主に政治と経済について、思いついたことを語ります。リンクフリー、コピーもフリー
2007年7月3日1時23分 読売新聞 の社説なのだが・・・・
堅調な景気の先行きに落とし穴はないか、しっかりと目を凝らすべき時だろう。
日銀の6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業の製造業、非製造業とも業況判断指数が前回3月短観から横ばいだった。製造業の業況判断指数は、前回、1年ぶりに悪化したが、さらに低下することなくバブル期以来の高い水準を保った。
対米輸出の鈍化や、原油をはじめとした原材料価格の上昇など悪条件もある中で、景気は粘り強く推移している。
市場では、今回の短観も材料に、日銀が今夏にも、今年2月以来の利上げに動くとの見方が強まっている。
日本の超低金利は、円で調達した資金を高金利の外貨で運用する「円キャリー取引」を増やし、円安の要因になっている。何かのきっかけで円キャリー取引の解消が急激に進めば、世界経済に混乱を招きかねないとの指摘は多い。
国際決済銀行(BIS)は、年次報告書で「最近の円安は明らかに異常」と指摘し、日銀の利上げが望ましいとの認識を示唆した。いったい、読売は、日銀にどんな要求をしたいのだろう?!金融の緩和は、デフレ脱却の必要十分な条件。物価安定目標政策が、とられることも必要十分条件。
円安は、輸出比率の高い大企業の収益にはプラスに働く一方、輸入原材料の値上がりを製品価格に転嫁しにくい中小企業には、マイナスになる面もある。今回の短観では中小企業の景況感が悪化したが、円安も響いての結果だろう。
金利が低いので、大都市圏の地価も上昇している。低金利の副作用が行き過ぎぬよう、緩やかに金利を引き上げていくことは、日本経済の安定につながる。
だが、利上げに際しては、景気の先行きを念入りに点検する必要がある。
企業の設備投資計画は、なお高水準だが、米景気の減速を受けて、ピークは過ぎたと指摘される。足元は底堅い個人消費も、国から地方への税源移譲などで6月から住民税負担が重くなった影響が懸念される。景気腰折れの恐れがないか、日銀はしっかり見極める必要がある。
全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、5月まで4か月連続で前年比マイナスを続けている。完全にデフレから脱却したとは、まだ言えない。
その中での利上げの必要性や、物価見通しと金融政策の関係についても、日銀は十分に説明しなければならない。
利上げ観測の強まりとともに、先月、市場では長期金利が一時、年2%直前まで急上昇した。長期金利の急騰は、貸出金利の上昇を通じて企業活動を冷やし、国債の利払い負担拡大で国の財政を悪化させる恐れがある。
そうした混乱を防ぐための市場との対話も、日銀の責務だ。
となれば、利上げなどもってのほかである。金利の低さによる、大都市圏の地価の上昇を防ぐため、利上げ政策を採用するなど言うことは、政策の割り当てを間違えている。
確かに1980年代後期、バブル景気の株や地価が激しく上昇した。しかし消費者物価は2から3パーセントの上昇率であり、金融緩和に走る必要もなかった。にもかかわらず、米国からの円高圧力、政策当局の金融政策の無知、あるいは不作為の金融政策により異常に低い金利政策が採られ続け、株や地価などの激しい資産上昇がファンダメンタルを離れて起きた。
バブル退治として、当時の日銀総裁、三重野は、消費者物価が3パーセント程度の上昇であったにもかかわらず、金融引き締めを行った。これを礼賛、奨励したのは、メディアの空騒ぎとこれを支えたのは一般の資産家、バブルで稼ぐものたちへの庶民のルサンチマンの直接的情動的解消が下支えになって、バブル退治政策が賞賛されたと推測する。
資産価格の異常な上昇を、どのように防ぐかは、政府の税制によるべきだった。他にも有力な方策は、さまざまにあっただろう。資産価格の異常な上昇を、取引の自由まで、縛る「土地取引総量規制」などという、おおよそ社会主義的な「統制」経済政策の執行と金融引き締め政策が、バブル崩壊とその後の長期のデフレ現象の主因であったのである。
資産価格の上昇を防ぐ手立てを、日銀の金融政策によるべきではない。
大都市圏の地価の上昇は、住宅地では、リートの収益性悪化で、下落があるのではないかと予想されている。この予想も、日銀の利上げを予測して、リートより高収益な海外投資信託、あるいは、他の債権市場に流れるのではないかと予想されている。
朝日新聞2007年7/3の記事に掲載されているが、ある専門家の見立てによるとリートからの投資家の逃避によって、都心マンションの下落から資産バブルの崩壊が始まるとしている。
投資家から集めた金銭で、不動産を購入し、貸して得た家賃を分配するリートという不動産信託は証券市場で取引されている。日銀が政策金利を上げると、より利回りのいい金融商品に乗り換えようとこうした不動産信託を手放す動きが出る。こうなってくると、リートやファンドは、これまで高値で買ってきた都心のビルを売らざるを得なくなってくて、地価の下落が始まる。「オフィス需要は、まだある。バブルの崩壊は、需要が頭落ちの都心マンションから始まるでしょう。それは年内にもあると思います。」 不動産鑑定士の大手「三友システムアプレイザル」の井上明義社長によって説得力を持って述べられている。
こうした副次的要因だけではなく、マンションの購入資金調達のための金融引き締めによってローンの金利も上がるであろう。となれば、購入予定者も減ることになり、「需要」が減少するのは、経済学の教える「基本」である。
景気の拡大は、マスメディアによって喧伝されているが、所得税の定率減税の廃止と地方に税源委譲による住民に対する負担増により、また、消費の落ち込みに、拍車がかかることは、明白である。読売の社説子は、このことも織り込んでの「説」だとは到底思えないの、だ。
これでは「経済」の読売の復活は、いまだ遠いかとしなければならないな。
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