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中小企業が年越しピンチ…貸し渋りで疲弊
2008/11/30(日) 15:49:03 | 経済
 11月29日10時14分配信 産経新聞
 世界的な金融危機による銀行の“貸し渋り”などで、年末の年越し資金を調達できない中小企業の倒産急増が懸念されている。政府は信用保証協会を活用した緊急保証制度を大幅に拡充し、中小企業の資金繰り支援を始めた。ただ、緊急保証は一時しのぎに終わる可能性が高いうえ、さらなる支援を盛り込んだ追加経済対策の裏付けとなる2次補正予算の提出が来年の通常国会に先送りされるなど政府の対応も後手に回っている。

 「夏以降、売り上げが激減している。トヨタでさえ営業利益を1兆円も下方修正する時代に中小企業はとてももたない。協会が認める保証枠はあまりにも少ない。これでは景気対策にならない」

 東京都信用保証協会の本店を訪れた自動車部品製造業者は、悲痛な叫びをもらした。

 二階俊博経済産業相も今月18日の閣議後に麻生太郎首相と国会内で会談し、「緊急保証制度の利用を求め、中小企業者が全国の信用保証協会に殺到している。保証額は1日300億円以上になっている」と中小企業の窮状を訴えた。

 10月31日から始まった制度の拡充以降、相談者が急増。二階経産相が首相と会談した前日には1日の保証額は376億円だったが、26日には4094件の融資に対して1029億円にも膨らんだ。同日までの保証総額は5514億円にまで達している。

 今年度の1次補正予算には拡充のため4000億円を計上しており、保証枠は6兆円ある。来年の通常国会に提出予定の2次補正でも同額程度を計上し、保証枠を20兆円にまで拡大する予定だ。

 仮に毎営業日ごとに1000億円の保証が実施されたとしても、200営業日ある1年間は保つ。経産省は「これだけ用意すれば、余裕をもって対応できる」(幹部)と胸を張る。

 東京商工リーチによると、10月の全国の倒産件数は1429件で、10月としては6年ぶりに1400件を上回った。倒産理由で最も増加率が高いのは「運転資金の不足」だ。

 通常の保証制度の場合、融資先の中小企業が倒産すると、融資した金融機関が信用保証協会から代位弁済してもらえる金額は債権の8割。つまり、2割は返ってこない。これに対し、緊急保証の場合は、信用保証協会が100%肩代わりしてくれるため、金融機関にとってはノーリスクで融資でき、貸し渋りの解消につながる。
 
 実際、東京都大田区の信用保証協会で緊急保証制度の利用を求めたゴム製品製造業者は「取引先の金融機関に融資を求めたら、緊急保証制度の利用を求められた」と明かした。

 もっとも、保証協会としても、まったく返済のあてのない中小企業にまでめったやたらと保証を付けるわけにはいかない。しかも、保証を受けられたとしても、自転車操業で何とか食いつなぐのが精いっぱいだ。

 ある中小企業経営者は「年末ぐらいまではなんとかいけるが、すでに10%減っている売り上げがさらに落ち込めば、再び手当が必要だ」とため息を漏らす。

 経産省幹部が胸を張るように、保証制度の充実だけで、倒産の急増を回避できるわけではない。

 その前例はある。山一証券や北海道拓殖銀行が相次いで破綻(はたん)した平成9年の金融危機で貸し渋りや貸しはがしが深刻化。政府はその翌年、今回と同様の保証制度の拡充を実施した。

 その結果、平成10年に1万8988件を記録した全国の倒産件数は11年には1万5352件にまで減った。ところが、12年には10年とほぼ同数の1万8769件にまで逆戻りした。保証制度は、倒産を先送りする程度の効果しかないのが実情だ。

 東京商工リサーチ情報部の友田信男統括部長は「前回の金融危機のころはまだ外需がよかったが、今回は内需も外需も共倒れ」と指摘し、倒産件数が一時的に減少しても、いずれ急増することは避けられないとみる。

 政府が10月にまとめた追加経済対策には、保証枠のさらなる拡充に加え、抜本的な体質強化につながる中小企業の法人税引き下げや研究開発支援、販路開拓支援なども盛り込まれたが、即効性には乏しい。しかも、一刻も早く、経営基盤の強化に取り組もうとしても、2次補正予算の国会提出が先送りされ、いつ成立するかもわからないのが実情だ。

 代わりに、与党内で高まっているのが“ばらまき”型の財政出動圧力だ。政府が8月に打ち出した緊急総合対策は「有効需要創出を主目的とした財政出動は行わない」と、財政出動を強く否定。10月の追加経済対策でも「一過性の需要創出を行うことではなく、経済の体質を転換し、日本経済の底力を発揮させる」とし、単なる“ばらまき”はやらないと表明している。

 しかし、自民党の古賀誠選対委員長が23日の岐阜市の会合で講演し、「公共事業費3%削減の枠を突破すべきではないか」と述べるなど、解散・総選挙対策への思惑から財政出動に歯止めがかからなくなる懸念が高まっている。

 財政出動には、需要創造による一定の効果は期待できるが、その恩恵は、自民党の票田である建設業者などごく一部の中小企業に限定される。

 中小企業対策を出しに自民党の既得権益を死守するため、税金が使われ、さらなる財政悪化を招いたのでは、たまったものではない。政府・与党の“迷走”が、中小企業の苦境に拍車をかけている。


 一時の融資全額の緊急信用保証であっても、中小業にとっては緊急の問題である。元々中小企業群の抱える景気は、2006年3月の量的金融緩和の解除時から更に悪化していた。それが、4月以降の急激な原油高、米国サブプライムローンの住宅価格下落を背景にローンの焦げ付き、リーマンショックなどによって、需要の大幅な減退予測による株価の急落、更にそれらによる資産価格のデフレによって、懐が寒くなるという逆資産効果が実体経済へ波及。米国の総需要の減退と住宅価格の下落、サブプライムローン証券を購入した欧州金融機関の信用収縮と住宅価格の急激な下落による総需要の減退が遠因ではあるが、主因は日本銀行の未だにゼロ金利へ、量的金融緩和へと策を打たない/打てない金融政策にもある。

 産経氏は、政府の中小企業への経済政策を「ばら撒き」と批判しているようだが、効果的な政策が他にあるのだろうか?あるのならそこを聞きたいものだが・・・・。
 
 さて、産経氏(橋下大阪府知事の日記には笑えるが)の「ばら撒き」批判の的外れさはさておき、政府が取りうる財政政策としては、現状の不振を、消費の不振と捉えるなら、消費の喚起のため消費税の圧縮案があってもいい。また地価などの下落という資産デフレによる現状の不振だと捉えるなら、資産の購入を日銀が引き受けるという政策も考えられる。現状の不振を、企業の設備投資の削減が主因だと見るなら、新規設備投資をする企業に対しての法人税の減額が策として考えられる。また海外直接投資による現地生産、現地販売が00年度より急速に増えたが、それが国内雇用の低下、果ては非正規効用の増加として結びついていると考えるなら、雇用増大策と海外現地法人の収益に対して法人税の面で比較優遇する措置も考えられる。現地生産に踏み切る企業は、ある意味日本国内の需要を見切ることと人件費の高さによる収益減ではグローバルな企業として競争出来かねるという判断に立っていると考えられる。
 
 そうであるなら、国内需要を喚起するための短期による中小企業向けの財政出動とそれを補う実質金利の低下策であるゼロ金利と長期の国債買い入れ金融政策が本筋として採られるべきである。何故なら国内需要の不足は、就業者の7割を占める中小企業就業者の所得とその限界消費性向に寄っているからである。

 現状の総需要の不足を家計の消費不足と見るなら、その原因を考えるべきであろう。一般に将来不安がある社会では、消費より貯蓄が増えるとされる。消費を増やそうにも、平均賃金の上昇がない---実際のところ実質の賃金はほとんど上昇していないとされている---ことが、将来不安と消費の不足を招いているとするなら、そのためのアイデアも政策もあるはずである。付言すると、日本の消費は傾向的に好不況に関係なく増大していたのが、リーマンショック以降、消費が減っているとの指摘が、日経紙にあったが、そのデーターの明示はなかったのが残念であるが・・・・。
 
 そして現状の円高が輸出企業=比較優産業の収益悪化を導き出していると考えるのであれば、円安誘導策が採られるべきである。無論巷のエコノミストの間で言われてるように、財務省の円安誘導によって円安になるという効果には疑問符が付くが、日銀が非不胎化策---市中から資金を吸収しない策---を採用することによって、国内通貨供給が増えることにより、インフレ、しかも望ましい程度のインフレ---異常な原油高の状態に代表される外的ショックによるコストプッシュインフレの圧力は過ぎ去り、現状は食料品以外はデフレの状態である---が齎される傾向に傾くことになる。すなわち本格的デフレの脱却を日本経済に持ち込めるチャンスでもある、といえる。
 
 金融政策がゼロ金利策までを視野に置き、長期の国債を買い入れる通貨供給の増大に踏み込まない限り、財政政策の効果は無駄な「ばら撒き」にしか過ぎなくなるだろう。企業の設備投資、住宅投資は、名目金利からインフレ率を引いた実質金利に「総量」として依存するから、上限を設けない通貨供給の量的緩和によって、穏やかなインフレに持ち込むのである。
 
 何よりも、今期の不況からの脱却のためには、金融と財政政策のポリシーミックスが求められるところである。

だがしかし、戦後世界初の量的金融緩和を不完全ながらも推進した福井俊彦前日銀総裁の発言にも見られるように・・・・。

量的緩和の復活に警戒感=福井前日銀総裁
11月30日17時0分配信 時事通信
福井俊彦前日銀総裁は30日都内で講演し、世界的な金融危機を受け、欧米諸国が実施した度重なる利下げや短期金融市場への大量資金供給について「かつての日本の量的緩和を思い起こさせる」と指摘した。その上で「金融の国境が低くなっている中で、多かれ少なかれ、日本にも影響が及んでくることは避けられない」とし、日銀が再び量的緩和政策に追い込まれる事態に警戒感を示した。
 日銀が1990年代に実施したゼロ金利政策や量的緩和政策に関しては「バブル崩壊後の後始末のためとはいえ、金融の姿としては異例な状態だった」と説明。「ようやくゼロ金利を脱したのに、10月末の利下げで政策金利は再び0.3%に低下してしまった」と述べた。
 

 このお方、量的金融緩和策が間違いであったということを言いたいのだろうが、金利の正常化は、デフレの脱却が必要で、その後、2年、3年たってから、インフレ率のほんの少しの上昇を見て、企業の設備投資のための資金需要が生まれるのであるから、金利の正常化は、デフレの脱却がなされないままの、金利の正常化策は、タイミングとして、景気の回復策安定化策としても甚だおかしな「策」であった。金融政策は、国家国民の健在生活の安定とそれによる将来の安定に寄与するためになされなければならない。日銀の安定のためや、日銀の国債を買わないというプライドを守るために存在するのでもない。
 完全なるデフレからの脱却がなされて経済状態の認識から、金利の正常化へ進むことを段階飛ばして勇み脚をしてしまったのである。このように反省もしないところが、米国のFRB議長たちの姿勢と大幅に違うところでまさしく「官僚」的無謬性に立脚しているといっていい。
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