失業率5%台後半に 民間予測、年末にかけ最悪水準
2009年7月25日 16時50分
雇用情勢が悪化し、完全失業率が今年秋から年末にかけて過去最悪の5%台後半に上昇すると、民間エコノミストが予測していることが、内閣府所管の経済企画協会による調査で25日、分かった。
景気は最悪期を脱したものの、雇用情勢の低迷は、所得や消費の回復を遅らせる要因になるとみられる。企業が人員削減や新規採用の抑制を進めれば、雇用への不安が再び強まる恐れがあり、8月末の衆院選後に発足する次期政権にとっても、雇用対策は主要課題となる。
同協会の調査は、6月25日から7月2日までエコノミスト40人を対象に実施。36人が回答した。
調査結果によると、5月に5・2%だった完全失業率(季節調整値)のエコノミスト予測は、10~12月の3カ月平均で5・56%。毎月の失業率は2003年4月などに記録した5・5%がこれまでで最悪だが、10~12月にはこれを突破する公算が大きい。
10年4~6月には平均5・66%まで上昇。その後は緩やかに低下するが、10年10~12月までは5%台後半の高水準が続くとしている。
10年度の失業率に関しては、エコノミストの回答の平均値は5・55%だった。全体の約2割が6%台まで上昇すると答えた。政局の混乱などで景気対策が遅れたり、金融不安が再燃したりすれば、雇用も一段と悪化する可能性がありそうだ。(共同)
これぐらいの報道が、経済上の雇用報道の限界だろうと思われる。雇用は、健康的な言い方ではないが、資本主義では基本的に「市場」である。需要と供給のそれでしかない。そうでなければ、なぜ求人が減ったり、増えたりの説明が付かない。
労働市場の機能を健全に保つためには、マクロの経済の安定がまず第一に考えられないければならない。マクロの経済の安定とは何を意味するか。それは、激しすぎるインフレも起こしてはならないし、また持続的な物価の下落も起こすべきではない、ということに過ぎない。この辺までは、マクロ経済学で、分かっていることある。
インフレ、デフレの貨幣的な現象は、長期では、かなりの長期で、通貨の供給量によってほぼ決定される。短期では、需要と供給で決定される。が、それもここの企業、ここの個人の現在の所得だけでなく将来のそれにもに大きく依存する。単純化すれば、成長率の向上が見込める状態にならなければ、需要の回復は望みがたい。
ゼロのインフレを考えたとき名目賃金の下方硬直性によって実質賃金の高止まりを諸企業は選択し放置することが多い。(物価の継続的下落の下では名目賃金の据え置きは実質賃金を上昇させ続けることになる。名目の賃金=実質の賃金+インフレ率であるからである)、その結果、雇用の抑制、そして失業率の高止まり(自然失業率の上昇)を経済状態が諸企業に誘導することになる。ここでもデフレの脱却策がとられなければ、経済全般に賃金という労働者所得を経て、歪みを誘導することになる。
デフレの脱却を諸企業の創意工夫や合理化努力に求める連中がはなはだしく多い(はっきりいって、それらはマクロとミクロの分からない馬鹿である。自らの努力や創意工夫だけでデフレ脱却が容易に出来るのなら、金融政策や中央銀行などいらないといっているに等しく、まったくもって自己中なのだわな、本人はそうは思っていないところがいじましい)が、それはかなり困難である。
小売やサービスの同業他社と市場を媒介に価格や製品、サービスで競争しているしているからである。他社が価格で消費者に対して勝負してきているのに、それに対して品質で勝負するなどという方法は、よほど特異な企業でなければ出来ない。そのような特異な企業がそれほど存在するとは、なかなか考えにくい。小売業、サービス業での財務は流動性比率が低い、これはそれらの業種では現金や売り掛けの流動性が重視され、価格破壊が業績悪化につながりやすいことを示す。デフレの圧力は、これらの業種に集中的に現れ、企業の業績にも流動性比率が低い傾向が他の業種に比較して大きな影響を与える。ここでもデフレの脱却が必要条件となる。