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梅が咲き出し、春が近いと思わせる風情となった今日このごろ。桜が咲くのが待ち遠しい季節。政界や経済界は内外の混乱の中、混迷を深めて行く最中。
政府が日銀総裁の人事案を提出。それに対しての各社の社説、読み比べ。批評してやってください。相変わらずの「理論」、「思想」無き社説群であります。
政府が日銀総裁の人事案を提出。それに対しての各社の社説、読み比べ。批評してやってください。相変わらずの「理論」、「思想」無き社説群であります。
社説:日銀総裁人事 混乱回避に向け適切な判断を
政府が日銀の総裁に武藤敏郎副総裁を昇格させる人事案を提出した。衆参両院がそれぞれの議運委で金融政策などについて見解をただした後、衆参本会議で採決する。参院で与野党が逆転するなかで、民主党の対応がカギを握っている。
武藤氏は、財務省の事務次官から日銀入りした。副総裁には白川方明京都大大学院教授、伊藤隆敏東京大大学院教授の2人を示した。白川氏は元日銀理事で、伊藤氏は政府の経済財政諮問会議の民間メンバーだ。
福井俊彦総裁は、総裁として最後の金融政策決定会合を終えた。在任中、量的緩和で金融不安の拡大を抑え、景気回復を受け金融機能の正常化をめざした。
金利水準は正常化という点からはまだまだ不十分だ。しかし、米国の住宅バブル崩壊という外的要因も働いている。福井総裁の下での政策運営については、おおむね妥当というのが大方の評価だろう。
日銀総裁は、日本経済の運営という点で国民に大きな責任を負っている。一方、国際的には日本の金融政策運営の代表者としての「顔」の役割も担っている。
福井総裁と共に政策運営に携わった武藤氏は、後継総裁として安定感があり、国際的にも通用する人事といっていい。
民主党内では財務省出身という点で武藤氏に対する反対論が根強いようだ。しかし、日銀法改正で日銀の独立性が担保され、さらに金融庁の誕生で、かつての大蔵省と今の財務省は役割が違っている。そうした点も考慮すべきだろう。
今回の人事は衆参のねじれの下、衆院で再可決する仕組みがない国会同意案件の審議の進め方について、新ルールを定めて以降、最初のケースとなる。
与野党は実際には、この1カ月近く、武藤氏の昇格を軸に水面下の駆け引きを続けてきた。だが、民主党も小沢一郎代表の真意がどこにあるのか、党内からも疑心暗鬼が募るほどで調整が難航している。
福田康夫首相ら政府・与党側も民主党の動向が読み切れず、時間切れが迫って一種のかけに出たというのが実相だろう。
新年度予算案の衆院通過を急ぎ、民主党の態度を硬化させた政府・与党の調整ぶりもほめられたものではない。しかし、本来、内閣に任命権がある総裁人事を民主党が覆すとすれば大きな責任を持つことになる。
なぜ、財務省出身者ではだめなのか。武藤氏の所信聴取などを通じ、説得力のある説明ができないと、国民の批判は民主党に向かうことになるだろう。
福井総裁の任期は19日で、残された時間は多くない。金融市場は動揺が続いており、日銀総裁が空席という事態は避けるべきだ。与野党は共に重い責任を負っており、それにふさわしい対応を望みたい。
毎日新聞 2008年3月8日 0時12分
日銀総裁人事 「財金分離」は理由にならない(3月8日付・読売社説)
与野党は国会同意の手続きに沿い、早期に日銀の正副総裁人事を決着させるべきだ。
政府が、人事案をようやく国会に提示した。福井俊彦総裁らの任期が切れる19日まで、あとわずかだ。
政府の人事案では、元財務次官の武藤敏郎副総裁を総裁に昇格させる。副総裁には元日銀理事の白川方明・京大教授と、経済財政諮問会議議員の伊藤隆敏・東大教授を起用する。
武藤氏は、ここ5年間、福井総裁を支えて金融政策に携わった経験や、経済界、政界に広い人脈を持つ点が評価されている。金融政策理論に明るい白川氏、国際派の経済学者である伊藤氏が、新総裁を補佐する体制だ。
日銀の正副総裁の任命には、衆参両院の同意が不可欠だ。参院第1党の民主党が反対すれば、人事案は白紙に戻る。そのまま任期が切れれば、総裁が空席になる。
そうなれば、米国の「サブプライムローン」問題で金融市場が動揺し、世界経済の不透明感が増している中で、日銀の政策運営に重大な支障が出る。日本政府への国際的な信認の低下も必至だ。
民主党内には、財政政策と金融政策を分ける「財金分離」の観点から、財務省出身である武藤氏の起用に反対する意見が根強い。
「財金分離」は、本来、旧大蔵省から銀行監督など金融行政を切り離す時に使われた言葉だ。
それを民主党は違う意味で使っている。財務省出身者が総裁になっては、日銀に求められる政府からの独立性が損なわれる心配がある、という趣旨なのだろう。
だが、財政当局の出身者が中央銀行のトップに就くのは、世界でも珍しいことではない。
日銀総裁にまず求められる資質は、経済・金融全般にわたる知見と、あるべき政策を判断し、対外的に説明する能力だ。出身母体や経歴よりも、中央銀行の司令塔としての職責を忠実に果たせる人物かどうかが重要なのだ。
今回の人事をきっかけに、国会は、主要な同意人事の採決前に、政府が提示した候補者から所信を聴くルールを作った。11日に衆参両院がそれぞれ聴取する。
民主党をはじめとする野党は、その結果も踏まえ、冷静に人物本位の判断を下すべきだ。
国会では、来年度予算案の参院での審議入りをめぐって与野党対立が続いている。だが、日銀総裁人事は、それとは完全に切り離して扱うのが、国民生活の安定に責任を負う政治の役目である。
(2008年3月8日01時31分 読売新聞)
日銀総裁人事―民主に問われる大局判断 朝日新聞
任期切れまで10日あまりとなって、次の日本銀行総裁を選ぶ手続きがようやく動き出した。政府が国会に示したのは副総裁の武藤敏郎氏だ。
参院で多数を握る民主党が反対すれば、この人事は流れてしまう。当分の間、日本の中央銀行のトップが不在になるという異例の事態になる。福田首相はそれを承知でカケに出た形だ。
この人事には国際的な関心も集まっている。もし挫折すれば、内外で福田政権がこうむる痛手は計り知れない。民主党も、対応次第では政権をうかがう党としての評価を地に落としかねない。与野党ともに正念場である。
武藤氏は、財務次官を戦後最長の2年半も務めた。銀行行政を担当したこともあり、バランス感覚と政界での人脈の広さに定評がある。弱みといえば、国際金融の経験が少ないことだろうか。
副総裁になって5年。福井俊彦総裁を忠実に補佐するイメージが強く、古巣の財務省や政治家の「意向」を感じさせる動き方はしなかった。日銀内部や金融市場では早くから次期総裁と目されてきた。「極めて順当な人選」というのが政府の考え方だろう。
焦点は民主党の対応だ。党内に根強い反対論は、おもに「財政と金融の分離」を理由にしている。武藤氏が財務省出身であることを問題にしているのだ。
「財政と金融の分離」は、バブル経済を生んだ反省から語られるようになった。金利の上げ下げを判断する金融政策が、財政当局や与党の意向に振り回されてゆがんではならない。つまり、日銀は政治の思惑から「分離」され、独立していなければならないというわけだ。
まったくその通りなのだが、独立を守れるかどうかは総裁の出自だけで決まるわけではない。欧米でも、財務省出身者が中央銀行トップに就くのは珍しくない。政治や財政の風圧を受けつつも、通貨の安定を守り抜く信念と実行力があるのかどうか。結局は、総裁候補の人物と能力から判断するしかないのだ。
今回の人事案は、与野党対立で国会が空転する最悪のタイミングで示された。
政府・与党は「日銀総裁の空白は絶対に許されない」といいながら、衆院で予算案などの採決を強行してこんな状況にしてしまった。わざわざ野党を刺激したセンスを疑わざるを得ない。
案の定、民主党の幹部からは採決強行を理由に「武藤氏を受け入れることは100%なくなった」との声が聞かれたが、これも行きすぎた発言だ。国会運営や政局で与党との駆け引きが大事なのは理解できるが、中央銀行のトップ人事をそうした思惑だけから考えるのは控えるべきだ。
同意しないのなら、それに値する理由を示さねばならない。せっかく与野党で合意し、総裁候補から所信を聞く仕組みを作った国会だ。じっくり吟味して、大局に立った結論を出してもらいたい
社説1 「武藤総裁」の適否、新ルールで議論急げ(3/8) 日経新聞
政府は19日で任期が切れる日銀の福井俊彦総裁の後任に武藤敏郎副総裁を昇格させ、新しい副総裁に白川方明元日銀理事と伊藤隆敏東大教授を起用する人事案を国会に提示した。国会は来週、政府の人事案に同意するかどうかの手続きに入る。
サブプライム問題をきっかけに市場が動揺し、景気の先行きに懸念が出ている折である。総裁空席となる事態を回避するため与野党とも最大限の努力を尽くしてもらいたい。
日銀総裁などの国会同意人事は、今回から与野党が合意した新ルールが適用される。衆参両院の議院運営委員会で総裁・副総裁候補から所信を聴取し、各党が質疑を行った上で、同意案件が衆参両院本会議に上程される手続きになった。所信聴取と質疑は11日に行われる。与党は14日の衆参両院本会議で国会の同意を取り付けたいとしている。
元財務次官の武藤氏に対しては「財政・金融の分離」の立場から民主党内に根強い異論がある。民主党は参院第一党であり、参院は野党が多数だから、参院が不同意なら「武藤総裁」は実現しない。日銀総裁人事が早期に決着するかどうかは民主党の対応にかかっている。
民主党が財金分離の原則にこだわるのは、かつての超低金利政策のように金融政策がしばしば財政政策の都合によってゆがめられてきたと見ているからだ。武藤氏が財務省主計畑出身の実力次官であったことは間違いない。その半面、武藤氏は福井総裁の下で5年間副総裁を務め、金融政策の知識や経験を積んできたことも否定できない事実だろう。
武藤氏にとって国会の新ルールは大きなチャンスでもある。議運委の所信聴取と質疑の場で、5年間の経験を踏まえて中央銀行トップとしての決意と覚悟をわかりやすく語り、民主党の疑問や疑念を解く努力を傾注してもらいたい。
民主党も財務省出身だからダメという単純な判断ではなく、武藤氏の所信をじっくり聞いた上で適切な判断をすべきだ。武藤氏に不同意ならその理由は何かをわかりやすく示してもらいたい。参院第一党としての責任が問われていることを忘れてはならない。民主党の判断に大きな影響を与えそうな武藤氏への質疑は非公開である。できるだけ速やかに議事録を公開することが望ましい。
「武藤総裁」案を提示した福田康夫首相の責任も重大である。民主党の理解を得るために党首会談を呼びかけるなど積極的に行動すべきだ。日銀総裁人事の早期決着は与野党に課せられた政治の責任である。
産経新聞 主張
政府は次期日銀総裁に元財務事務次官の武藤敏郎副総裁を昇格させる人事案を国会に提示した。民主党は「武藤総裁」には反対の姿勢で、野党が多数の参院で同意が得られなければ、総裁ポストに空席が生じかねない。
そのリスクを抱えながら、福田康夫首相は「政府としてベストの案」の提示を決断した。自らの責任で決着させる意思の表明として評価したい。
民主党はこの問題を政争の具にすべきではない。独立性と中立性が求められる日銀総裁の人事を政局の駆け引きに利用している限り、参院第一党としての国政の責任は果たせない。
昨年の参院選勝利を「新しい民意」と強調したいあまり、反対のための反対を貫くなら暴論だ。執行部も一時は与野党合意を考えたのではないか。政府案受け入れの方向について、ぎりぎりまで党内調整を進めてほしい。
人事案は武藤氏のほか2人の副総裁候補に元日銀理事の白川方明京大大学院教授、経済財政諮問会議民間議員の伊藤隆敏東大大学院教授を提示した。財務省と日銀、学界の出身者を織り交ぜ、バランスに配慮した形だ。
民主党は次期総裁について、財政と金融政策を分ける「財金分離」が確保できるかどうかを判断材料にすると主張している。しかし、大事なのは政策決定の政治からの独立である。出身省庁と総裁としての資質を混同すべきではない。
世界の金融市場は非常に脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。米国の低所得者向けの高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の余波で、株価や為替の動揺が続いているからだ。日本経済も平成14年からの戦後最長の景気拡大局面が終わりかねない岐路にある。財務省が発表した19年10~12月期の法人企業統計調査でも、企業の設備投資の低迷が明らかになった。
与野党対立を背景に総裁が20日以降、空席になる事態が起きれば、金融市場は政治と日銀の機能不全と受け止め、日本に対する世界の信認は大きく低下しかねない。市場の不安感はますます増幅されるだろう。
国会は早急に総裁人事を決着させる責務を負っている。事態打開に向けて、福田首相と小沢一郎民主党代表との党首会談も開くべきだ。
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