月刊ボイスの上野泰也の記事。月刊ヴォイスは、経済専門紙が注目しない金融政策を取り上げることが多かったので、その面では注目していた。ゴリゴリの保守派月刊誌で、何んとも偽物の「保守」ポサが売りの雑誌だ、そこでほかの内容は敬遠気味の雑誌。が、若田部のコラムが終了だそうで、魅力がなくなったな。若田部氏のマクロ経済の見方、経済学の「常識」となっていることへの基本に立った批判もさりげなく語っていたところが、魅力的だった。
そこで、上野の中国経済論だが、中国経済の状態が、よくわかるように書いていある。新書版の中国経済を扱ったものには、筆者の知る限り得心がいくものがない。極端な中国排撃論、か極端な中国経済礼賛論かのどちらかである。中国統計に出来の悪さは言わずと知れたことだが、そうでありながらデーターを見ながらの上野の指摘にはうなずける処が多かった。
消費を拡大させる税制 伊藤元重(NIRA理事長、東京大学教授)
これは面白い記事である。元さんのヒット作だな。元さんは、説明が平易でうまいからな。原案は中谷巌の還付付き消費税の増税論である。ただし、日本銀行が、長期国債の償還なしの買い切り策や通貨発行益を使った国庫納入金の大幅増が伴うことがなければ、消費不況を経済に持ち込むことになるだだろう。
米中古車価格高騰 リース評価損縮小
自動車大手、金融事業が貢献自動車リースや個人ローンなど、大手自動車メーカーの金融事業が好転している。各社が発表した2009年7~9月期の連結業績は、本業のもうけを示す営業利益の多くを金融事業が占め、通期予想の大きな上方修正要因になった。
特に自動車リースは、米国で中古車価格が上がり、資産として計上しているリース車両の評価損が減ったことが収益に大きく貢献した。 米国では、自動車をリース販売することが多い。メーカーは期間終了後に戻ってくる車に一定の価格があるとして、資産に計上するが、この価格は中古車の市場価格を参考に決められており、相場が下落する局面では評価損が膨らむ。
この結果、評価損に対して設定された引当金も拡大し、収益の下押し要因になる。 米国では、中古車価格が今年初めごろから上昇し始め、トヨタ自動車の場合、7~9月期の金融事業の営業利益は、前年同期比で467億円増の748億円に拡大した。国内販売の不振などで生じた赤字を十分にカバーできる数字で、営業損益全体も、580億円の黒字を確保した。
トヨタの10年3月期の通期見通しは、上方修正分4000億円のうち、3割近くの1100億円を金融事業が占める。リース用車両の評価損が減ったほか、個人向けローンの焦げ付き懸念が少なくなり、その分の引当金が減ったことも大きいという。 一方、ホンダも7~9月期の営業黒字655億円のうち、7割強の471億円が金融事業だ。通期予想の上方修正分1200億円のうち、360億円を金融事業が占める。
日産自動車も、7~9月期の営業利益832億円のうち193億円が金融事業。両社もやはり、リース車両の評価損の減少が大きいという。 ただ、本質的な部分での収益の改善は、まだ先になりそうだ。10年3月期の北米での販売は、トヨタが約11%減の197万台、ホンダが約13%減の130万5000台など、軒並み、前年割れを予測している。 需要の回復は、早くても「来期の半ば」(ホンダの近藤広一副社長)との見方もある。
今後は、消費者の環境意識の高まりの中、北米でも燃費がいいが利幅の薄い小型車や、開発コストのかかる次世代型エコカーの投入競争が始まる。主要市場の北米で本質的な回復の風に乗ることができるのか、これからが正念場だ。(山口暢彦) 産経ビジネス
◇ ■自動車各社の営業利益と金融事業の利益 営業利益全体 金融事業 トヨタ 580 748 ホンダ 655 471 日産 832 193 (注)億円 2009年7~9月期
なるほど、この記事見ると、金融事業でもあるわけだよな。最終のユーザー製造業は、金融事業者でもあるわけだ。この記事は米国の状態を述べているのが、相対的に高付加価値の製品業者(家電、PCなど)は、消費者にとってはローン業者でもあることには変わりは無い。製造業だけではなく、金融もこれからの日本にとっては車の両輪にすべきだといえることになる。
鳩山政権の迷走が経済政策の支柱がないからデフレ界隈の迷走と普天間を巡って軍事のあり方(米国は、5年後に軍事の中枢をグアムに移転し、中枢と周辺軍備変更するというトランスフォーメーション計画を実施したいと言っているに過ぎないのだから、これについて同意すべき。これは、ブッシュとラムズフェルドの軍事政策の延長であって、単なる軍縮とか対中国政策についての警戒の緩和策への転換でもなんでもない。)について混乱が続いているが、企業政策の重点は、ここにもあるだろう。
家計だけではなく、企業も、内需だけでなく、外需も資本移動も重要なのだわ。金融は、資本移動の自由を採っている限り、1日に、12兆円もの資金が移動するといわれている。それならば、金融監督をするより、金融の業の誘導をすべきことになる。
■円高の真相
≪外銀に0・1%利息“保証”≫
現在の円高傾向は日銀の金融政策により助長されていることをご存じだろうか。からくりはこうだ。日本はデフレのために実質金利が米国より高い。このため、外国の金融機関は手持ちのドルを円に転換して運用する「ドル・キャリートレード」に励んでいる。この操作の受け皿を提供しているのが日銀の保身のための政策である。 日銀は昨年11月から、民間金融機関の日銀当座預金のうち必要準備を超過する分について0・1%の利息を付けている。日銀は当初はことし3月末で打ち切ると発表していたが、延長を重ねてきた。
この制度を最も積極的に活用しているのが外銀で、ドルを売って得た円資金を最も安全で利息が保証される日銀口座に預けている。言い換えると、この便利で有利な制度があるから外銀は安心してキャリートレードに励むことができる。いい加減に円高が進めば、今度はこの円を売ってドルに転換できる。いずれ円相場は投機的な思惑により激しく乱高下するわけである。
論より証拠、グラフをみてほしい。日銀統計によると、外銀の日銀当座預金(超過準備額)は昨年12月から急増し、最近では月平均2兆~3兆円規模に膨れ上がっている。円相場はこの外銀の超過準備の増勢基調にほぼ連動して上昇を続けていることが明白だ。
≪超過準備は邦銀の20倍超≫
この10月時点では、大手国内銀行(都市銀行)の超過準備1060億円に対し、外銀は20倍以上の2兆2320億円に上る。資産規模で都銀の1%にもはるかに満たない外銀の在日支店は、日本国内の通常の金融では零細でも、外国為替市場では有力な投機家だ。ふんだんに調達できるドルを売って円を買う。この円を市場で運用しようにも、日本の株式市場は下落しやすいし、不動産市況も悪化している。それなら利息付きの日銀口座で資金を運用する方がよい、というわけだろう。
外銀にとって具合のよいことに、当座預金だからいつでも取り崩せる。ドル資産で運用した方が有利と判断すれば、ただちに円をたたき売って、それまでの間の円高差益分と日銀から受け取る利息収益を懐にすることができる。日銀は円をめぐるマネーゲームに興じる外国の投機勢力に軒先を提供しているようなものだ。
もちろん、日銀には日銀なりの言い分がある。それは日銀当座預金に利息を付ければ、民間銀行は率先して当座預金を積み増す。この結果、金融市場は安定するし、年末年始などの民間資金需要に対応できる、というものだ。しかし、前述したように金融の主力担い手である国内大手銀行の超過準備はわずかな水準にとどまっている。
「ドバイ・ショック」の追い打ちをかけられた日本の喫緊の課題は円高とデフレの進行を食い止めることだ。そのためには、政府が経済の先行きに確信をもたらすような賢い財政政策を作成すると同時に、日銀が思いきった金融の量的緩和政策に転換すべきなのだが、白川方明(まさあき)日銀総裁は相変わらず小出しでその場しのぎの金融緩和策しかとらない。鳩山由紀夫政権も成長戦略を打ち出せないまま、日銀政策をそのまま評価し、追認している。
[東京 4日 ロイター] 来週の東京株式市場は1万円付近の値固めとなる見通し。海外勢の買いがいつまで続くかが焦点だが、政府や日銀の政策で下値不安は薄らいでいる。米雇用統計を無事に通過し、円安が進めばメジャーSQ(特別清算指数)算出にむけて上値を伸ばす可能性もある。
ただ日本のファンダメンタルズが大きく好転したわけではなく「天井」はそれほど高くないとの声も多い。
日経平均の予想レンジは9800―1万0200円。
<いつまで海外勢の買いは続くか>
海外勢のポジション巻き戻しがいつまで続くかが株反発の持続力を占うポイントになる。日銀の新型資金供給オペ導入をきっかけに、円安・株高が進んでいるが、日本の成長性といったファンダメンタルズへの評価が好転したわけではない。政府・日銀の政策でデフレを止めることができるのかは不透明だ。個人投資家は大台到達後、戻り売りを強めており一段高には海外勢の買いが不可欠といえる。
大和証券SMBC金融証券研究所・投資戦略部部長の高橋和宏氏は「現物の長期ポジションを組むような海外投資家が大きく買いに動いた感じではない。トレンドフォローの短期筋がどこまで買いを続けるかが注目だ」と話す。
年内の大型増資に一服感があるほか、6月に高値を付けた環境関連株の信用買い残も整理が進んでいる。需給面で軽くなるなか、円安が一段と進めば、企業業績への悲観が修正される形で上値を伸ばす可能性もある。また11日の12月限日経平均先物・オプションの最終決済に関わるSQ(特別清算指数)算出に向けて「思惑的に上値をねらう先物買いが週半ばにかけて入るかもしれない」(準大手証券トレーダー)との見方もあった。
ただ、みずほインベスターズ証券・エクイティ情報部長の稲泉雄朗氏は「米国がドル安による企業業績の回復を密かに歓迎しているならばドル安・円高の流れは続くだろう」と指摘する。そのうえで「日本株の主力である輸出企業の業績は円高が圧迫し低迷する可能性がある。ただ同時に潤沢な流動性を背景にした金融相場色が強まるとみられ、流動性の高い大型株には資金が流入するだろう」との見方を示している。<政府の経済対策発表で材料出尽くしとなる可能性も>
政府・与党は4日、2009年度第2次補正予算を含む経済対策の策定に向けて断続的に協議を行ったが、対策規模をめぐって国民新党の亀井静香代表(郵政・金融担当相)との折り合いがつかず閣僚委員会の開催を延期した。
亀井代表の要求は予算額の上積みとみられ、株式市場にとっては大きな不安はないが、財政規律への不安が強まるようだと金利上昇を通じた悪影響が懸念される。
また共同通信によると、経済対策の事業規模は24兆3000億円と過去の経済対策と比べてもそん色ないが、歳出をともなう「真水」は7─8兆円程度。35兆円といわれる需給ギャップとはかい離がある。
市場では「株価は過度な悲観を修正する形で反発したが、日本のファンダメンタルズが何か変わったわけではない。株価の上値はそれほど高くないだろう。追加経済対策は株価反発の過程である程度織り込まれてきている。発表で材料出尽くしとなる可能性もある」(国内投信ファンドマネージャー)との声が出ていた。
<中国の主要経済指標発表に注目>
米主要マクロ指標の発表は週末11日の11月米小売売上高と12月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値程度で、日本市場では織り込めない。一方、11日には11月の中国の主要経済指標発表が予定されており注目だ。
日本では8日に11月景気ウォッチャー調査、9日に7─9月期国内総生産(GDP)2次速報、10日に10月機械受注が発表される。11日には来年度税制改正大綱が示される予定だ。
(ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)
平均株価が、ここまで上がるとは・・・・。さらに円安がここまで進むとは。まあ、この円安も、米国の雇用統計がよかったからのドル高だと説明されているが・・・・。とにもかくにも、株価が上昇したのはよかったわ。実体経済の向上は、資本移動の自由がある社会では特に資産価格が上昇しなければ、第一弾のステップ歯上れることはないので、兆候としてはよいこと、である。
金融政策は、財政政策に比べて、コストがほとんどかからず、また、規制の設定、逆の規制の緩和に要する政治劇を通じた法の設定のための過剰なエネルギーもいらないしな。
但し、緩和姿勢が途切れると「期待」の剥落がある。それによって、株も円も経済的桎梏につながるだろう。しばらくの間は、為政者どもの奇妙で奇天烈な政策がみものだな。長期金利、デフレと失業率、製造業の海外店加速などを伴って、株と円は、いつ、またどの程度の下落かは分からない。資産市場は、短期や瞬間では、ある価格を上か下かに試しにいくことになるとしか言いようがないからね。
日経平均、一時9900円台回復 3週間ぶり 3日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅に4日続伸。上げ幅は一時300円を上回り、取引時間中としては約3週間ぶりに9900円台を回復した。外国為替市場で円相場が1ドル=87円台後半まで下落し、円高への警戒感がやや後退。採算悪化懸念で売られていた輸出関連銘柄を中心に買い戻しが先行した。午後1時10分の日経平均は前日比259円49銭(2.70%)高い9868円43銭。 (13:42)
日銀が10兆円供給へ、白川総裁「広い意味で量的緩和」
[東京 1日 ロイター] 日銀は1日、臨時の金融政策決定会合を開催し、やや長めの金利の低下を促すことを目的に、新しい資金供給手段を導入することを決めた。短期金融市場における長めの金利のさらなる低下を促すことが、金融面から景気回復を支援する最も効果的な手段であると判断した。
白川方明総裁は会合後の記者会見で、新たな資金供給手段について「広い意味での量的緩和」、金利については「実質ゼロ金利」との認識を示した。
<広い意味での量的緩和>
新しい資金供給手段は、金利は政策金利と同じ0.1%で、期間は3カ月。国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)、証貸債権など「全ての日銀適格担保」を裏づけに資金を貸し出す。供給額は10兆円程度を予定しているが、資金需要によっては増減することもあり得る。日銀では、今月前半にも第1回目のオファーを行う方向で準備を進めている。
白川総裁は、新しい資金供給手段の狙いについて、量が制約になって金融機関の行動を制限しないような状況をしっかり作り出すことだと指摘。その上で、今回の措置を「広い意味での量的緩和」と位置づけた。 10兆円とした供給額については、毎週1回・8000億円の供給オペをすると3カ月で10兆円程度になる、と説明した。
今回の措置は、企業金融支援特別オペとは違い、期限を設けていない。白川総裁は、終了時期について「金融政策の判断が最優先される」と述べ、仮に将来的に政府が「デフレ脱却」などを宣言しても、それからは独立して判断する意向を示した。 過去の量的緩和については、金融システムの安定に大きな効果があったが景気刺激効果は限定的だった、との評価を繰り返した。
<国債のマネタイゼーションにつながらず>
新しい資金供給オペは、国債保有のインセンティブを引き上げ、財政ファイナンス効果を持つのではないか、との見方も出ている。これについて、白川総裁は「(国債のマネタイゼーションに)つながるとは思っていない」と強調。また、新型オペの為替市場への影響については、極めて低い金利を維持することが理解されれば市場にも相応の影響をもたらす、と期待感を示した。
ゼロ金利政策に関しては「実質ゼロ金利は0.1%だというのがグローバルスタンダードになった。日銀を含めて多くの国が実質ゼロ金利を0.1%と判断している」と説明した上で「これ以上引き下げると金融緩和効果があがらなくなってしまう」として、導入に否定的な見方を示した。
<現在の長期国債の買い入れ額が最適>
市場の一部には、長期国債の買い入れを増額するのではないかとの観測も出ていた。白川総裁は長期国債の買い入れオペについて、潤沢に資金供給するという目的では既に大いに活用している、と強調。長期金利の維持や財政ファイナンスが目的になるならそれは適当ではない、と語った。
年間21.6兆円を買い入れ額に関しては「世界の中央銀行で最も大きい金額。調節を円滑に行うために必要」とした上で「(21.6兆円との金額が)金融調節を行うために最適」との見方を示した。 (ロイターニュース 志田義寧記者 児玉成夫記者)
今回の金融緩和の評価が分かれるらしいが、ポイントは長めの満期が3ヶ月未満の金利の低下を狙ったということ、らしい。ここで量的金融緩和と時間軸効果のおさらいをしてみる。
「量的金融緩和」は、民間銀行が持つ日銀預金を日銀が長期の国債を買いオペして積み上げておき、いつでも無償ーーゼロ金利---で借りれる量を目標するものだが、預金準備は、大きく積みあ上がっているが、それは預金準備に日銀が「金利」をつけているから起きているだけで、民間の企業の資金需要の準備としてあるわけではない。ゼロ金利を伴っていないないから、「量的金融」政策ではあるが、「金融緩和」策とはならないのである。これを量的金融緩和というのは、非常に苦しい説明である。
日銀から供給される通貨量をベースマネー、民間銀行からの企業、家計への通貨供給量を市中通狩集量であるマネーサプライ、ないしはマネーストックという。通常のインフレ時での経済状態であれば、企業、家計の合計である国民所得は、増加し、将来においても増加するだろうという期待、見通しから資金需要も増え、消費の循環としての決済手段としての通貨量ーー通貨の巡航速度も含むーーも増えると予想される。ベースマネーの増加は、市中の通貨量とほぼ等しくなると「理論」的には考えられる。
概ね、長期ではベースマネーと市中通貨量は等しいと考えれば、その経済社会の状態がわかるわけである。しかしながら、デフレ時でかつ景気が芳しくないときのゼロ金利下では、ベースマネーと市中の通貨供給量は、一致しない。なぜなら、不況であるということで、民間銀行は、貸し出しに慎重になり、かつ、企業、家計も所得の向上が見込めないから、資金需要が減速するからである。不況期には民間預金量をベースマネーで割ったものを信用乗数というが、これが1を割り込む状態が続くことになる。その状態は「信用」緩和の米国、「量的金融緩和」の英国でも同じである。この状態から早期に抜け出すには、「緩和」策だけでは物足りないということになる。通貨発行益を使うことが望ましいのである。原価の安い紙幣をある程度発行し、その額面額との差額を国庫納入し、それを元手に、公的な基金、政府が専管する資金などに投入するのである。例えば、健康保険や診療報酬、あるいは年金、雇用保険など多くの国民が共通に利益を持ちうる公的分野に、その資金を投入することに国民は異議を持つとは思われない。当然のことだが、政府は、その政策をいつまで続けるかを明示しなければならないが、実体経済と繋がった形での方法を採用するべきである。負担の減った勤労者は、その政策が 「恒常」的であればあるほど安心感を持つだろう。消費は上向くに違いない。消費が上向けば、企業の潤沢な内部留保によって、あるいは、逡巡していた投資も増えるかもしれない。そのような経済状態を見た諸企業は、海外移転を避けるようになるになるかもしれない。何よりも、直接的な市中への通貨供給が増えるのであるから、デフレ脱却と不況期脱出も「緩和」策よりも早いだろう。
さらに時間軸効果として、将来の金利も上がらないという期待を資金需要者に持たせることによって、資金需要を喚起するするという意義がある、とされる。
で、短期の政策金利と同時に今回の長めの満期が3ヶ月未満の金利の低下を狙った緩和策だか、それなりの政策効果はあるだろう、しないよりはましという程度の代物である。というのも、3ヶ月未満の金利の低下によって起きるのは、短期で借りて、金融資産を購入する者たちには有効である。株価は上昇するかもしれない。商品先物も上昇するかもしれない。あるいは・・・・・。そして、より安全な長期もの債権へ資金は動くだろうから、長期金利は低下するだろうと思う。
デフレ脱却するまでの、あるいは、名目成長率が実質成長率を上回るまでの、あるいは、市中通貨量がベースマネーを上回るまでの通貨供給を実行するという政府と日銀の期限を決めない実体経済と結びついた「共同声明」が必要なのだわさ。
国の財政規律が緩み、通貨価値の低下によるインフレにつながりかねないため、長期国債の保有残高を日銀券の発行残高以下に抑える「銀行券ルール」という取り決めを日銀は持っている。そんな現状のデフレ下での実体経済と結びつかない日銀内部だけで通用するルール止めろよ。何のためのルールなのさ?そのルールの遵守によって、経済が沈没してもいいのだろうか?ルールは必要だが、実体経済のあり方を望ましい方向に持っていくための枠組みをルールとしたらどうなんだ?
日銀が財政ファイナンスをしてはいけないとおっしゃるが、その根拠が、こっちとらにはまったく分からない。現状の日本経済は、デフレで、長期不況に突入しつつある状態である。「経済は生き物」といっていたのは、どこのどいつ、だ。白川の発言である。それならば、生きものである経済ーーマイルドなデフレ下で、税収が急激に落ちた不況期を扱う政府の財政に対して、中央銀行が政府が苦境に対しているのにも関わらず、ファイナンスしてはいけないなどといえるだろうか。一体いつから中央銀行が、為政者である立場を放棄したというのだろう?日銀法にもそのような規定があるわけでもない。
「<現在の長期国債の買い入れ額が最適>
市場の一部には、長期国債の買い入れを増額するのではないかとの観測も出ていた。白川総裁は長期国債の買い入れオペについて、潤沢に資金供給するという目的では既に大いに活用している、と強調。長期金利の維持や財政ファイナンスが目的になるならそれは適当ではない、と語った。
年間21.6兆円を買い入れ額に関しては「世界の中央銀行で最も大きい金額。調節を円滑に行うために必要」とした上で「(21.6兆円との金額が)金融調節を行うために最適」との見方を示した。」
上記のような戯言を言ってもらいたくない。年間21,6兆円の国債買い入れをしているのが、もっとも大きい金額だそうである。長期国債をそれほど買い入れているのなら、それを増やせばいい。なぜ財政フアイナンスが適切でないのかの説明が全くない。確かにファイナンスが自己目的化するのがまずい経済状態がある時は存在する。それは、異常な(外政的ショックで誘発されるインフレを除く)インフレのときである。政府側が、政府債務をインフレによって債務解消を採用しているときには、財政のフアイナンスは、通貨供給を増やしてしまう「期待」が生まれやすく、経済主体がその期待と所得の向上からその期待実現に走れり活動すれば異常なインフレを導くことになる。しかし、現状は持続的なデフレ(原油高への不安を抱えてはいるが)である。
金融調整を行うのに「最適」な基準とは何か、明らかにするべきである。説明はあるが、根拠の明示が全くないのだ。
さらに述べると、買い入れた長期国債について政府から償還を受けているのであるから、民間銀行からベースマネーの吸収をしているのと同じことになる。引き締め策に従事しているのと同じなんだよな。
話が変わるが、日本は90年代の間、GDPデフレターで見てデフレである。この点を無視して、金融政策やマクロ経済学者と名乗るものは、まやかしのマクロ経済学者である。そういった連中が、多すぎるのが、間接的、直接的に日本経済の歪んだ形。格差の拡大は、デフレを起点とする、それを助長するのが財政の赤字に金縛りにあった政府の政策が、産業政策、年金政策、地域政などを伴って格差拡大を広げる。
そうした観点から言えば、データーだけの診断しか出来ない、フィールドワークなき、臨床なき学者である白川に期待するほうがおかしいといえる。立場上白川がそれが出来ないというのであれば、地方の日銀職員にでも、景気の「気」がどうなっているかを見てこいという行政命令でも出せや。三文学者!!!
日経平均終値、226円高の9572円1日の東京株式市場は、政府や日本銀行の景気対策への期待感が広がり、日経平均株価(225種)の終値は前日比226円65銭高の9572円20銭と約1週間ぶりに9500円台を回復した。
東証1部の出来高は約27億4300万株だった。東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は、同17・82ポイント高い857・76だった。
午前の取引では、前日の株価上昇の反動で当面の利益を確保する売りが先行したが、日銀が1日午後に臨時の金融政策決定会合を開くことが伝わると、政府・日銀がデフレ・円高対策に本腰を入れ始めたとの期待から上昇に転じた。(2009年12月1日15時14分 読売新聞)
現金給与総額は17カ月連続減 10月の毎月勤労統計調査 2009/12/1厚生労働省が30日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、すべての給与を合わせた現金給与総額(1人平均)は前年同月比1・7%減の26万8036円となり、17カ月連続で減少した。 ただ、減少率は4カ月連続で縮小。厚労省は「輸出の回復や生産の持ち直しが縮小に寄与しているようだ」と分析している。(産経新聞)
またもや田村秀男の痛快なる提言である。市中の民間銀行が保持する政府短期証券を日銀が買いオペをしろと述べている。いくらでも、日銀はデフレ脱却の方策はある。その証拠である。
「例えば、政府短期証券(FB)発行残高は6月末現在、119兆円ある。この大半は外国為替市場でのドル買い介入のために発行され、米国債で運用されている。FBは本来、日銀が市中経由で引き受けるべきだが、日銀の引受残高は2兆9千億円にすぎない。そこで日銀がFB100兆円分を市中から買い上げ、日銀資金を供給する(つまり円資金を新規発行する)と、政府は新規発行国債で100兆円を追加調達できる。」
この程度の引き受けさえも、日銀はしないのであるから、だらしなくデフレ放置だといわれるのであろう。田村は指摘していないが、民間残高がこれほど増えたのは、03年あるいは02年の円高介入のときに、日銀は不胎化(金融引き締め)をしたのである。民間銀行の所持した政府短期証券を買いオペを実行しなかったのである。
せっかくの量的緩和という緩和策とドル買い/円安為替介入による通貨供給を反故にしたことになる。その名残が政府短期証券について民間銀行に119兆円の存在である。本来であれば、日銀は政府短期証券を市中から買い上げなければならなかったのである。当時もデフレ脱却について、政府内では真剣に論議された。竹中平蔵が、くわしくは覚えていないが、この先頭に立ったのではないだろうか?
日銀の緩和が期待されたが、表向き量的金融緩和をとりながら、不胎化という引き締め策に動いたのが、当時の福井日銀体制であったのである。それでも、この量的金融緩和は、為替には有効であった。円安による輸出を増やし、サブプライムローン政策、住宅ローンの金利控除策などで、消費が好調であった米国の景気が日本の外需を向上させたのである。デフレ解消へ、実感なき景気回復が続くことになったといえる。
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