日銀が10兆円供給へ、白川総裁「広い意味で量的緩和」
[東京 1日 ロイター] 日銀は1日、臨時の金融政策決定会合を開催し、やや長めの金利の低下を促すことを目的に、新しい資金供給手段を導入することを決めた。短期金融市場における長めの金利のさらなる低下を促すことが、金融面から景気回復を支援する最も効果的な手段であると判断した。
白川方明総裁は会合後の記者会見で、新たな資金供給手段について「広い意味での量的緩和」、金利については「実質ゼロ金利」との認識を示した。
<広い意味での量的緩和>
新しい資金供給手段は、金利は政策金利と同じ0.1%で、期間は3カ月。国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)、証貸債権など「全ての日銀適格担保」を裏づけに資金を貸し出す。供給額は10兆円程度を予定しているが、資金需要によっては増減することもあり得る。日銀では、今月前半にも第1回目のオファーを行う方向で準備を進めている。
白川総裁は、新しい資金供給手段の狙いについて、量が制約になって金融機関の行動を制限しないような状況をしっかり作り出すことだと指摘。その上で、今回の措置を「広い意味での量的緩和」と位置づけた。 10兆円とした供給額については、毎週1回・8000億円の供給オペをすると3カ月で10兆円程度になる、と説明した。
今回の措置は、企業金融支援特別オペとは違い、期限を設けていない。白川総裁は、終了時期について「金融政策の判断が最優先される」と述べ、仮に将来的に政府が「デフレ脱却」などを宣言しても、それからは独立して判断する意向を示した。 過去の量的緩和については、金融システムの安定に大きな効果があったが景気刺激効果は限定的だった、との評価を繰り返した。
<国債のマネタイゼーションにつながらず>
新しい資金供給オペは、国債保有のインセンティブを引き上げ、財政ファイナンス効果を持つのではないか、との見方も出ている。これについて、白川総裁は「(国債のマネタイゼーションに)つながるとは思っていない」と強調。また、新型オペの為替市場への影響については、極めて低い金利を維持することが理解されれば市場にも相応の影響をもたらす、と期待感を示した。
ゼロ金利政策に関しては「実質ゼロ金利は0.1%だというのがグローバルスタンダードになった。日銀を含めて多くの国が実質ゼロ金利を0.1%と判断している」と説明した上で「これ以上引き下げると金融緩和効果があがらなくなってしまう」として、導入に否定的な見方を示した。
<現在の長期国債の買い入れ額が最適>
市場の一部には、長期国債の買い入れを増額するのではないかとの観測も出ていた。白川総裁は長期国債の買い入れオペについて、潤沢に資金供給するという目的では既に大いに活用している、と強調。長期金利の維持や財政ファイナンスが目的になるならそれは適当ではない、と語った。
年間21.6兆円を買い入れ額に関しては「世界の中央銀行で最も大きい金額。調節を円滑に行うために必要」とした上で「(21.6兆円との金額が)金融調節を行うために最適」との見方を示した。 (ロイターニュース 志田義寧記者 児玉成夫記者)
今回の金融緩和の評価が分かれるらしいが、ポイントは長めの満期が3ヶ月未満の金利の低下を狙ったということ、らしい。ここで量的金融緩和と時間軸効果のおさらいをしてみる。
「量的金融緩和」は、民間銀行が持つ日銀預金を日銀が長期の国債を買いオペして積み上げておき、いつでも無償ーーゼロ金利---で借りれる量を目標するものだが、預金準備は、大きく積みあ上がっているが、それは預金準備に日銀が「金利」をつけているから起きているだけで、民間の企業の資金需要の準備としてあるわけではない。ゼロ金利を伴っていないないから、「量的金融」政策ではあるが、「金融緩和」策とはならないのである。これを量的金融緩和というのは、非常に苦しい説明である。
日銀から供給される通貨量をベースマネー、民間銀行からの企業、家計への通貨供給量を市中通狩集量であるマネーサプライ、ないしはマネーストックという。通常のインフレ時での経済状態であれば、企業、家計の合計である国民所得は、増加し、将来においても増加するだろうという期待、見通しから資金需要も増え、消費の循環としての決済手段としての通貨量ーー通貨の巡航速度も含むーーも増えると予想される。ベースマネーの増加は、市中の通貨量とほぼ等しくなると「理論」的には考えられる。
概ね、長期ではベースマネーと市中通貨量は等しいと考えれば、その経済社会の状態がわかるわけである。しかしながら、デフレ時でかつ景気が芳しくないときのゼロ金利下では、ベースマネーと市中の通貨供給量は、一致しない。なぜなら、不況であるということで、民間銀行は、貸し出しに慎重になり、かつ、企業、家計も所得の向上が見込めないから、資金需要が減速するからである。不況期には民間預金量をベースマネーで割ったものを信用乗数というが、これが1を割り込む状態が続くことになる。その状態は「信用」緩和の米国、「量的金融緩和」の英国でも同じである。この状態から早期に抜け出すには、「緩和」策だけでは物足りないということになる。通貨発行益を使うことが望ましいのである。原価の安い紙幣をある程度発行し、その額面額との差額を国庫納入し、それを元手に、公的な基金、政府が専管する資金などに投入するのである。例えば、健康保険や診療報酬、あるいは年金、雇用保険など多くの国民が共通に利益を持ちうる公的分野に、その資金を投入することに国民は異議を持つとは思われない。当然のことだが、政府は、その政策をいつまで続けるかを明示しなければならないが、実体経済と繋がった形での方法を採用するべきである。負担の減った勤労者は、その政策が 「恒常」的であればあるほど安心感を持つだろう。消費は上向くに違いない。消費が上向けば、企業の潤沢な内部留保によって、あるいは、逡巡していた投資も増えるかもしれない。そのような経済状態を見た諸企業は、海外移転を避けるようになるになるかもしれない。何よりも、直接的な市中への通貨供給が増えるのであるから、デフレ脱却と不況期脱出も「緩和」策よりも早いだろう。
さらに時間軸効果として、将来の金利も上がらないという期待を資金需要者に持たせることによって、資金需要を喚起するするという意義がある、とされる。
で、短期の政策金利と同時に今回の長めの満期が3ヶ月未満の金利の低下を狙った緩和策だか、それなりの政策効果はあるだろう、しないよりはましという程度の代物である。というのも、3ヶ月未満の金利の低下によって起きるのは、短期で借りて、金融資産を購入する者たちには有効である。株価は上昇するかもしれない。商品先物も上昇するかもしれない。あるいは・・・・・。そして、より安全な長期もの債権へ資金は動くだろうから、長期金利は低下するだろうと思う。
デフレ脱却するまでの、あるいは、名目成長率が実質成長率を上回るまでの、あるいは、市中通貨量がベースマネーを上回るまでの通貨供給を実行するという政府と日銀の期限を決めない実体経済と結びついた「共同声明」が必要なのだわさ。
国の財政規律が緩み、通貨価値の低下によるインフレにつながりかねないため、長期国債の保有残高を日銀券の発行残高以下に抑える「銀行券ルール」という取り決めを日銀は持っている。そんな現状のデフレ下での実体経済と結びつかない日銀内部だけで通用するルール止めろよ。何のためのルールなのさ?そのルールの遵守によって、経済が沈没してもいいのだろうか?ルールは必要だが、実体経済のあり方を望ましい方向に持っていくための枠組みをルールとしたらどうなんだ?
日銀が財政ファイナンスをしてはいけないとおっしゃるが、その根拠が、こっちとらにはまったく分からない。現状の日本経済は、デフレで、長期不況に突入しつつある状態である。「経済は生き物」といっていたのは、どこのどいつ、だ。白川の発言である。それならば、生きものである経済ーーマイルドなデフレ下で、税収が急激に落ちた不況期を扱う政府の財政に対して、中央銀行が政府が苦境に対しているのにも関わらず、ファイナンスしてはいけないなどといえるだろうか。一体いつから中央銀行が、為政者である立場を放棄したというのだろう?日銀法にもそのような規定があるわけでもない。
「<現在の長期国債の買い入れ額が最適>
市場の一部には、長期国債の買い入れを増額するのではないかとの観測も出ていた。白川総裁は長期国債の買い入れオペについて、潤沢に資金供給するという目的では既に大いに活用している、と強調。長期金利の維持や財政ファイナンスが目的になるならそれは適当ではない、と語った。
年間21.6兆円を買い入れ額に関しては「世界の中央銀行で最も大きい金額。調節を円滑に行うために必要」とした上で「(21.6兆円との金額が)金融調節を行うために最適」との見方を示した。」
上記のような戯言を言ってもらいたくない。年間21,6兆円の国債買い入れをしているのが、もっとも大きい金額だそうである。長期国債をそれほど買い入れているのなら、それを増やせばいい。なぜ財政フアイナンスが適切でないのかの説明が全くない。確かにファイナンスが自己目的化するのがまずい経済状態がある時は存在する。それは、異常な(外政的ショックで誘発されるインフレを除く)インフレのときである。政府側が、政府債務をインフレによって債務解消を採用しているときには、財政のフアイナンスは、通貨供給を増やしてしまう「期待」が生まれやすく、経済主体がその期待と所得の向上からその期待実現に走れり活動すれば異常なインフレを導くことになる。しかし、現状は持続的なデフレ(原油高への不安を抱えてはいるが)である。
金融調整を行うのに「最適」な基準とは何か、明らかにするべきである。説明はあるが、根拠の明示が全くないのだ。
さらに述べると、買い入れた長期国債について政府から償還を受けているのであるから、民間銀行からベースマネーの吸収をしているのと同じことになる。引き締め策に従事しているのと同じなんだよな。
話が変わるが、日本は90年代の間、GDPデフレターで見てデフレである。この点を無視して、金融政策やマクロ経済学者と名乗るものは、まやかしのマクロ経済学者である。そういった連中が、多すぎるのが、間接的、直接的に日本経済の歪んだ形。格差の拡大は、デフレを起点とする、それを助長するのが財政の赤字に金縛りにあった政府の政策が、産業政策、年金政策、地域政などを伴って格差拡大を広げる。
そうした観点から言えば、データーだけの診断しか出来ない、フィールドワークなき、臨床なき学者である白川に期待するほうがおかしいといえる。立場上白川がそれが出来ないというのであれば、地方の日銀職員にでも、景気の「気」がどうなっているかを見てこいという行政命令でも出せや。三文学者!!!