[東京 17日 ロイター] 来週は日米の企業決算や当局者発言などをにらみながらボックス圏での動きが続くとの見方が多い。米株式市場は予想外に反転しているが、日本の株式市場は国内政局の不透明感や相次ぐ大型増資による資金の吸い上げなどで上値は重く、出遅れ感が強まりそうだという。
外為市場でも投資マインドの強弱が相場を左右するとみられている。日経平均の9000円割れ、ドル/円の90円割れの予想は少ないものの、逆に上値も厳しそうだという。
<マクロ関係>
●山口日銀副総裁が函館出張、講演と記者会見
日銀の山口広秀副総裁が22日、函館市に出張し、講演と記者会見をする。日銀は14―15日開催の金融政策決定会合で、コマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなど「異例の措置」と位置づけている企業金融支援策について、3カ月延長することを決めた。金融環境が依然として厳しい状態にある上、最終需要の動向もまだ見極めにがつかないためだが、「異例の措置」を打ち切る際の判断基準や、先行きの経済見通しなどに関する発言に注目が集まりそうだ。
日銀関連ではこのほか、21日に6月15―16日に開かれた日銀金融決定会合の議事要旨が公表されるほか、23日には早川英男理事が大阪市内で景気討論会に出席する。
<マーケット関係>
●株式市場は梅雨明けに至らず、政局不安や増資懸念で鈍重な展開続く東京株式市場は鈍重な展開が続き「梅雨明け」には至らない見通しだ。国内の政局不安や大型増資ラッシュによる需給懸念が残り、他市場に比べた日本株の重さは払しょくされそうにないという。国内の企業決算発表も始まるが、まだ少数で慎重なセンチメントを変えるには至らず、海外株が上昇したとしても出遅れ感が強まりそうだとみられている。
●投資マインドの強弱がドルと円を左右、決算と株価・FRB議長発言などがカギ
外為市場では、投資マインドの強弱がドルと円を左右する展開が続きそうだ。米企業決算と株価反応、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言、予想外の資産買い入れ据え置きを決めたイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会の議事録公表などが手掛かりとして関心を集めている。
●長期金利1.3%前半、20年債入札は波乱要因にも
円債市場で10年最長期国債利回り(長期金利)は1.3%前半を中心に推移する見通し。銀行勢の買いに主導され金利に低下圧力がかかり続ける地合いは一服したが、投資家は依然、買いに余力があり、金利が上昇すれば押し目買いが入る底堅い展開が続きそうだ。一方、20年利付債の入札については、大幅な金利低下と増発がマイナス要因となり、表面利率(クーポン)の水準次第では波乱要因となる可能性を指摘する声も出ている。
マーケットニュースはこんなところで、日銀は量的金融緩和には踏み込まずというところが決定的な模様ですな。インフレか、上院の政治的な縛りがありすぎて、米国、英国も一段の緩和、長期国債の買取への果断な実践には期待薄というところでしょうか。
余談になるが日銀の策は、朝日新聞への何某かのリークが顕著(グローブという月曜日に通常の新聞について来る記事では、白川総裁をべた褒めで、06年の量的金融緩和の解除の是非さえ聞くことも無い。)なようで、CP買い取り策は継続と決定していたようなもの。というのも朝日が決定会合前に報道したような気がする。朝日新聞は親日銀派の演出がホンと露骨で、社説はデフレ危機を唱えながら、デフレ脱却の提唱も無いのもそっくりそのまま日銀フリークてな基調である。デフレ懸念の社説を載せながら、その後はデフレ脱却の金融政策については稚拙な「出口論」に終始するのではないかと思われる。
で、日ごろの話題から、かなり飛んで、少し「歴史」的に振り返ってみる。90年代初頭でしょうか、筆者も金融政策なんてのにはまったく関心が無くて、経済学なんてのはチンプンカンプンでどうしようも理解しかねる碌でもない代物だと思っていた時期のこと。
資産バブルで株価の上昇、住宅価格、特にマンションの価格が非常に高くなっていたところから、2から3パーセントのインフレ時であったにもかかわらず、株価の急激な下落にあわせて、バブル撃滅に政府当局と日銀が動きだしたのです。政府当局は総量規制といって金融機関が怪しげな不動産屋に担保も採らず貸し付けたのがバブルの原因だとして金融機関に対して住宅関連の不動産融資を規制する策を打ち出します。需要と供給という観点からすれば、総量規制は、供給量を絞ることになるので、住宅価格の下落を意図した政策とはならないのは当然なのである。
日銀は総裁の三重野さんを筆頭に、金利の上昇に務めます。一年で5パーセントほどでしょうか、引き上げるわけです。これほどの短期間に引き上げ幅の上昇措置は、住宅価格の下落のみならず国民経済の悪化を招きくことは目に見えていたと思う。
当時のマクロ経済学者でこの引き上げは逆効果だとしていたのは、筆者の調べたところでは筑波大学教授の宮尾尊弘はその指摘を「資産デフレ克服」として一段の緩和をすべきで、資産デフレを加速することは間違いだとしていました。マクロの経済学者でこういった「まともな」指摘を無視して日銀は金利を上昇させることになった。
住宅価格の上昇は、別の策で講じるべきで、たとえば住宅価格の調査機関とその公的価格機関などなどのアイデアのある策を講じるべき経済事象でしょう。
そこで今現在の資産の価格下落に対して各国の中央銀行は、緩和措置を採っています。もし、90年代のバブル崩壊後の日本の中央銀行の措置が、金融緩和であったのなら、その後の持続的な物価の下落が始まる93年から始まる「失われた○○年」という長期停滞は無かったに違いない。
今の世界同時不況(国際的な合意による金融機関への公的資金の投入による金融危機の回避、財政出動とゼロ金利と名目金利の付いた自動車、住宅ローン、CP、社債など中央銀行の引き受けと長期国債の買受によって、底割れ危機からの脱却状態なった)も住宅ローン担保証券という資産、株価の下落、など「資産」の持続的下落がもとで「実体経済」へも大きく影響を与えたのですから、この経路は、規模や構造は別にして、まったく同じ経路、構造ではなく「循環」で起きたわけです。
つまり資産の価格下落をこれ以上加速させる金融引き締め策は愚かだということがいえると同時に、世界的な金融緩和に同時に各国が踏み込んでいる政策が、あまりに正当であるということがいえると思います。
つまり、引き締めや現状維持では、将来に対して当局が「引き締め」へ動いているぞと思わせることにしか繋がらないわけで、経済がさらに萎縮していくことになる。 で、その政策維持の姿勢が、特に市場関係者に、将来的に通貨供給は無いぞと思わせる政策になるわけです。経済が収縮しつつあるときに、現状維持や引き締めやは将来に対しての愚作な経済政策となるわけだわ・・・・。