山崎 元(経済評論家)の小沢一郎の権力のレバレッジが、分析が鋭く、党幹事長という人事、資金、選挙の観点から冷静に眺めていて、新聞などの騒ぎ方と違って考えさせるだけでなく、筋のいい視点を提供するものになっているわ。
小沢の動向は、奴の政策の是非は別に、注目度高く見ておくべし。来夏の参議院で大幅に勝ち上がると小沢の危険な独裁政治が開始されるかもしれない、さらにその後の統一地方選がみものである。
政府見通し 政府は25日、2010年度の政府経済見通しを閣議了解した。国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動の影響を除いた実質で前年度比1・4%、生活実感により近い名目で0・4%と、いずれも3年ぶりのプラス成長を見込んだ。 ただ、実質成長率が名目を上回る“名実逆転”は1998年度から13年連続で続く見通しだ。消費者物価は前年度より0・8%下落し、2年連続でマイナスとなるデフレを予想した。完全失業率も5・3%と高止まり状態が続くと見ている。個人消費は前年度比1・0%増、住宅投資も「住宅エコポイント」の効果で4・4%増と予想した。輸出は8・3%増、設備投資も3・1%増と試算している。 一方、09年度の実質成長率はマイナス2・6%、名目成長率はマイナス4・3%と見込んだ。名目は統計が始まった1956年以降で最大の下落率となる。 (2009年12月28日 読売新聞)
白川総裁は「そもそも、日本の輸出依存度は10%台半ばと、米国と比べやや高いものの、約40%のドイツ、20%台後半のイギリスやフランスをはじめとする欧州の先進国と比べるとはっきりと低く、事実として先進国の中で外需依存傾向が強いとは言えない」と語った。
この白川の講演を読むと白川は市場エコノミストなどの「経済」学より、まとも「当り前か(笑い)」である。日本の経済の眺め方として至極順当である。先進国で、外需依存の傾向が低いにもかかわらず、欧米の金融危機により、外需が急激に減少、それゆえに日本の実体経済を直撃した。また、内需転換だけの政策を否定、内需も外需も重要であり、講演内容にはないが以前から述べている金融システムの安定によるマクロ経済の安定に資するというまともな考えの持ち主であるから、金融も製造業も重要であるということも言外に推測できることである。
「為替相場が輸出競争力に与える影響をみる上では、内外の物価変動の差や貿易ウエートを考慮に入れる必要がある」と指摘。これらの要因を調整した円の実質実効為替レートは「05年ごろから07年央にかけて2割強減価し、過去20年間で最も円安の状況が続いた。これは日本の輸出を相応に押し上げていたと考えられる」と述べた。」
とあるように、円安による外需産業の好況が、日本経済をけん引し、かつそれが、水準は低いが長期にわたる景気回復つながった。よって、グローバル経済の成長の果実を取り込むことと、国内需要が拡大する基盤を整えることは、ともに重要であること述べている。ごくありきたりの結論で、当たり前ではないかと思われるだろうが、こうした観念の披歴は、当たり前すぎるのでこの不況期での偏屈経済学が横行する中、非常に貴重でもある。筆者の日ごろ日銀批判をしているが、評価すべきは評価しないとね。(^-^)
ここのところ産経新聞の田村秀男の紹介が多くなっている。それだけ大胆な提言で、理にかなっているからついつい引用というか、記事を引っ張って来たくなる。【デフレの恐怖 処方箋はあるか】(5)編集委員・田村秀男
まあもっとも、政治家達が、こういった提言にのる可能性は、あまりにも低いのだろう。日銀に国債や地方債の買い取り、財政ファイナンスをさえることに逡巡しているから・・・・。
日銀に財政ファイナンスさせることと同時に、肥大化した行政ーー特別会計を含めてーーの3分の1ほど削ることを示せば、鳩山内閣の支持率もコアな処で浮上するだろうが・・・・・。
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 甘い鳩山東アジア共同体構想
田村秀男の発言は中国のしたたかな元の政策に注目していて面白い。
「アジアでの人民元の浸透作戦は、まさしく解放区方式を思わせる。まず国境周辺のベトナム、ラオス、ミャンマー、北朝鮮、さらにロシア極東部と交易を通じて人民元建てのビジネスを活発にする。」
「 ◆作戦の担い手は2つの銀行
人民元のアジア通貨化作戦の担い手は、最大の国有商業銀行である中国工商銀行と国際化が最も先行している中国銀行である。
まず工商銀行は09年9月、インドネシア企業向けに人民元を融資した。中国企業との貿易決済用で、中国証券報によると「世界初の人民元貿易金融取引」だという。工商銀行はこれを機に、ASEAN向けなど対外貿易決済用の人民元資金融資を一挙に拡大するつもりだ。中国工商銀行はマレーシアで商業銀行免許を取得し、現地法人の設立準備を進めている。タイでは大手の地元銀行買収に乗り出した。
中国銀行は香港法人を拠点にインドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアでの支店で人民元決済業務を拡大させる。10月下旬には、ブラジルと中国の企業に対して初めて人民元決済融資に踏み切った。
北京は人民元建て決済促進のためには外銀も使う。香港に一大拠点を持つ英国の香港上海銀行グループ(HSBC)は11月、インドネシアで人民元建ての貿易決済サービスを開始した。HSBCはインドネシアで貿易金融、インドネシア・ルピアと人民元の両替、輸出入金融など幅広く人民元取引サービスを提供する予定だ。さらにマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナム、ブルネイにも同様の業務を展開する。中国が思い切った人民元経済圏拡大に踏み切るきっかけになったのは「リーマン・ショック」である。中国は未曾有の金融危機が起きると、ただちに人民元をドルにペッグ(釘打ち)し、対ドル・レートを固定した。中国の取引先は為替変動リスクを被る恐れがなくなり、相手も人民元建て貿易決済を受け入れる。同時に、ドルの大量発行にあわせて人民元札の印刷機をフル回転させている。人民元の大河は周辺アジアに注ぎ込み、拡散する。」
山崎元の発言。かなりな程度で納得。但し、藤井の日銀に対する対応が、もっとも不安になるのだが・・・・・。
亀井のモラトリアム法案は、銀行がリスクテイクしていく、融資の姿勢を縮小させるだろうから、却って銀行を中小企業苛めに走らせることになる愚策である。
おまけ、知識というか情報。
欧米の需給ギャップは、対GDP比3~4㌫、日本のそれは7㌫である。これってどう思う?リーマンショックか、サブプライムショックによるかは別に、民間銀行が130行も潰れる金融危機のあった本家米国、サブプライム担保証券組み込んだ金融デリバティブ証券を大量に買い込んで米国発の金融危機に見舞われた欧州より、金融危機よりも実体経済へ直接の米国などの外需不足として直撃された日本のほうが需給ギャップが大きいのは、何故か?へっぽこマクロ経済学者では、この現実を旨く説明出来ないだろう。金融危機による実体経済の不況は、米国、や欧州のほうが大きかった。
にもかかわらず、日本の経済のほうが、現状では非常に厳しく、需要不足の割合が大きい。日本の内需産業の生産性の低さ、民間企業の生産性が低かったからだというサプライサイドの「改革」の不徹底に原因を見出すのは、へっぽこである。むしろ自動車や家電の外需産業の生産性があまりに高いがために、国内の内需産業の生産性が相対的に低いと眺める必要がある。供給側の生産性向上を、政府が主導できるという思い上がりが、そもそもの間違いである。政府側は、経済界と労働界への要望としてそれが必要であるとするのがマクロ的に見たとき正解ではなかろうか、と思う。
世界の軍事費は、おおよそ米国が半額を負担。つまり経済的には、全世界と米国一国が仮に戦闘状態になれば、米国の勝利がある。それほど強大な大国なのよね。相対的に経済が不調であるといっても米国は・・・・・。このリストには、軍事費の対GDP比も掲載されているので、相対的な比較もできる。日本は対GDP比で、0.8%というところで世界平均よりかなり下回っている。といっても、日本の名目GDPは、ここ20年間ほとんど上昇していないし、また不況下で17年程前の経済状態に舞い戻るとか言われているから、経済規模から見れば、軍事費負担率は上昇していると言えるのだろう。
リストの中でも中国の軍事的脅威は高まっているとみていいのだろう。確か中国は、航空母艦を模擬的に製造中だとか、航空母艦は、非常に重要な軍備だと門外漢ながら思うが、米軍がその量と規模も他国を圧倒している。軍事の質も問題なのだろうが、その辺は門外漢なので、量でみて見るのが適切だとすると、やはり中国は、軍事的に非常に不気味で、その不気味さを増幅するのが、共産党一党独裁の政治機構=共産党体制である。トップが代われば、すべてが民主主義の国家より変わり身が早い、そこが不気味なんだよな。
〔焦点〕縮む日本経済、デフレ深刻化で名目GDPが18年前に逆戻り
[東京 9日 ロイター] 9日発表された7─9月期国内総生産(GDP)2次速報で、名目GDPが470兆円に減少、リーマンショック前のピークだった2008年1─3月期から1割程度の落ち込みとなり、18年前の水準に低下したことが明らかとなった。生産水準が回復しない中、雇用をある程度維持しながら賃金抑制でカバーする日本企業の体質も影響し、デフレ深刻化によって経済規模が大きく萎縮している姿が鮮明となった。
<慢性デフレ構造、賃金抑制が主因>
7─9月期GDPは成長率の下方修正幅も大きかったが、さらにショックが走ったのは水準自体の低下だ。金額ベースで名目GDPをみると、470兆円となり、4─6月期からさらに5兆円程度縮小、1991年の469兆円に迫るレベルに低下した。国内需要デフレータは1次速報ですでに51年ぶりの低下幅となっていたが、2次速報でさらにマイナス幅を拡大させた。需要の落ち込みだけでなく、物価の下落が日本経済の縮小に拍車をかけている。
みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、日本は慢性的なデフレ構造にあると指摘。日本の生産年齢人口の減少で国内総生産の規模が閉塞感の強い足取りとなっているとし、そこに米国過剰消費の崩壊の影響も加わり、名目GDPの厳しさが度合いを増した、と分析している。
JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は、生産水準が未曾有の落ち込みからの回復途上にある中で、過剰雇用を抱える企業が収益を削って雇用を維持しながら賃金を抑制するという、日本特有の構造が強く影響しているとみている。米国では企業は過剰な雇用は解雇で対応し、失業対策という社会的コストは政府が受け持つ。
日興コーディアル証券・チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏も「賃金デフレが終息しないとデフレ脱却は難しい」と指摘する。
<デフレの罠の可能性も>
デフレが需要自体を萎縮させている可能性が出てきた。今回の2次速報で設備投資が悪化した背景として、デフレ状況の下で企業の期待成長率が低下した可能性があるとすれば、日本がデフレスパイラルに陥りかけているとの見方もできる。12月2日公表のロイター企業調査でも、6割の企業が販売価格の低下が業績を圧迫していると回答。業績低下がさらに賃金抑制につながるのは時間の問題との指摘もある。
経済規模の縮小とデフレは、従来ならば需要回復を起点に解消するはずだが、今回は需要の落ち込みが急激で、生産の回復が緩慢であるとともに賃金抑制も長期化すると見られ、脱出には相当の時間を要しそうだ。
<対症療法でデフレ脱却は困難に>
このため、日銀がいくら流動性を供給しても、政府が経済対策で一時的に需要をつけても、対症療法ではデフレ脱却は難しい。 政府は8日に09年度第2次補正予算を閣議決定したが、その内容は、津村啓介内閣府政務官が説明したように「株安、あるいは円高、いわゆるドバイショックと呼ばれる構造的な問題、そのほか高水準が続く失業率、こういったいくつかのネガティブな経済事象を視野にいれながら、デフレ宣言なども含めて総合的な視野に立って策定した」と総花的な感は否めない。
日本経済が萎縮から方向転換するためには、企業も個人も活発な支出活動を行えるような環境を整える抜本的な政策が必要となる。政府にとっても名目GDPの低下は税収減に直結する深刻な問題であり、一刻も早くデフレを解消しなければ財政規律が危うくなることは、今回の予算編成過程をみても明らかだ。
菅野氏は「政府はまずデフレ脱却に優先順位を置くべき」と主張する。そのためには3年程度の時間をかけて、財政規律を後回しにしてでも対応すべきとしている。ただ、財政支出効果の高い「ワイズ・スペンディング」に失敗すれば、デフレ脱却もままならず、財政規律も破たんしかねない瀬戸際に来ていると指摘する。 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 伊藤純夫)
何でこうも、市場「エコノミスト」「アナリスト」は中央銀行の金融政策の役割を無視した間の抜けたデフレ原因論を展開すんだろうという典型だわ。この言論の貧困状態が続けば、日本経済の縮小も続くことに大きく貢献する(皮肉)。上野泰也も、他のところでは基本的につぼを押さえた発言をするのだが、「構造」デフレ論はいただけない。デフレは少子高齢化が原因だとでもいうのだろうか。確かに超長期的にはそれはいえるのかもしれない。だが、その「構造」転換が原因で、短期の急激なデフレは起きない。
少子高齢化社会であっても、インフレは起きる。通常想定できる社会を考えてみる。マイルドなインフレ期の金融ショック、外政的な原油高などがないなら、名目GDPの国民所得はマイルドにでも向上しているのであるから、企業物価も向上していれば、所得も漸次に上がり、将来への懸念が縮小すれば、消費は堅調であるだろう。 需要が堅調であるということを背景に設備投資もそれなりにあるだろう。規制の緩和によって利潤や所得が見込める分野に企業と勤労者は、参入することになるだろう。そのような経済環境であれば、企業家や勤労者は、さらに企業努力と勤労での創意と工夫に向かい、また余力を残すこともできるだろう。仕事の質が改善し仕事量は減っても生産性は向上し、所得が増え、将来への展望も総需要の拡大によって、投資が増え、金融の貸し出し仲介機能も改善し貸し出しも堅調に推移するだろう。金利も堅調な経済を背景に資金需要が拡大して、銀行間の金利競争を通じて金融機関は淘汰されながながらも、上昇へと向かうと予想される。不況期で民間銀行に積み上がった通貨、マネーが市中の経済へ循環することになる。通貨の循環が一か所に滞留しないということは、その経済社会が順調であり多くの人々が将来への経済的な選択に肯定的、積極的であるということである。マネーの市場での通貨循環が円滑に行われる社会であれば、財とサービス市場の消費も活発であることから、インフレ紀の社会が想定される。
デフレ、インフレは主として通貨の循環現象であり、消費循環、投資循環を促進する通貨供給を原則とする金融政策の政策に原因を求めるべきである。異常な緩和策は、しばらくの間は、企業、家計の預金量増大と不況とデフレ、ディスインフレにより資金需要が細り、民間銀行の「金余り」現象を招き、物足りないものたちは株や為替リスクのある金融資産に向かうが、一般の「堅実」な金融機関は、国債を買い入れることになる。この程度のことさえ考えられないのだろうか?彼らには・・・・。 時間が出来れば、逐一検討でもしたいところ・・・。
下らないデフレ原因論に対する反論は、ここ hicksian経済学学習手帳