表は「6月の企業物価指数、6.6%下落 過去最大の下落率」日経新聞からの引用。これを見ればすぐさま分かるように、短期の経済活動で、卸売物価が下落→企業の収益が減少→役員の報酬から勤労者の平均賃金が下落→国民経済の一角を占める消費、住宅の投資、設備投資が下落→さらに卸売物価が下落→一般消費者物価が下落→対前年比あるいは対前月比の消費者物価が下落→デフレと不況が共存する景気後退への悪の循環が描けることが誰にも分かるだろう。そこで、日本国内経済の情勢を見ても「二番底」の現実的懸念があると騒がれ、失業率が5.7㌫にまで上昇した雇用の情勢を抱えるときに緩和の解除、期限付きの緩和策という「出口戦略」など納得がいく政策ではない。
以下は、ロイターの記事で、インフレ目標の議論であるが、まったく賛成であると同時に、FRBの政策担当者が全員以下のような認識を持っていることに、賛意を持つ。どこやらの国の中央銀行の頓珍漢な発言、彼らには長期のインフレやデフレは市中の通貨供給とその速度よって起こされるという「常識」さえ通じいないようである。彼らの発言には日頃呆れ返るやら、軽蔑したくなるやらであるが・・・。ま、一服の清涼剤として読んでおこう。
以下の記事にはないが、円高、円安も中央銀行の政策一つで、長期にはコントロールできるのであって、優れたマクロ経済学者の伊藤敏隆がアジアに拘るのは、インフレターゲットの共通採用によってインフレとデフレを通貨供給によって制御することによって各国のインフレ率を共通にすることである。このようなような各国の中央銀行が誘導姿勢を持つことによって、アジア各国のレートの激しい変動は、少なくとも今よりは防ぐことができるという思いがあるのではなかろうか?
とすれば、巷で騒がれ、一部の経済「学者」が唱え、鳩山由紀夫が述べているような政治的な「アジア共同体」に関連したアジア共通通貨圏などの構想は、はなはだしく危ない構想である。各国のインフレターゲットを基軸にした過激なインフレ、デフレを回避し、さらには急速な通貨安、通貨高を回避する方法があるのであるということを民主党の連中は忘れるべきではない。
[ワシントン 10日 ロイター] 米サンフランシスコ地区連銀のリサーチディレクター、ジョン・ウィリアムズ氏は10日、世界各国の中央銀行はゼロ金利政策導入後も金融政策の効果を維持するためには、インフレ目標を2%以上に設定する必要があるとの論文の内容を公開した。
ワシントンで開かれる米ブルッキングズ研究所主催の会議で発表する論文でウィリアムズ氏は、今回の金融危機のような事態に見舞われた時に、政策金利をツールとする金融政策が景気を支援する力を持つようにするには、各国中銀はインフレ目標を2─4%に設定する必要がある可能性があるとした。
金融危機が深刻化したことで、各国中銀はこぞって利下げを実施。米連邦準備理事会(FRB)も昨年12月、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.0─0.25%とし、ゼロ金利政策の導入に踏み切った。
ウィリアムズ氏は、物価調整後の実質金利水準が経済にとり意味を持つと指摘。インフレ率が1%で、借り入れ金利がゼロ%だった場合、実質的な金利はマイナス1%になるが、インフレ率が4%で借り入れ金利がゼロ%だった場合は、実質的な金利はマイナス4%となり、景気浮揚に大きく貢献するとした。
ただ、ゼロ%近辺の政策金利は金融政策を束縛する「大きな要因」となると指摘。「政策金利を2─4%ポイント追加的に引き下げることは、失業率やインフレ率を長期的な水準に早期に引き戻すことに貢献する。しかし政策金利がゼロ%にある時は、こうした措置は除外される」とした。
ウィリアムズ氏は、論文の内容は個人的な見解であり、FRBの立場を示したものではないとしている。
FRBは現在、明確なインフレ目標は設定していないが、ほぼすべてのFRBの政策担当者は、長期的なインフレ率が1.7─2.0%であることが、FRBの低インフレと雇用最大化の2つの目標達成に適切な水準との見方を共有しているとしている。
サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は6月、連邦公開市場委員会(FOMC)の多くのメンバーは、FRBの2つの目標達成には2%のインフレ目標が望ましいとの意見を持っているとし、1.5%のインフレ目標への支持を再考していると述べている。