主に政治と経済について、思いついたことを語ります。リンクフリー、コピーもフリー
カネを配れば経済復活か太字の指摘は、原田の旧来からのリフレ派の主張と整合している。ただし、埋蔵金の使い方を今ひとつ考えていないのではないか。高橋洋一は、埋蔵金を市中金融機関にある国債の償還に使ったらどうかという提言をしている。この案は、非常に魅力的だ。市中のマネーサプライが増えることになるから、金利の低下効果を期待できる。量的金融緩和によるマネーサプライの増大効果と等しい効果を齎す。
◇原田泰(大和総研チーフエコノミスト)
自分の衆院選向けの選挙運動を前倒しでやりたいから総裁選に立候補していると揶揄(やゆ)されている人もいた乱戦気味の前哨戦だったが、ここで5人の候補が正式に出そろった。
■昔来た道 麻生・石破氏
本命は麻生太郎幹事長だが、その経済政策は旧来の自民党政治の復活に思える。公共事業や補助金でカネを配れば経済は復活するという。そうしても1990 年代の日本経済は復活せず、公共事業を削減しながら2002年以降の景気は回復した。また、全員が景気対策に言及しながら、誰も金融政策について語らないのも残念だ。
石破茂前防衛相の基本姿勢は、「改革のひずみに手当て」だが、改革のひずみとはなんだろうか。公共事業や補助金の削減がひずみなら、それへの手当ては、やはり昔来た道にならないか。
■小池・石原氏 政策にあいまいさ
小池百合子元防衛相と石原伸晃元政調会長は「構造改革派」とされているが、その中身はまだ曖昧(あいまい)だ。福田内閣で緒に就いた道路特定財源の一般財源化をどう進めるのか、具体性のある政策を聞きたい。
小池氏は特別会計の剰余金などいわゆる「霞が関埋蔵金」の活用を考えているようだ。活用は必要で埋蔵金の掘り出しは長期的に歳出の効率向上に効果を持つ。しかし、1回限りの巨額の財源であることをどう考えているのだろうか。今後、公約の詰めが必要と思われる。
■与謝野氏は若年層に冷淡
財政再建重視の与謝野馨経済財政担当相は、年金・医療・介護のために消費税率の引き上げが必至とする。だが、不合理な社会保障制度、歳出一般の無駄の見直しが優先ではないか。また高齢者への福祉には熱心だが、若い家族向けの社会保障には熱心でないようだ。
麻生氏以外の候補は、基礎的財政収支の黒字化目標を堅持しているが、これは現実的ではない。政府が責任を持ってコントロールできるのは歳出であって歳入ではない。不況になれば歳入は減少する。今回の世界不況は石油価格高騰と、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題から起きた。日本政府にコントロールできるものではない。基礎的財政収支の黒字化目標のうち、歳出目標だけを堅持すればよい。
不況はいつまでも続かない。歳出目標さえ堅持していれば、1、2年遅れで目標を達成できるだろう。できないことを主張しても信頼を失うだけだ。候補者は、政府に何ができて何ができないかをはっきりさせた方がよい。
■首相としての覚悟を示せ
各候補の公約の中には、巨額の財源が必要で実現が危ぶまれる内容も含まれるが、首相の覚悟さえあればできることもある。麻生候補は学校を各家庭が選べる仕組みにすると公約している。首相になったときには、ぜひ実現を望みたい。
具体性に欠けた政策も、本気で論戦すれば、次第に具体化せざる得なくなる。国民に課題を明らかにする活発な論争を望みたい。
更に、高橋は埋蔵金使用は、ストックの使用であるが、フローの財政に常時使えないということもないと、高橋はしている。郵政民営化よる郵政が株式会社となれば郵政の株の売却による収益が生まれるとしている。
周知のように中央銀行のベースマネーの増加は、2006年の3月以降解除され、実質金融引き締めの状態が、2008年9月現在まで続いている。単純にいえば、国民生活の窮乏を日銀は本人たちの意図とは別に強力に推進しているのである。
そんな中、政府にしか景気の回復の政策は期待できない。財政政策の効果についてそれほどの効果は持たないなか、政府が行える金融政策がある指摘は、非常に面白い。
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「公共事業=バラマキ」の発想を問う
◇リチャード・クー(野村総合研究所主席研究員)
自民党の新総裁はまず景気回復を最優先すべきだ。低金利下でも企業がお金を借りて設備投資をしないのが問題。資産の法定耐用年数を見直して減価償却期間を短くするなど税制改正で投資を促す必要がある。しかし、その効果が出るまでは一定の時間がかかる。まず公共投資で下支えすべきだ。
■成立しない上げ潮派の議論
これまでは米国、欧州、中国などの経済が活況で外需が強かったため、内需拡大策を取らずに済んだだけだ。経済成長重視の「上げ潮派」の議論が成り立ったのも外需が伸びたから。今やその大前提が崩れ、トヨタ自動車でさえ生産調整に踏み切らざるを得ない状況だ。外需依存度の高い日本は早く景気対策を取らなければならない。
内需低迷の理由は金利が低いのに企業がお金を借りようとしないからだ。私はバブル経済崩壊後の不況を「バランスシート不況」と呼んでいる。過去15年間、バブル崩壊で資産価格が下落し、借金だけが残った。債務超過の状態に日本中が置かれた。日本企業は2002-03年ごろには年間20兆-30兆円を借金返済に回してきた。
■企業にカネを借りてもらう政策を
借金返済に追われ続けた企業経営者は「二度と借金をしたくない」と考えている。企業部門がゼロ金利でも借りず、家計部門は貯金する。経済全体で見ればお金が出て行く先がない。企業にカネを借りてもらうのが問題解決につながる。
対策は3年間の時限立法で償却期間を縮めるなどの税制見直しが適切。効果が出るまでは財政支出の拡大が必要だ。財政支出の対象としては、道路や橋を造る公共事業だけでなく、医療や教育なども含めるべきだろう。
景気対策は財政再建と矛盾しない。むしろ何もしない方が財政赤字は拡大する。政府は1997年、2001年に財政再建に取り組んだが、景気悪化を招いただけではなく、財政事情も悪化させた。97年に消費税率を5%に引き上げたが財政赤字は拡大している。
■財政再建は資金需要が増えてから
財政再建は企業がお金を借り始めたときに始めるべきだ。資金需要が出てくれば社債発行が増え、銀行貸し出しが伸びる。そうなれば即座に財政再建に取り組むべきだ。
公共事業を「バラマキ」と批判する人がいるが、バラマキの定義は何か。定義がない言葉を巡り、まともな政策論議ができないのは日本にとって最大の悲劇だ。バラマキの一言であらゆる議論が思考停止に陥る。
自民党総裁選には5候補が立候補した。麻生太郎幹事長がほかの4候補と大きく違う点はもともと企業経営者だったことだ。バランスシート不況の問題は経営者なら一発で理解できる。経営に携わった経験のない人は、学者も含めてだが、まったく理解できない。
銀行にマネー滞留、預金超過145兆円 7月末は最高水準ん、だからさ。後期の小泉政権下の実質経済成長率の向上は、名目の経済成長率がそれを上回るだけの「景気回復」ではなかったのだわさ。国内経済に魅力的にな投資案件が、資本期待収益率が見込める経済状態ではなかったのだわ。日経新聞も、実質経済成長率の向上をその力以上に評価していたのじゃあなかったっけ。
国内景気の減速を背景に、企業活動や株式市場に資金が向かわない傾向が鮮明になってきた。日銀統計によると、7月末の民間銀行の預金残高は貸出金を 150兆円弱上回り、過去最高水準となった。リスクを敬遠するお金が銀行に集まり、「貯蓄から投資へ」の流れが停滞。一方、預金に対する貸出金の比率を示す「預貸率」は約7割に低迷している。株式市場や企業の設備投資にお金が回らなければ、日本の経済成長の足を引っ張りかねない。
全国の銀行の預金は7月末で549兆円。これに対し貸出金は404兆円にとどまり、預金の超過額は最高だった6月末に比べやや減少したが、145兆円に達する。2000年に20兆円程度だった預金超過額は02年からの金融危機後に増え続け、預貸率は100%前後から70%台に低下した。(07:00)日経新聞
また、実質経済成長率の向上という「景気回復」は、小泉政権下での「構造改革」道路公団の民営化、郵政事業の民営化、住宅公団の民営化などの官から民への「改革」によって齎されたとする言辞が多くあるが、構造改革、官僚機構改革、は景気の回復にはほとんど影響与えない。筆者も、長期で見たとき改革には賛同する。ん、が長期での経済改革、官僚機構改革は、短期の「循環」的経済の回復には、それほどの影響を持たない。下手をすれば、逆噴射の理論が声高に唱えられたり、景気の低迷、停滞を加速する構造改革の不徹底が景気回復を遅らせたなどとする言辞が、巷間満ち満ちてくることになる。
構造改革、すなわち小さな政府、規制の緩和、官から民への志向は、基本的に、また長期の目標としては正当である。だが、それは経済の効率化を齎す。経済の効率化とは、今まで労働力を省力化していくことである。労働力が余ること、すなわち、失業率を高くすることにも繋がる。平均賃金の向上圧力は生まれずかえって下がってしまったり、部長から課長への降格がなされ、派遣社員の増加、非正規社員の採用、サービス残業による労働時間の延長、営業部署の縮小、新入社員の採用手控え、リストラなどが断行される。業績のあまり良くない企業は、倒産への傾き、焦付き債権が増大し、失業率が高くなる。
失業率の高騰は、経済の総消費を弱らせる。総消費の低下は、経済が弱ることに繋がることになる。小泉政権は、デフレの脱却を目指したが、これも日銀総裁福井は日銀の独立を悪用して、「正常な金利」政策を急ぐあまり、量的緩和を解除し、デフレ脱却は後回しになっていしまったのである。筆者は、正常な金利上昇の政策を否定するものではない。だが、それは、日銀の独断で決定されるものではない。飽くまで経済状態の認識、患者にに対する病気の認識が正当になされてから決定されるべきものである。
デフレからの脱却が完全に行われるような中央銀行の金融緩和政策があったのなら、実質金利の低下によって、デフレ下(デフレはモノ・サービスへの需要を生むより、貨幣価値がモノ・サービスに対する価値を凌ぐことになる。よって、モノ・サービスへの傾斜より、貨幣への執着を一般社会で定着させる傾向が強い)での中小企業での大よそ5兆円程度の内部留保、また、大企業での50兆円に及ぶ内部留保が、投資に回り、その分の経済成長が齎され、その後に、経済実態に即して設備投資、住宅投資が増えることで、金融機関の融資額が増える=金融機関の貸与率が増えるという「循環」が生まれたはずである。
小泉政権下の「景気」の回復は、日銀の量的金融緩和によっているのであって、不良政権の解消も、徹底した構造改革の放棄、不徹底な構造改革と不十分な量的金融緩和と円売りドル買いの為替介入によるところが総需要の増大に影響を与え、わずかながらの実質経済成長率の向上に結びついたのであろう。しかしながら、企業の設備投資、新規設備投資の増大にはそれほど貢献しなかったのではないか、量的金融緩和が不徹底であったがために。
それ故、「預貸率は100%前後から70%台に低下」となったのである。この現象は、2006年3月の早すぎた量的金融緩和の解除、すなわち金融引き締め策が大きな原因だと判断できる。
むむむ、素人のおいらにも、この人、津田栄のいうことおかしい!!ちゅうことがわかる。
債務過剰、雇用の過剰、設備の過剰は、企業のモノ・サービスが売れないという94年から始まるデフレ不況の結果であって原因ではない。こんなことも理解しないエコノミストって何なんだ。
「専門家」といわれる連中の言辞の「専門家」とされるが故に基本に忠実でないことを述べてもいいという世間的認可がある。専門家であるから「間違い」は少ないのだろうという世間的思いがある。
特にマクロ経済での分野ではそのような事態を多く見かける。そうした内容の吟味がなされることから遠い言辞の社会的機能は、なんともやりきれない怖さを持つ。それが国民経済を、国民生活を安定させるというマクロ経済の役割を担うが故に更に厄介なことになる・・・・。
で、そのような「専門家」がエコノミストと称されると一部ではエコノミストは胡散臭い商売、また、エコノミストが見ているのは市場主義であって人間を見ていないというような言辞内容の検証なき非難に陥り、「サヨク」に傾斜することもある。また、逆のベクトルも生まれる。内容を「吟味」したが、マクロ経済学は、金を扱うだけでまともな「品位」「品格」が無いという非難も世間的な「常識」に流通し易い。「品位」「品格」を扱うお方たちは、「品位」を扱うだけの高学歴である教授様に限られているようだが、昨今は。
以前は、「襤褸は着ていても心は錦」のフレーズが、演歌にあったがこれこそ、おいらには、「品格」あるフレーズであったが・・・・。
債務過剰、雇用の過剰、設備の過剰は、企業のモノ・サービスが売れないという94年から始まるデフレ不況の結果であって原因ではない。こんなことも理解しないエコノミストって何なんだ。
「専門家」といわれる連中の言辞の「専門家」とされるが故に基本に忠実でないことを述べてもいいという世間的認可がある。専門家であるから「間違い」は少ないのだろうという世間的思いがある。
特にマクロ経済での分野ではそのような事態を多く見かける。そうした内容の吟味がなされることから遠い言辞の社会的機能は、なんともやりきれない怖さを持つ。それが国民経済を、国民生活を安定させるというマクロ経済の役割を担うが故に更に厄介なことになる・・・・。
で、そのような「専門家」がエコノミストと称されると一部ではエコノミストは胡散臭い商売、また、エコノミストが見ているのは市場主義であって人間を見ていないというような言辞内容の検証なき非難に陥り、「サヨク」に傾斜することもある。また、逆のベクトルも生まれる。内容を「吟味」したが、マクロ経済学は、金を扱うだけでまともな「品位」「品格」が無いという非難も世間的な「常識」に流通し易い。「品位」「品格」を扱うお方たちは、「品位」を扱うだけの高学歴である教授様に限られているようだが、昨今は。
以前は、「襤褸は着ていても心は錦」のフレーズが、演歌にあったがこれこそ、おいらには、「品格」あるフレーズであったが・・・・。
町村信孝官房長官は7日のテレビ朝日番組で、昨年11月に福田康夫首相と小沢一郎民主党代表の間で浮上した「大連立構想」は小沢氏の提案だったことを初めて明らかにした。党首会談直後の説明では首相の提案とされていたが、自民党内では小沢氏からの提案との見方が強かった。
町村長官は「10月早々、内閣ができて間髪入れずぐらいに小沢さんの方から大連立の話が来た。むしろ福田さんが『本当ですか』と疑っていた」と明言。「(首相辞任の)一番の理由は先方から持ちかけられた大連立がひっくり返され、とにかく反対ばかりする民主党の対応だ」と強調した。
大連立について小沢代表は「私の方から党首会談や連立を持ちかけたのは事実無根」と説明する一方、首相は「あうんの呼吸という感じ」としていた。町村氏は舞台裏を明らかにすることで、「ねじれ国会」を理由に辞任した首相を擁護する狙いもあるようだ。(07日 22:02)nikkei
今から考えると、「大連立」構想も面白かったのかもしれなかったな。大連立して、その後、「政策」構想の大枠、小さな政府か大きな政府か、自由主義か社民主義か、地方分権か中央集権か、といった「政治」的構想の違いで政界再編へ向かった方が有権者にとっては選択肢が明確になったことだろう。
とは言え、財政政策を強力に支える中央銀行の支援は望めない状況。政治家以上に中央銀行がな、あまりにも無能であるから・・・・・。積極財政、減税政権が出来たら、必ず金利、長期金利が上がるから、日銀も対応を考えるかもしれないが、政策金利を誘導目標においている限りは、大幅なマネーサプライを増大させるという量的金融緩和も望めないからさ・・・・・。
NY原油が5か月ぶり安値、終値106・23ドル原油価格は下がった方がいいのだが、世界経済が減速する中、原油需要は下がるから、OPECも減産に踏み切る予測が立て易い。であれば、期待するほど下がらないだろう・・・。国内の日石等も減産に踏み切るからな・・・・。
【ニューヨーク=山本正実】5日のニューヨーク原油先物市場は、米雇用情勢の悪化から米景気の先行き懸念が広がり、原油価格は6営業日連続で下落した。
取引の中心となるテキサス産軽質油(WTI、10月渡し)は一時1バレル=105・13ドルまで下落。終値は前日比1・66ドル安の1バレル=106・23ドルと、約5か月ぶりの安値となった。
朝方発表された8月の米雇用統計で失業率が約5年ぶりの高水準となる6・1%まで上昇し、個人消費が低迷しかねないとの見方につながった。
ただ、このまま下落が続けば、産油国が9日の石油輸出国機構(OPEC)総会で減産に踏み切るとの観測も広がり、一本調子の下落にはならなかった。
(2008年9月6日10時38分 読売新聞)
福田の電撃辞任を受けて自民党の総裁選の話題が、新聞などではかまびすしいが、この喧騒のあおりを受け、劣勢にたたされるのは民主党である。
総裁選の結果は麻生であるのは、誰もが頷くところである。新聞やTVは、出来レースでも喧騒が好きである。民主党の話題は、政権党でないが故に報道されることは少なくなるだろうことは、福田と麻生も解かっていたとの報道もある。福田の狙いは、華々しい総裁選を演出することで、TVや新聞などのマスコミへの露出を高めることにあったのだろう。
麻生の「積極財政」「減税政策」と麻生ならやってくれるという「庶民」の眺め方が確実に存在し、スタグフレーションだ、物価高だという少し気の早い「不況」観がより深刻度を増す中、期待は増幅され、自民への人気の回復と期待値が高まる結果となるだろう。
総裁選は、麻生に決まりだが、それだけであれば論議の面白みにかける。政策を見てみる。積極財政、減税政策について批判しているのが、「上げ潮派」といわれる「改革」派と与謝野馨、谷垣貞一などの「財政再建優先」派であるはずである。小池百合子は、いつから「上げ潮派」になったのか筆者は詳しくは知らないが(注)、こいつにマクロ経済が解かるとは全く思えない。また官僚より政策通であるようにも全く思えない。防衛にはそれなりの見識があるのだろうが、官僚が使いまわしやすいタイプの政治家の一人にすぎないだろう。
(注)
与謝野馨や谷垣貞一など多くの政治「家」にマクロ経済などかたる資格など全くない。こいつらの適職は、金融政策が手段として採れるマクロ経済を担当する国政ではなく、税収の入りと歳出の管理に意を注ぐ地方の知事、地方の市長が適職である。地方は景気後退で財政赤字が長らく続いている。こういったところでこそ奴らの税収と歳出のバランスを管理が絶対条件になる技量が活きるに違いない。
そこで麻生の積極財政と所得減税策だが、麻生の理屈は誠実な人柄で人気のあるエコノミスト、リチャード・クーの「日本経済を襲う 二つの波」という駄本によっているとされる。リチャード・クーは、誠実な男である。だが、彼の理論は、小渕政権の積極財政を支持、金融政策の効果を全く否定している言辞を展開していたように、金融政策の効果を全く無視する。反マネタリストである。
麻生の政策提言は、改革拒否とされるが、それより景気重視であり、非常に面白いところがあるのも事実である。しかし、財政政策だけで、景気回復ないしは先進国の平均経済成長率を遂げるというシナリオは、描けない。ここが、麻生の積極政策の提言の陥穽である。
日銀が政府から独立した存在となってから、日銀の連中は、国民生活の安定に対する政策を放棄することに長けている。白川総裁など、ベースマネーの増大が、マネーサプライに繋ならなかったから、ベースマネーの増大にさえ反対するような言辞をかます御仁である。ベースマネーの増大が、マネーサプライの増大に直ちに結びつかないのは、日銀が人々のインフレ予測に働きかける責任ある態度を人々に示さなかったからである。白川は英語も達者であるらしいから、FRBのバーナンキと政策議論でもしたらどうなんだと思う。日銀総裁に武藤などのマクロ経済音痴かつ英語も出来ない反「国際」派などを総裁に推挙する蛮勇を持つ自民党の連中などに、現日銀総裁を馘首し、大幅な金緩和策を採れるものを選択するだけの恫喝政治が出来るわけもあるまい。
いずれにせよ、積極財政を大きく支える大幅な金融緩和策が伴うポリシーミックスを採用できない「政治」状況にあるのである。金融緩和による総需要支援策を伴わない経済成長戦略は、絵に描いた餅でしかない。
また、積極財政に反対するあまり、財政出動は全く無効であるという言辞にも賛成しかねる。変動相場制下では、財政出動によって金利が上がり、それが総需要を削除するというクラウンディグアウトを招き、それほどの効果を持たないといわれるが、クラウンディングアウトは、「完全雇用」下で起きる現象であり、不完全雇用下ではおきにくいともされている。要は、一致指数の有給人倍率、遅行指数の失業率、中小企業の設備投資を見るべき・・・・。
以上を見てみると、自民の内での政策論争のネタは、旧来小泉期その政策の是非を巡って繰り返される政策ネタに集約され尽きているようにも思う。
国会が開かれても、民主党の反対で、補正予算も組めない状況になるだろう。自民党の総裁選によって、自民党の支持率が上がっていれば、次期総理は解散総選挙に踏み切ることになる。故に総選挙は近いと予測されている。そこで、民主党と自民党が争うことになるのだろうが、民主の小沢案(社会民主的な所得政策)でも、自民の麻生案(産業保護的な助成金による経済政策)でも、それほどの総需要を浮揚させる効果の違いが生じるものでもない。積極的な金融緩和策を採用することのない財政出動型総需要浮揚策など思ったほどの経済的効果を期待できるものではない。
総裁選の結果は麻生であるのは、誰もが頷くところである。新聞やTVは、出来レースでも喧騒が好きである。民主党の話題は、政権党でないが故に報道されることは少なくなるだろうことは、福田と麻生も解かっていたとの報道もある。福田の狙いは、華々しい総裁選を演出することで、TVや新聞などのマスコミへの露出を高めることにあったのだろう。
麻生の「積極財政」「減税政策」と麻生ならやってくれるという「庶民」の眺め方が確実に存在し、スタグフレーションだ、物価高だという少し気の早い「不況」観がより深刻度を増す中、期待は増幅され、自民への人気の回復と期待値が高まる結果となるだろう。
総裁選は、麻生に決まりだが、それだけであれば論議の面白みにかける。政策を見てみる。積極財政、減税政策について批判しているのが、「上げ潮派」といわれる「改革」派と与謝野馨、谷垣貞一などの「財政再建優先」派であるはずである。小池百合子は、いつから「上げ潮派」になったのか筆者は詳しくは知らないが(注)、こいつにマクロ経済が解かるとは全く思えない。また官僚より政策通であるようにも全く思えない。防衛にはそれなりの見識があるのだろうが、官僚が使いまわしやすいタイプの政治家の一人にすぎないだろう。
(注)
次官人事内紛 小池防衛相の方針に塩崎、守屋氏が反発
2007/08/15(水) 01:00:51 | 国内政治
8月14日17時11分配信 毎日新聞
小池百合子防衛相が、守屋武昌防衛事務次官を9月1日付で退任させる人事方針を固めたことに守屋氏が反発、首相官邸にも塩崎恭久官房長官を中心に慎重論があり、次官人事をめぐる対立が13日、激化した。政府筋は同日夜、小池氏の人事方針自体に変更はないとの見通しを示したが、27日に予定される内閣改造・自民党役員人事以降に手続きが先送りされる可能性も出ている。小池氏は13日、安倍晋三首相に自らの方針について理解を求めており、官邸を巻き込んだ騒動が拡大すれば、首相の指導力も問われかねない事態となっている。【田所柳子】
小池氏は今月6日、守屋氏の在任期間が4年を超える異例の長さとなったことから退任させることを決断。後任には西川徹矢官房長を充てることを内定した。しかし「寝耳に水」だった守屋氏は、「人事は相談することになっていたはずだ。なぜ勝手に決めたのか」と小池氏に食ってかかるなど猛反発。小池氏が後任に指名した西川氏が警察庁出身であることにも異を唱え、守屋氏自らの退任が避けられない場合でも、後任を防衛省生え抜き幹部に差し替えるよう要求、巻き返しに動いている。
さらに、首相補佐官時代の小池氏と外交面での主導権争いなどからしばしば対立してきた塩崎長官が「相談を受けてない」として、守屋氏と歩調を合わせている。小池氏が人事を15日の閣議で決定したい考えだったのに対し、内閣改造後に先送りするよう主張。13日、首相官邸を訪れた小池氏と会談し、こうした考えを伝えた。
次官の任命権者は所管閣僚だが、制度上、官房長官が主催する閣議人事検討会議に諮る必要があり、塩崎長官が会議開催を拒否すれば、人事は事実上凍結される。小池氏が内閣改造で留任しない場合、内定した人事が覆る可能性もある。
小池氏は対抗手段として13日夜、首相官邸に安倍首相を訪ね、人事方針に理解を求めた。15日の次の閣議は改造人事後の28日となる見通しだが、小池氏は改造前に人事検討会議を開くことで次官問題に決着をつけるよう強く求めている。
首相は小池氏との協議を終えた13日夜、記者団から次官人事の混乱を聞かれ「いや、混乱してるんですか。まだ決まっていませんよ、人事は」とかわした。
自民の中川幹事長「小池防衛相、再任を」・守屋次官を非難
2007/08/19(日) 23:42:58 | 防衛問題
自民党の中川秀直幹事長は19日のテレビ朝日番組で、防衛省の事務次官人事を巡る混乱に関連して「抵抗に負けて閣僚を代えたら、おかしなことになる」と述べ、27日の内閣改造では小池百合子防衛相の再任が妥当との認識を示した。
中川氏は「辞める次官の抵抗が最大の問題だ」と防衛相に抵抗した守屋武昌次官を非難。同時に「(守屋氏を)いかにも官邸が許容しているみたいなところに問題がある。安倍晋三首相というより幕僚たちだ」とも語り、塩崎恭久官房長官らを念頭に首相周辺の対応のまずさを指摘した。
次官人事の迷走については、森喜朗元首相が「もののふのたしなみがない。切腹しようとしている武士を後ろから切りつけた感じだ」と防衛相の対応を批判していた。
次官人事は決着したものの、首相に近い実力者の間で一連の騒動への考え方の違いが露呈した格好で、内閣改造まで尾を引きそうだ。
与謝野馨や谷垣貞一など多くの政治「家」にマクロ経済などかたる資格など全くない。こいつらの適職は、金融政策が手段として採れるマクロ経済を担当する国政ではなく、税収の入りと歳出の管理に意を注ぐ地方の知事、地方の市長が適職である。地方は景気後退で財政赤字が長らく続いている。こういったところでこそ奴らの税収と歳出のバランスを管理が絶対条件になる技量が活きるに違いない。
そこで麻生の積極財政と所得減税策だが、麻生の理屈は誠実な人柄で人気のあるエコノミスト、リチャード・クーの「日本経済を襲う 二つの波」という駄本によっているとされる。リチャード・クーは、誠実な男である。だが、彼の理論は、小渕政権の積極財政を支持、金融政策の効果を全く否定している言辞を展開していたように、金融政策の効果を全く無視する。反マネタリストである。
麻生の政策提言は、改革拒否とされるが、それより景気重視であり、非常に面白いところがあるのも事実である。しかし、財政政策だけで、景気回復ないしは先進国の平均経済成長率を遂げるというシナリオは、描けない。ここが、麻生の積極政策の提言の陥穽である。
日銀が政府から独立した存在となってから、日銀の連中は、国民生活の安定に対する政策を放棄することに長けている。白川総裁など、ベースマネーの増大が、マネーサプライに繋ならなかったから、ベースマネーの増大にさえ反対するような言辞をかます御仁である。ベースマネーの増大が、マネーサプライの増大に直ちに結びつかないのは、日銀が人々のインフレ予測に働きかける責任ある態度を人々に示さなかったからである。白川は英語も達者であるらしいから、FRBのバーナンキと政策議論でもしたらどうなんだと思う。日銀総裁に武藤などのマクロ経済音痴かつ英語も出来ない反「国際」派などを総裁に推挙する蛮勇を持つ自民党の連中などに、現日銀総裁を馘首し、大幅な金緩和策を採れるものを選択するだけの恫喝政治が出来るわけもあるまい。
いずれにせよ、積極財政を大きく支える大幅な金融緩和策が伴うポリシーミックスを採用できない「政治」状況にあるのである。金融緩和による総需要支援策を伴わない経済成長戦略は、絵に描いた餅でしかない。
また、積極財政に反対するあまり、財政出動は全く無効であるという言辞にも賛成しかねる。変動相場制下では、財政出動によって金利が上がり、それが総需要を削除するというクラウンディグアウトを招き、それほどの効果を持たないといわれるが、クラウンディングアウトは、「完全雇用」下で起きる現象であり、不完全雇用下ではおきにくいともされている。要は、一致指数の有給人倍率、遅行指数の失業率、中小企業の設備投資を見るべき・・・・。
以上を見てみると、自民の内での政策論争のネタは、旧来小泉期その政策の是非を巡って繰り返される政策ネタに集約され尽きているようにも思う。
国会が開かれても、民主党の反対で、補正予算も組めない状況になるだろう。自民党の総裁選によって、自民党の支持率が上がっていれば、次期総理は解散総選挙に踏み切ることになる。故に総選挙は近いと予測されている。そこで、民主党と自民党が争うことになるのだろうが、民主の小沢案(社会民主的な所得政策)でも、自民の麻生案(産業保護的な助成金による経済政策)でも、それほどの総需要を浮揚させる効果の違いが生じるものでもない。積極的な金融緩和策を採用することのない財政出動型総需要浮揚策など思ったほどの経済的効果を期待できるものではない。
<首相退陣表明>会見要旨(1)「駆け引きで政治空白つくってはならない」
2008/09/02(火) 02:33:11 | 国内政治
9月1日22時7分配信 毎日新聞
福田康夫首相は1日午後9時半、首相官邸で緊急記者会見し、辞意を表明した。福田首相は8月に内閣改造し、政権立て直しを図っていたが、昨年9月に発足して以来1年をたたずに辞任に追い込まれた。
福田首相は会見で、「昨年私は安倍前総理からバトンを引き継ぎ、以来1年近くたった。参議院で与党が過半数割れの中、困難承知で引き受けた。政治資金の問題、年金、防衛省の不祥事など次から次へと積年の問題が顕在化して、その処理に忙殺されてきた。その中でも目立たなかったかもしれないが、国民目線での改革に着手してきた。例えば道路特定財源の一般財源化、消費者庁の設置法のとりまとめ、社会保障制度の抜本見直しなど。決着はしていないが方向性は打ち出せた」と振り返った。
ねじれ国会の運営について「今年に入ってから景気問題が大きな課題として浮上した。国民や農林漁業、零細企業などの強力な対策を作るため、改造を断行した。強力な布陣の下、先週総合的な対策をとりまとめられた。臨時国会では、補正予算や消費者庁設置法など一刻の猶予もない重要な案件を審議する。先の国会では民主党が国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、何を決めるにも時間がかかった」と民主党を批判した。
そのうえで、「いま日本経済、国民生活を考えた場合、体制を整えた上で国会に臨むべきであると考えた。ここで政治空白を作ってはならない。この際、新しい布陣で政策の実現を図って参らなければならない、と判断し、本日辞任することを決意した」と辞意を表明した。
またも辞任か、呆れるというか、折角補正予算を組んで、臨時国会へ向けての体制を整えたにもかかわらず、この結末とは情けない。予算案にしろ、法律案にしろ、衆議院では与党が350人ほど占め、強硬採決してでも通せる「絶対的」有利な状況は変わらない。強行採決でもすれば通せる状況、だ。
強行採決してでも通していくという手法を選択しないパーフォーマンスに流れないのが、福田の「美学」で、それは「玄人」好みの政治家でもある用件でもあった。
とはいえ福田は、今日の経済状況を乗り切れるだけの「経済」観について大きく欠如している。福田の親父の赳夫との能力差は大きい。福田赳夫は田中角栄の蔵相として入閣、角栄の日本列島改造論を石油ショックによるインフレを増幅を招くだけだからと、留保させた功績がある。しかしながら、福田康夫にはそのような経済観は全くなく、学校の先生然とした受け答え方からも分るように、日銀総裁の人事案にも見られるように変動相場制下の金融政策の重要性をそれなりに理解しているところもほとんどない。
もっとも政治家先生方、テレビ、新聞の大方の評論家のお方たちもこの点は、全く駄目だから叱責する資格もあるはずもないのだが・・・・。
一方、福田の外交は、筆者には頷けるところがあった。胡錦濤は、反日強硬派の江沢民の上海グループを抑えて登場した国家主席である。その胡と福田の首脳会談は、巷に言われるほど無効なものではなかった、と強くいいたい。まずは、中国の歴史教育について相互の理解を深めていき、中国側に歴史教育を再考させることが声明に盛り込まれた。この点は非常に大きな功績だろう。小泉の中国外交は意地の張り合いでしかなく、ほとんど負の影響しかなかった。一国の総理が巷間に澎湃するナショナリズムを煽ってどうする?ほとんど国際的には政治的、経済的に意義の無い「孤立」の結果しか齎さないだろう。
その下らん例が、反日教育に執した「中国」と「韓国」の例である。共同体としての国家が存在する限りナショナリズムは、どの国でもその程度の差はあれ存在する。政府が歴史教育に反日を盛り込むということは、元々あるナショナリズムに手を下賜煽るということである。政府はそれを煽ることなく、抑制された見識を持つ必要がある。健全なナショナリズムの持ち方を教育することを放棄するということである。中国の国家主席にそれを再考させたのは、大きな功績である。
更に洞爺湖サミットでは、米国の成長路線維持の声明を米国の「孤立」を防ぐ意味でも、二酸化炭素の削減意義は認めることに同意させた。外交的には、福田は粘り越しの手腕を発揮できたのではないのか?
これも、小泉や安部では「分りやすい」パーフォーマンスでしか出来ない、ガキのやり口に終始したことだろう。但し、小泉のピョンヤン宣言は、それが歪みきった超保守勢力によって無効化される中、おきな功績だったといっていいが・・・・。
人々のインフレ予想率の上昇が続けば、確かに須田の言うとおりになるだろう。が、世界のインフレ率が上昇しているのは、GDPデフレターがプラスになっているからであるが、日本では、日銀の金融失政により15年ほどの長期の停滞、GDPデフレターのマイナスが続き、プラスの指標などの時期などほとんどなかったのである。
インフレリスクへの対峙は責務、警戒怠るべきでない=須田日銀審議委員
【金沢 28日 ロイター】 日銀の須田美矢子審議委員は28日、石川県金融経済懇談会でのあいさつで、国際商品市況が調整局面にあるからといってインフレリスクへの警戒を怠るべきではない、との認識をあらためて示した。
その上で、不断にインフレリスクに対峙しておくことが、中央銀行としての重要な責務だと語った。
今後の金融政策運営に関しては、経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に行っていくとの方針を繰り返し、リスク要因を点検する際のポイントについては、景気とインフレのどちらを重視するかといった二者択一的な見方はしていない、と強調した。
<大幅な調整想定しておらず>
日銀は8月の金融政策決定会合で景気の現状に対する基調判断を「さらに減速している」から「停滞」に下方修正した。須田委員は日本経済について「原油をはじめとする原材料価格の高騰や海外経済の減速に伴う輸出の増勢鈍化などを背景に、成長のモメンタムはやや弱まっている」と指摘。ただ「景気がここにきて急に落ち込んだ訳ではない」とも述べ、「日本経済が現在停滞局面にあることは確かだが、過剰な在庫や設備を抱えているわけではないため、1998年や2001年のような大幅な調整は想定していない」と強調した。
基調判断を引き下げた大きな理由となった生産については「7─9月も3期連続で減少する可能性が高くなっている」としながらも「在庫・出荷バランスが大きくは崩れていないもとで、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、所得形成力が次第に回復していくにつれて、再び増加基調に復していく」との楽観的な見通しを示した。
生産が下振れた背景には、これまで日本経済をけん引してきた輸出の失速がある。須田委員は「米経済は年後半の減速は避けられそうになく、米国向けの輸出は、当面低調に推移する可能性が高い」としたほか、NIEsやASEAN向けについても「世界経済の減速に加えて商品市況高に伴う所得形成の弱まりが、成長の制約として徐々に顕在化しつつあり、そうした地域向けの輸出もしばらくは弱めの動きを余儀なくされる」との見方を示し、こうした認識から、輸出全般について「世界経済の成長率が鈍化していくもとで、輸出全体の伸びは緩やかなものになっていく」と語った。
<インフレ警戒怠るべきではない>
世界経済の波乱の目となった原油価格(WTI)は7月中旬にピークを付けた後、2割程度下落している。須田委員は、国際商品市況の動向について「長い目でみれば緩やかな上昇トレンドを持つが、目先は、世界景気の減速に伴って落ち着きを取り戻す」と指摘。国内消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率については「この先2%を上回る時期がしばらく続く可能性はあるが、次第に上昇幅を縮小していく」との見通しを示した。
その上で「持続的な経済成長を達成させるためには、インフレ率の安定化が不可欠」として、「その鍵を握っているのは人々のインフレ予想」との見方を示した。
インフレ予想については「ガソリンや食料品といった生活必需品の価格上昇が長引いていることから、人々のインフレ予想を上振れさせるリスクは高まっている」としたが、賃金が上がっていないことから「インフレ率と賃金が相乗的に上昇するような二次的波及効果の顕現化には至っていない」とも指摘。ただ「このまま原材料価格の転嫁が進み、消費者物価が上昇し続ければ、賃金も次第に上昇ペースを速め、インフレ率と賃金の相乗的な上昇傾向が思いのほか強まっていく可能性もある」と警戒感も示した。
須田委員は、自身がインフレの上振れリスクを意識している理由として、世界的に緩和的な金融環境を挙げ、「世界を1つの国と見なせば、物価安定のもとでの持続的な成長を維持していくためには、引き締め政策をとっていくのが望ましい姿と言える」と語った。こうした考えを念頭に、先行きについては「グローバルな金融緩和の状態が続く中、世界でインフレ率が高まっており、人々や企業のインフレ予想は確実に高まっている」として「足元、国際商品市況が調整局面にあるからといって、インフレリスクに対する警戒を怠るべきではない」と強調した。
さらに「インフレ予想がアンカーされているからこそ様々な危機にも弾力的に対応できるのであって、そのためには、不断にインフレリスクに対峙しておくことが、中央銀行としての重要な責務だ」とも語った。
今後の金融政策運営に関しては「金融市場の安定を維持すると同時に、経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行なっていく」との方針を繰り返し、リスク要因を点検する際のポイントについては「景気とインフレのどちらを重視するかといった二者択一的な見方はしていない」と強調した。
(ロイターニュース 志田義寧)
「景気」が良かったときは、日本銀行が2001年3月19日から2006年3月9日まで実施していた量的金融緩和策が採られた時期からタイムラグ置いた時期である。名目経済成長率が実質経済成長率を上回った本格的景気回復の時期などほとんどないの、だ。景気とインフレの二者択一的な見方はしないなどと述べるが、インフレの方を日銀のスタンスは過去15年間に渡って重視してきたのである。それ故、不徹底な量的金融緩和策を速水総裁の一時期、また、福井総裁の一時期にとられた歴史を持つに過ぎないのではないか。デフレの方が、経済にとって望ましいとの考えも持った審議委員も存在していた時期もあったのではないか。
須田の「二者択一」的見方の拒否は、その意味で滑稽であり、日銀の採用してきた歴史を無視した自家撞着である。常識的に考えても多少のインフレを伴ってでも、平均賃金の上昇率によってインフレを補うような金融経済政策の方が、好ましいであろう。それとも、平均賃金の上昇の無い懐が寂しい状態が続くことを望む者たちのほうが、日本では、はるかに多いのだろうか?構造改革という痛みに耐えて、重ねる忍耐によって社会全体が良くなり日本経済の景気の回復ができるなどいうデマ経済論などを無根拠に信じている、それほど「特殊」な人種の集まりではあるまい。忍耐や道徳は、マクロの企業経営の身体論的な次元や人々の人生訓など個人的な諸活動では有用な「資源」ではあるが、マクロの経済にまでそれを拡張適用するようでは、論理の履き違えであり、全く無効である。
ある左翼の評論家が、日本社会はバッシング社会になっていると述べていたが、その根本的な原因は、脆弱な経済性と適切な政策が打てない中央銀行を含めた政治状況にある。問題意識、危機意識を持っている人々は何かがおかしいと思っているのだろうが、その向かうところがあまりにも身辺的な発想によっていれば、道徳観の欠如に、あるいは個々人が単称化していることに、その原因を求めるならやはり共通の社会ルールなどの共同規範、コミュニティに求めたり、求心力回帰としてのナショナリズムを求めるのが問題意識の解消になるのであろう。
物価上昇にあるのだから、金融は引き締めるべきという論が、散見されるが、これは、大きな誤りである。高橋洋一が月刊文芸春秋9月号で述べているように、70年代の年率20㌫もの物価上昇率は、それ以前からの金融緩和によって、それを上回る平均賃金の上昇率年率25㌫台の上昇率によって、補われていたといえるのである。2006年3月の日銀総裁福井の量的金融緩和の解除によるベースマネーの削除が、現状の日本経済の沈滞を招き、その脆弱な経済状態のときに、外部のショック、米国サブプライムによる米国需要の沈滞、資源高としての原油高が日本経済を襲ったと考えるべきである。
また、「ばら撒き」政策のマスコミの拒否は、論点を自分たちで了解していないことにある。ばら撒きの拒否ではなく、ばら撒きによる既得権益の維持、レントシーキングの拒否、が「ばら撒き」政策の批判の趣旨であるはず。とするなら、既得権益化した「制度」を解体するような「制度」を作ればよいはずである。「ばら撒き」政策をに期限を設けるか、あるいは、ばら撒きを「融資」の形にするかである。
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