の上方修正に動いており、S&P500種企業の来年の1株利益見通しは74.55ドルと、5月時点の予想(72.54ドル)から引き上げられた。
S&P500種の株価収益率(PER)は現在、13.13倍(10年予想利益ベース、以下同じ)。これは、PERが過去50年間の平均(16.54倍)に戻るためには、S&P500種がさらに26%上昇する必要があることを意味している。
インベスコ・エイム(運用資産3480億ドル)のシニア市場ストラテジスト、フリッツ・マイヤー氏は「認識が著しく変化している。すべては経済指標の改善に起因する」と指摘。「リセッション(景気後退)期に特有の心理が働き、期待が必要以上に押し下げられてしまった。こうした状態は、今後の企業利益の上方修正や株式相場の上昇につながる」との見通しを示した。
昨年9月の米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻(はたん)を受け、ドル建て翌日物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は一時、過去最高の6.88%に上昇。米経済は過去50年間で最悪のリセッションに陥り、昨年のS&P500種の年間騰落率はマイナス38%と、1937年以来最大の下げを記録した。こうしたことを背景にアナリストらは記録的なペースで企業利益見通しを下方修正した。
JPモルガンのデータによると、昨年10月にアナリストらが実施した4716件の利益見通し修正は、5件中4件が引き下げだった。
◆悲観見通しが一変
昨年10月から今年6月にかけての企業利益見通しの変化は、JPモルガンが00年に集計を開始して以降最も大きかった。2番目に大きい変化は、株価が2倍になった5年間の強気相場の起点である02年10月に見られた。
S&P500種は前週末比4.1%高の979.26で先週の取引を終了。12年ぶりの安値を記録した3月9日以降の上昇率は45%となりPERは13.13倍に押し上げられた。ブルームバーグが集計したデータによると、PERが1959年以降の平均水準に戻るには、S&P500種は1233.6まで上昇する必要がある。(Lynn Thomasso、Michael Tsang)リセッション急激な緩和 4~6月期 GDP・新築住宅販売に明るさ
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、商務省が31日発表する4~6月期のGDP(国内総生産)速報値は前期比年率1.5%減と、1~3月期の同5.5%減に比べ小幅な減少にとどまるとみられている。
商務省が29日発表する6月の耐久財新規受注は前月比0.6%減と、3カ月ぶりの減少になる見通し。
商務省が27日発表する6月の新築住宅販売件数は前月比2.9%増の年率35万2000件の見込み。今年1月には過去最低の32万9000件まで落ち込んでいた。
製造業や住宅建設業が安定するなか、世界的な需要回復への取り組みも輸出の増加につながっており、在庫の縮小を受けて7~9月期の米GDPはプラス成長に転じるとみられている。一方、失業率の上昇が続くとみられているほか、住宅価格はさらに低下する公算が大きいことから、米国のGDPの7割を占める個人消費は、比較的緩やかな回復にとどまる可能性がある。
ナロフ・エコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「リセッションの度合いは急激に和らいでおり、景気が底入れし始めている」と指摘。「7~9月期の成長率は若干のプラスになるとみている」との見通しを示した。同氏はブルームバーグ・マーケッツ誌がまとめた2008年予測家ランキングで首位だった。
4~6月期のGDPが減少なら、4四半期連続のマイナスで、四半期ごとの集計が始まった1947年以降で最長の記録となる。
先週の米国市場は、景気底入れの兆しを受け、株式相場が上昇、債券相場は下落した。ダウ工業株平均は1月以来半年ぶりに9000ドル台を回復。前週末に比べ4%上昇の9093.24ドルで取引を終えた。10年物国債相場は週間ベースで2週連続の下落となり、利回りは3.66%に上昇した。
ブルームバーグが7月第1週に実施したエコノミスト調査によると、今年7~12月期の米GDPは平均1.5%のプラス成長となる見込み。
6月に25年ぶりの高水準となる9.5%に達した失業率は、来年1~3月までに10%を超えるとみられている。(Bob Willis)
失業率5%台後半に 民間予測、年末にかけ最悪水準
2009年7月25日 16時50分
雇用情勢が悪化し、完全失業率が今年秋から年末にかけて過去最悪の5%台後半に上昇すると、民間エコノミストが予測していることが、内閣府所管の経済企画協会による調査で25日、分かった。
景気は最悪期を脱したものの、雇用情勢の低迷は、所得や消費の回復を遅らせる要因になるとみられる。企業が人員削減や新規採用の抑制を進めれば、雇用への不安が再び強まる恐れがあり、8月末の衆院選後に発足する次期政権にとっても、雇用対策は主要課題となる。
同協会の調査は、6月25日から7月2日までエコノミスト40人を対象に実施。36人が回答した。
調査結果によると、5月に5・2%だった完全失業率(季節調整値)のエコノミスト予測は、10~12月の3カ月平均で5・56%。毎月の失業率は2003年4月などに記録した5・5%がこれまでで最悪だが、10~12月にはこれを突破する公算が大きい。
10年4~6月には平均5・66%まで上昇。その後は緩やかに低下するが、10年10~12月までは5%台後半の高水準が続くとしている。
10年度の失業率に関しては、エコノミストの回答の平均値は5・55%だった。全体の約2割が6%台まで上昇すると答えた。政局の混乱などで景気対策が遅れたり、金融不安が再燃したりすれば、雇用も一段と悪化する可能性がありそうだ。(共同)
これぐらいの報道が、経済上の雇用報道の限界だろうと思われる。雇用は、健康的な言い方ではないが、資本主義では基本的に「市場」である。需要と供給のそれでしかない。そうでなければ、なぜ求人が減ったり、増えたりの説明が付かない。
労働市場の機能を健全に保つためには、マクロの経済の安定がまず第一に考えられないければならない。マクロの経済の安定とは何を意味するか。それは、激しすぎるインフレも起こしてはならないし、また持続的な物価の下落も起こすべきではない、ということに過ぎない。この辺までは、マクロ経済学で、分かっていることある。
インフレ、デフレの貨幣的な現象は、長期では、かなりの長期で、通貨の供給量によってほぼ決定される。短期では、需要と供給で決定される。が、それもここの企業、ここの個人の現在の所得だけでなく将来のそれにもに大きく依存する。単純化すれば、成長率の向上が見込める状態にならなければ、需要の回復は望みがたい。
ゼロのインフレを考えたとき名目賃金の下方硬直性によって実質賃金の高止まりを諸企業は選択し放置することが多い。(物価の継続的下落の下では名目賃金の据え置きは実質賃金を上昇させ続けることになる。名目の賃金=実質の賃金+インフレ率であるからである)、その結果、雇用の抑制、そして失業率の高止まり(自然失業率の上昇)を経済状態が諸企業に誘導することになる。ここでもデフレの脱却策がとられなければ、経済全般に賃金という労働者所得を経て、歪みを誘導することになる。
デフレの脱却を諸企業の創意工夫や合理化努力に求める連中がはなはだしく多い(はっきりいって、それらはマクロとミクロの分からない馬鹿である。自らの努力や創意工夫だけでデフレ脱却が容易に出来るのなら、金融政策や中央銀行などいらないといっているに等しく、まったくもって自己中なのだわな、本人はそうは思っていないところがいじましい)が、それはかなり困難である。
小売やサービスの同業他社と市場を媒介に価格や製品、サービスで競争しているしているからである。他社が価格で消費者に対して勝負してきているのに、それに対して品質で勝負するなどという方法は、よほど特異な企業でなければ出来ない。そのような特異な企業がそれほど存在するとは、なかなか考えにくい。小売業、サービス業での財務は流動性比率が低い、これはそれらの業種では現金や売り掛けの流動性が重視され、価格破壊が業績悪化につながりやすいことを示す。デフレの圧力は、これらの業種に集中的に現れ、企業の業績にも流動性比率が低い傾向が他の業種に比較して大きな影響を与える。ここでもデフレの脱却が必要条件となる。
[東京 17日 ロイター] 来週は日米の企業決算や当局者発言などをにらみながらボックス圏での動きが続くとの見方が多い。米株式市場は予想外に反転しているが、日本の株式市場は国内政局の不透明感や相次ぐ大型増資による資金の吸い上げなどで上値は重く、出遅れ感が強まりそうだという。
外為市場でも投資マインドの強弱が相場を左右するとみられている。日経平均の9000円割れ、ドル/円の90円割れの予想は少ないものの、逆に上値も厳しそうだという。
<マクロ関係>
●山口日銀副総裁が函館出張、講演と記者会見
日銀の山口広秀副総裁が22日、函館市に出張し、講演と記者会見をする。日銀は14―15日開催の金融政策決定会合で、コマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなど「異例の措置」と位置づけている企業金融支援策について、3カ月延長することを決めた。金融環境が依然として厳しい状態にある上、最終需要の動向もまだ見極めにがつかないためだが、「異例の措置」を打ち切る際の判断基準や、先行きの経済見通しなどに関する発言に注目が集まりそうだ。
日銀関連ではこのほか、21日に6月15―16日に開かれた日銀金融決定会合の議事要旨が公表されるほか、23日には早川英男理事が大阪市内で景気討論会に出席する。
<マーケット関係>
●株式市場は梅雨明けに至らず、政局不安や増資懸念で鈍重な展開続く東京株式市場は鈍重な展開が続き「梅雨明け」には至らない見通しだ。国内の政局不安や大型増資ラッシュによる需給懸念が残り、他市場に比べた日本株の重さは払しょくされそうにないという。国内の企業決算発表も始まるが、まだ少数で慎重なセンチメントを変えるには至らず、海外株が上昇したとしても出遅れ感が強まりそうだとみられている。
●投資マインドの強弱がドルと円を左右、決算と株価・FRB議長発言などがカギ
外為市場では、投資マインドの強弱がドルと円を左右する展開が続きそうだ。米企業決算と株価反応、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言、予想外の資産買い入れ据え置きを決めたイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会の議事録公表などが手掛かりとして関心を集めている。
●長期金利1.3%前半、20年債入札は波乱要因にも
円債市場で10年最長期国債利回り(長期金利)は1.3%前半を中心に推移する見通し。銀行勢の買いに主導され金利に低下圧力がかかり続ける地合いは一服したが、投資家は依然、買いに余力があり、金利が上昇すれば押し目買いが入る底堅い展開が続きそうだ。一方、20年利付債の入札については、大幅な金利低下と増発がマイナス要因となり、表面利率(クーポン)の水準次第では波乱要因となる可能性を指摘する声も出ている。
マーケットニュースはこんなところで、日銀は量的金融緩和には踏み込まずというところが決定的な模様ですな。インフレか、上院の政治的な縛りがありすぎて、米国、英国も一段の緩和、長期国債の買取への果断な実践には期待薄というところでしょうか。
余談になるが日銀の策は、朝日新聞への何某かのリークが顕著(グローブという月曜日に通常の新聞について来る記事では、白川総裁をべた褒めで、06年の量的金融緩和の解除の是非さえ聞くことも無い。)なようで、CP買い取り策は継続と決定していたようなもの。というのも朝日が決定会合前に報道したような気がする。朝日新聞は親日銀派の演出がホンと露骨で、社説はデフレ危機を唱えながら、デフレ脱却の提唱も無いのもそっくりそのまま日銀フリークてな基調である。デフレ懸念の社説を載せながら、その後はデフレ脱却の金融政策については稚拙な「出口論」に終始するのではないかと思われる。
で、日ごろの話題から、かなり飛んで、少し「歴史」的に振り返ってみる。90年代初頭でしょうか、筆者も金融政策なんてのにはまったく関心が無くて、経済学なんてのはチンプンカンプンでどうしようも理解しかねる碌でもない代物だと思っていた時期のこと。
資産バブルで株価の上昇、住宅価格、特にマンションの価格が非常に高くなっていたところから、2から3パーセントのインフレ時であったにもかかわらず、株価の急激な下落にあわせて、バブル撃滅に政府当局と日銀が動きだしたのです。政府当局は総量規制といって金融機関が怪しげな不動産屋に担保も採らず貸し付けたのがバブルの原因だとして金融機関に対して住宅関連の不動産融資を規制する策を打ち出します。需要と供給という観点からすれば、総量規制は、供給量を絞ることになるので、住宅価格の下落を意図した政策とはならないのは当然なのである。
日銀は総裁の三重野さんを筆頭に、金利の上昇に務めます。一年で5パーセントほどでしょうか、引き上げるわけです。これほどの短期間に引き上げ幅の上昇措置は、住宅価格の下落のみならず国民経済の悪化を招きくことは目に見えていたと思う。
当時のマクロ経済学者でこの引き上げは逆効果だとしていたのは、筆者の調べたところでは筑波大学教授の宮尾尊弘はその指摘を「資産デフレ克服」として一段の緩和をすべきで、資産デフレを加速することは間違いだとしていました。マクロの経済学者でこういった「まともな」指摘を無視して日銀は金利を上昇させることになった。
住宅価格の上昇は、別の策で講じるべきで、たとえば住宅価格の調査機関とその公的価格機関などなどのアイデアのある策を講じるべき経済事象でしょう。
そこで今現在の資産の価格下落に対して各国の中央銀行は、緩和措置を採っています。もし、90年代のバブル崩壊後の日本の中央銀行の措置が、金融緩和であったのなら、その後の持続的な物価の下落が始まる93年から始まる「失われた○○年」という長期停滞は無かったに違いない。
今の世界同時不況(国際的な合意による金融機関への公的資金の投入による金融危機の回避、財政出動とゼロ金利と名目金利の付いた自動車、住宅ローン、CP、社債など中央銀行の引き受けと長期国債の買受によって、底割れ危機からの脱却状態なった)も住宅ローン担保証券という資産、株価の下落、など「資産」の持続的下落がもとで「実体経済」へも大きく影響を与えたのですから、この経路は、規模や構造は別にして、まったく同じ経路、構造ではなく「循環」で起きたわけです。
つまり資産の価格下落をこれ以上加速させる金融引き締め策は愚かだということがいえると同時に、世界的な金融緩和に同時に各国が踏み込んでいる政策が、あまりに正当であるということがいえると思います。
つまり、引き締めや現状維持では、将来に対して当局が「引き締め」へ動いているぞと思わせることにしか繋がらないわけで、経済がさらに萎縮していくことになる。 で、その政策維持の姿勢が、特に市場関係者に、将来的に通貨供給は無いぞと思わせる政策になるわけです。経済が収縮しつつあるときに、現状維持や引き締めやは将来に対しての愚作な経済政策となるわけだわ・・・・。


