主に政治と経済について、思いついたことを語ります。リンクフリー、コピーもフリー
以前のブログからの転載で~す。2005年08月22日に記述したものです。小泉さんの「構造改革無くして、景気回復なし」より、安倍さんの「経済成長無くして、財政再建なし」の財政再建手法、景気回復方法については数段優れているのですが、しかしながら、名目経済成長率が、いまだ、実質経済成長率を下回る状態らしいから、デフレの状態でありんす。いかに名目経済成長率が、財政再建において、重要な用語であるかを指し示すかを、理解するためとメモの代わりに再掲。
ドーマーの公債命題
「現代の日本もまた、シユムベーターが懸念した財政危機の脅威に直面している。日本の一般政府(中央政府、地方政府、社会保障基金)の抱える累積債務は約七〇〇兆円を超え、日本のGDPの約一四〇%に当たる巨額のものである。しかも、デフレが継続するかぎり、毎年中央政府だけで四〇兆円以上の赤字が今後も見込まれる。」経済論戦の読み方
財政危機は、ネットで見るかグロスでみるかに関わらず、「危機の状態」であるのは、多くの人が認めるところである。そこで、ドーマの公理はどういった「理論」であるかを、田中秀臣氏の経済論戦の読み方の引用から見てみたい。長文の引用になるが理解に資する範囲での引用となることをお断りしておきたい。
「その中で、「財政危機」や「財政破綻」といったシナリオがより現実性を帯びてきているのは事実である。このように政府債務比率吉DPに対する表政府の債務残高の比率が発散傾向にある主因は、端的にいえば、名目GDPがデフレによって収縮しているためであり、名目GDPの大きさと連動している税収が不足することによって、政府負債が累増せざるをえないからである。
今後も財政は維持可能なのか。政府が債務不履行に陥る懸念はあるのか。このテーマをめぐってしばしば引用されるのが、「ドーマーの公債命題」である。ドーマーの公債命題とは、「公債利子率が名目経済成長率よりも低ければ財政は破綻しない」というものだ。
このドーマーの公債命題も、シユムベーターの『租税国家の危機』と同様に、戦時公債の負担をいかに処理するかという問題意識を背景に登場したものである。シユムベーターが租税国家を危機に陥らせる構造的問題を指摘したのに対して、ドーマーはいわば、租税国家の存続が基本的に可能になる循環的視点からの条件を、前述の命題として初めて明らかにした。ドーマーの公債命題をいいかえると、「国民所得の増加が維持できれば、公債負担が増加しても財政を懸念するには当たらない」ということになる。
ドーマーの古典的著作『経済成長の理論』 (一九五七年)は、ケインズ的な発想である「総需要(消費、投資、政府支出、純輸出)が不足した不完全雇用経済」を前提にしており、この不完全雇用下での財政の維持可能性を主なテーマとして論じている。
ケインズ経済学では、短期において総供給は一定であるので、総需要の自律的な変動が景気循環を引き起こすと考えられる。不況になれば財政規模が拡大し、場合によれば財政赤字が拡大するであろう。
日本では、デフレが続いてきたが、これは総供給を総需要が下回るために生じている現象である。一般に経済規模が大きくなればなるほど、自動安定化装置(失業保険など、景気の変動に応じてその支出が変動する予算項目) の規模も大きくなる。すなわち、経済規模に応じて公債負担も増加し、あわせて名目GDPの収縮によって税収は低下すると予想される。
ドーマーは、このような経済が持続可能かどうかをいくつかの数値例で確かめようとし
図表41
式①
国領の新規発行額=政府支出一税収+(名目金利×国債発行残高)
た。そして有名なテーゼ 「公債負担の問題は国民所得拡大の問題なのである」を導き出している。これを逆にいえば、国民所得拡大に失敗すれば、公債負担の問題は深刻なものになるということである。
名目金利が成長率より大きいときが危機
このドーマーの公債命題を用いると、今日の日本経済が直面している危機的状況が把握できる。すでに深尾光洋と日本経済研究センター編の『検証 銀行危機』2003年、日本経済新開埜や岡田靖(学習院大学特別客員教授)らが、日本の財政危機の可能性について、ドーマーの公債命題を用いた分析を行っている。
ここでは岡田の定式化を利用して、簡単にその概要を紹介する。いま、国債の新規発行額は図表41に示した式①で表すことができる。
さて、国債残高で問題になる点は、その絶対的な大きさではなく、ネットで見た名目国民所得との比率である。式①を用いて簡単に導き出されたのが、次頁の図表42に示した式②である。
この中の「政府支出-税収」がプライマリーバランスと呼ばれるもので式②に
国領発行残高 ÷名目GDPの1年間の変化分=(政府支出一税収 )÷名目GDP-(名目GDPの成長率一名目金利)×国債発行残高÷名目GDP
ある。
財政再建をめぐる議論では、しばしばこのプライマリーバランスの黒字化が重視されている。しかし、式②の右辺第二項からわかるように、名目GDPの成長率が名目金利(利子率)を上回れば、プライマリーバランスにかかわらず、国債の新規発行分の名目GDP比率はある一定の値に収束する(財政危機の回避)。逆に名目GDPの成長率が名目金利を下回ると、国債の新規発行分の名目GDP比率は発散する (財政危機の到来)。
すなわち、財政危機を回避するためにきわめて重要なのは、しばしば財政再建論議で話題になるプライマリーバランスの構造的な改善よりも、名目金利と名目GDP成長率の大小関係ということになる。
今後も財政は維持可能なのか。政府が債務不履行に陥る懸念はあるのか。このテーマをめぐってしばしば引用されるのが、「ドーマーの公債命題」である。ドーマーの公債命題とは、「公債利子率が名目経済成長率よりも低ければ財政は破綻しない」というものだ。
このドーマーの公債命題も、シユムベーターの『租税国家の危機』と同様に、戦時公債の負担をいかに処理するかという問題意識を背景に登場したものである。シユムベーターが租税国家を危機に陥らせる構造的問題を指摘したのに対して、ドーマーはいわば、租税国家の存続が基本的に可能になる循環的視点からの条件を、前述の命題として初めて明らかにした。ドーマーの公債命題をいいかえると、「国民所得の増加が維持できれば、公債負担が増加しても財政を懸念するには当たらない」ということになる。
ドーマーの古典的著作『経済成長の理論』 (一九五七年)は、ケインズ的な発想である「総需要(消費、投資、政府支出、純輸出)が不足した不完全雇用経済」を前提にしており、この不完全雇用下での財政の維持可能性を主なテーマとして論じている。
ケインズ経済学では、短期において総供給は一定であるので、総需要の自律的な変動が景気循環を引き起こすと考えられる。不況になれば財政規模が拡大し、場合によれば財政赤字が拡大するであろう。
日本では、デフレが続いてきたが、これは総供給を総需要が下回るために生じている現象である。一般に経済規模が大きくなればなるほど、自動安定化装置(失業保険など、景気の変動に応じてその支出が変動する予算項目) の規模も大きくなる。すなわち、経済規模に応じて公債負担も増加し、あわせて名目GDPの収縮によって税収は低下すると予想される。
ドーマーは、このような経済が持続可能かどうかをいくつかの数値例で確かめようとし
図表41
式①
国領の新規発行額=政府支出一税収+(名目金利×国債発行残高)
た。そして有名なテーゼ 「公債負担の問題は国民所得拡大の問題なのである」を導き出している。これを逆にいえば、国民所得拡大に失敗すれば、公債負担の問題は深刻なものになるということである。
名目金利が成長率より大きいときが危機
このドーマーの公債命題を用いると、今日の日本経済が直面している危機的状況が把握できる。すでに深尾光洋と日本経済研究センター編の『検証 銀行危機』2003年、日本経済新開埜や岡田靖(学習院大学特別客員教授)らが、日本の財政危機の可能性について、ドーマーの公債命題を用いた分析を行っている。
ここでは岡田の定式化を利用して、簡単にその概要を紹介する。いま、国債の新規発行額は図表41に示した式①で表すことができる。
さて、国債残高で問題になる点は、その絶対的な大きさではなく、ネットで見た名目国民所得との比率である。式①を用いて簡単に導き出されたのが、次頁の図表42に示した式②である。
この中の「政府支出-税収」がプライマリーバランスと呼ばれるもので式②に
国領発行残高 ÷名目GDPの1年間の変化分=(政府支出一税収 )÷名目GDP-(名目GDPの成長率一名目金利)×国債発行残高÷名目GDP
ある。
財政再建をめぐる議論では、しばしばこのプライマリーバランスの黒字化が重視されている。しかし、式②の右辺第二項からわかるように、名目GDPの成長率が名目金利(利子率)を上回れば、プライマリーバランスにかかわらず、国債の新規発行分の名目GDP比率はある一定の値に収束する(財政危機の回避)。逆に名目GDPの成長率が名目金利を下回ると、国債の新規発行分の名目GDP比率は発散する (財政危機の到来)。
すなわち、財政危機を回避するためにきわめて重要なのは、しばしば財政再建論議で話題になるプライマリーバランスの構造的な改善よりも、名目金利と名目GDP成長率の大小関係ということになる。
そして、どのような国債残高の初期水準から始めても、名目金利が成長率よりも大きいときは財政危機に直面し、名目金利が成長率よりも低ければ財政破綻の危機は訪れない。もちろん現在の日本はゼロ金利であり、長期国債の利回りも歴史上まれに見る低水準である (一~二%)。
しかし他方で、名目成長率はマイナスで推移している。つまり、名目成長率よりも名目金利のほうが大きいという事態が長期的に継続しているのが、日本の現在の状況である。
日本の名目公債残高/名目GDP比が九〇年代から今日まで増加トレンドを変更しないのは、主にこの事情による。そのため、成長率の低下をもたらしているデフレが継続すれば、ドーマーの命題でいうところの財政危機の可能性が高まっていくわけである。」
「名目金利が名目経済成長率より大きいときが財政破綻」へ向かうことが理論付けられた。名目金利は周知のように、限りなく0に近く、これ以上下げることは出来ない。残された条件は名目経済の成長率を上げることだけである。それが出来なければ、どのような政策を採ろうと、「財政危機」は、「財政破綻」への道が残されているであるだろう。大きく政策レジームを変えない限り、ハイパーインフレになるとの説も非常に説得力のあるものになってしまった。
しかし他方で、名目成長率はマイナスで推移している。つまり、名目成長率よりも名目金利のほうが大きいという事態が長期的に継続しているのが、日本の現在の状況である。
日本の名目公債残高/名目GDP比が九〇年代から今日まで増加トレンドを変更しないのは、主にこの事情による。そのため、成長率の低下をもたらしているデフレが継続すれば、ドーマーの命題でいうところの財政危機の可能性が高まっていくわけである。」
「名目金利が名目経済成長率より大きいときが財政破綻」へ向かうことが理論付けられた。名目金利は周知のように、限りなく0に近く、これ以上下げることは出来ない。残された条件は名目経済の成長率を上げることだけである。それが出来なければ、どのような政策を採ろうと、「財政危機」は、「財政破綻」への道が残されているであるだろう。大きく政策レジームを変えない限り、ハイパーインフレになるとの説も非常に説得力のあるものになってしまった。
名目の経済成長は、構造性の改革だけではデフレ状況では回復は出来ない。また、公共投資だけでは、とても乗り切れるものでもないようにも思う。非伝統的な金融政策によって財政危機を脱却するという、デフレを克服するリフレ政策が、名目経済成長率を上げることが出来る。非常に大きな国債負担を、中央政府、地方公共団体、社会保障基金は抱えているわけだが、長期国債を日銀が政府から直接の引き受けをすることによって、財政の機動性は大きく増大する。(参考)
リフレ政策を採るか否かが、財政危機を克服できるかどうかの分水嶺になるということである。日銀の姿勢次第で、極端に言えば戦後初めての日本崩壊が始まるかもしれない、と言ってしまえるかもしれない。
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