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 高橋洋一氏、「脱藩官僚による改革会議」などの設立。さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白の上梓など、近頃大活躍ですなぁ。この新書、氏の構造改革リフレ派としての面目躍如。さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白では、財務省官僚の狡猾さがこれでもかというぐらい描かれいており官僚たちの国益ではなく省益遵守の姿が理解できた。が、高橋のリフレ派としてのマクロ経済学の披瀝は、まったくといっていいほど述べられていないかったのが、非常に残念だった。
 しかし、本著は、財務省の体質の惨さの指摘もあるが、日銀の財務省に対する対抗意識、金融政策の惨さがズバリと指摘され、明快であり、爽快感すら持てる。帯の副題に「高校一年生から財務官僚・日銀マンまでの入門書」と記されているとおり、財務官僚・日銀の「経済音痴」に対する皮肉も盛り込まれている。そういえば、民主党の大塚耕平氏も日銀マンだが、このお方も「金利」正常派ではある。噴出したくなる理屈を氏のHPで知ることが出来る。

 財政融資資金特別会計への言及、外為特別会計付いての言及、特定財源の一般財源化による所謂ガソリン税のピグー税化など、筆者も述べたかったところが、余すところ無く採り上げられている。経済成長戦略が、供給側からなされるとする、竹中路線に従い過ぎな嫌いがあるのが、難点だわな。
 
 高橋の言辞は明瞭、単純である。白川総裁の研究書など一言で終わり、「何を云っているのやらさっぱり分らん」と処理している。それでいいのだと思う。所詮日銀プロパーなどに「金利の正常化」=日銀の勝利などと考える官僚体質が巣食っているのだから、本格的な金融政策など当てには出来ないし彼らの力量ではできはしないのだ・・・・。
 インフレだ、とマスコミが盛んに喧伝しているが、70年代のような年率にして20パーセントものインフレなど起きる状況では日本経済は無い。背景には、平均陳儀の上昇があった70年代と失われた15年の昨今の平均賃金の低下状況の違いがある。
 高橋は、現状の経済の状態を、インフレだとは認識していない。DGPデフレター、コアコア消費者物価指数の低下、ユニットレイバーコスト(名目雇用者報酬/実質GDP)が全てマイナスであるから「デフレ」と認識している。これは正当な的を得た認識である。実質経済成長率が名目経済成長率を50兆円ほど上回っているのだから、明らかに「デフレ」である。そこで、金融政策は緊縮ではなく、外国から買うものが上がっているときは、資金供給によって緩和すべきと極めて標準的な経済観と金融対策を述べている。マスコミ、エコノミスト、それに踊る一般庶民の経済観は、完全に間違いなのである。その他、マクロの金融政策、変動相場制と金融、資本移動の解説、為替レートに関して、「購買力平価」の説明、マンデル・フレミングの理論の解説なども掲載されているので、下手な構造改革議論一辺倒につからず、まともな経済学に沿っているので語り口がそっけなくても、中々に手堅い読了感があった。
 高橋が師事した米国FRB議長のバーナンキの話題など新書ではあるが、リフレ政策とはいかにあるのかの疑問には十分に答えていてくれるので、関心のある向きには必読である。いや、それだからこそ、無駄な言辞を省いて簡略な説明を入れるべきところはそれに従い、短い指摘で資するところはそれに徹しているから「入門」なのだろう。
政策金利を日銀は維持することにしているが、これに賛成する民主党や共産党などの経済音痴ぶりを指摘している。大企業は、増資や社債で資金調達できる。が、中小企業、非上場の中堅気企業は、資金を借りなければ、企業運営をしがたいのは当然。
 デフレは、財・サービスの価値より貨幣の価値が高くなる。よって、企業は、中小も大企業も、コストカットで、貨幣を内部留保し、投資に向けることは避けるようになる。デフレは、名目金利は低くとも、実質金利は高くなるが故に、投資より内部留保に向かう。デフレ期に投資より貯蓄に多く振り向けられる。中小企業にとって、金利が高くなる。実質金利が高くなることは、死活問題なのである。にもかかわらず、民主党、共産党、自民党の経済音痴どもは、インフレターゲットにも反対し、経済の疲弊策へと傾いている。先の日銀総裁の同意、不同意の自民、民主を中心とした野党連中の茶番劇で、伊藤敏隆が副総裁として自民が推薦(本来は、総裁とするべき人物、欧米のまとな経済を知っている者たちなら伊藤を筆頭に人事を考えるに決まっている)。これを、馬鹿野党がこぞって不同意したのだから、金融音痴もきわまれり、だ。民主、共産は、庶民に優しくといいながら、金利を上げるというのだから、どうにかしているわけだ。これ、高橋の本著の言辞の敷衍。
 財政政策による景気対策より金融政策による景気対策の方が、景気対策としては有効性があると、マンデル・フレミングの理論から説明しているのも、激しく同意。財政政策による景気浮揚は、日本の金利が上がり、金利差から他国資本が流入してきた他国が儲かるだけで、日本は儲からないと談じている。これなんかは、壮大で、爽快な結論で、面白かった。
 日本は議院内閣制だといっているが、これなど高橋よると、官僚内閣制だと指摘しているが、国会と内閣を官僚がコントロールしているのだから官僚内閣制、官僚国会であると述べているところなど、なるほどなと思った。
 地方分権も視野に入れた言辞では、財源委譲された地方分権によって、すなわち、「改革」によって官僚権力から地方権力へ委譲されたとしても、その地方に住む住民が地方権力に「文句」を云い易くなる程度のことが実現できるだけだと達観しているのも「同意」出来る。「改革」で生活がよくなるわけではないのであって、生活がよくなるのは、その地方の住む住民がその責任においてすることにある過ぎない、わけだ。増税などの負担増や痛みや歪、激論による分裂、諍い、そして地方内「格差」を生むこともまた地方自治の結果となるのである。
 ともあれ、自民党の増税による財政再建優先派、民主党の全員の議員には是非とも本著を読んでいただきたいものである。ま、庶民の「景気」実感も沸かせられる想像力も無いし、データーから読み取れる「実感」の想像も出来ないほどの頭の悪さから、読んでも彼らの能力では理解は無理か・・・(^^)
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