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政府は7日午後、日銀の福井俊彦総裁(72)の後任に元財務次官の武藤敏郎副総裁(64)を充てる新たな正副総裁の人事案を国会に提示した。

 2人の副総裁には、元日銀理事の白川方明(まさあき)・京大教授(58)と経済財政諮問会議議員の伊藤隆敏・東大教授(57)の起用を提案した。

 正副総裁の任命には衆参両院の同意が必要で、19日の任期切れを控え、政府・与党は14日までに衆参両院の本会議で人事案への同意を得たい考えだ。だが、参院の同意のカギを握る民主党は武藤氏の昇格に同意しない構えで、決着までは曲折が予想される。(2008年3月7日13時56分 読売新聞)

やあっと、日銀総裁の人事案が出された格好である。武藤の金融政策については、ほとんど知らない。白川方明(まさあき)は、金融政策論議の争点―日銀批判とその反論において、彼自身の金融政策論を「『量的金融緩和』採用後一年間の経験」として述べているのだが、これがリフレ策には、手堅い検証を進めながら真っ向から反対しているお方。
 伊藤隆敏は、インフレターゲットを物価安定目標としてその導入を進めているお方。金融政策論議の争点―日銀批判とその反論では、小宮隆太郎の論説をインフレターゲット論の観点から批判している。物価安定目標を掲げるから、インフレ期待に働きかける金融政策を唱えると思われる。単なる量的金融緩和ではなく、中央銀行が自らの責任範囲を明らかにし、且つそれをルールとして明らかにする政策を採るのが持論であるお方。筆者としては、財政赤字でもある中、日銀法を改正して国債の直接引き受けを付け足してもらいたいのだが・・・・。
 自民党からこの伊藤隆敏の名前が掲げられるということは、単なる人事案ではないということを理解していない民主党の小沢や他の取り巻き連中の経済観より、遥かに現状の経済状態が解かっているということだといえる。
 但し、武藤は、副総裁の時期に福井総裁とほぼ同じ金利政策を採っていたということを前提に考えると福田政権のみならず、自民党内でも、福井の金利上昇政策を是認していることになる。であるから、武藤を総裁にする人事案を提出したことになる。とすれば、福田政権には、金融政策に対する対する認識、日本の経済状態の疲弊度についてあまりにも楽観的過ぎるマクロ経済認識が支配していることになる。武藤総裁の人事案は政権与党として、デフレ脱却の方法の誤謬、福井総裁の任命、その福井の就任当初の量的金融緩和の増額とインフレターゲットもどきの策をとったが、中途の福井のコメントに代表されるようにマネタリーベースのルールを放棄した言説、物価安定目標政策を自分から否定する発言、あまりに早すぎるその解除、など与党としての経済政策責任は重かったという自責の念がほとんど見られないことの立証ともなっていることもなる。そこで、福井を補佐した副総裁は二人いる武藤と岩田一政である。岩田一政は、金融政策論議の争点―日銀批判とその反論に収録されている「デフレスパイラルの可能性」を見る限り、金融緩和論者物価安定目標政策論者である。単純な金利上昇論者ではない。副総裁を昇格させるという人事案であれば、武藤ではなく、岩田副総裁であってもいいではないか、採用できる策である。そうした意味でも、政府、自民党は政権与党として経済失政の責任を負うべきであろう。
 
 翻って、野党の側を見れば、社民的政策は、財源の規模によって成立する。財源の創出は、税収増によるか、財政の削減によって切り回すか以外の方法は無い。社会民主の政策を採るなら、その政策を担保できるだけの財源が必要である。特別会計の「埋蔵金」の発掘、実質稼動していない特殊法人などの解体だけでは、フローである財政収支の改善は困難である。 財源の確保は、その税制において社民的な税制にするのは勿論だが、名目の経済成長率を上昇させることが必要な条件である。その点について全く持って鈍く、危機感があまりに希薄である。
 
 民主党と名乗るなら社会保障の財源として財政の規模が大きくならなければならない。しかしながら、名目経済成長率は、一向に上昇していない現状を抱える。税収の伸び悩みは、ここにある。民主の小沢に論戦として対決する自民党の元幹事長中川秀直は、これを良く知っている。 であるから、民主党側は、財政の規模を現状以上のものにし、社会保障、産業振興策、派遣労働、非正規社員、また、失業率の低下を目指す策をとらなければならない。そのためには、日銀の新規発行の国債を引き受けていくという奇策ではあるが社民政策を財源から担保する非伝統的な政策によって、財源の創出策を自民党にそして、国民側にぶつけるべきなのである。
 その意味での武藤総裁人事案に不同意なら理解できるが、それさえないのだから政策についての「思想」を持っていないということになる。これでは、自民党の成長路線の中川の論戦の相手にもならんわいな。政争の具という政治的な争いなどという「高級」な事態ではなく、両者の政策「理論」、政策「思想」不在による争いでしかないことになる。
 
 

人事案は、7日午後1時に国会内で開かれた、衆参両院の議院運営委員長と自民、民主両党の議運委筆頭理事による「議院運営委員会両院合同代表者会議」で町村官房長官が提示した。11日には、衆参の議運委が開かれ、公開で正副総裁候補から所信を聴取した後、非公開で質疑を行う。

 武藤氏は2000年6月に大蔵次官に就任し、省庁再編に伴って初代財務次官となり、03年3月から日銀副総裁を務めている。政府は世界的な金融不安への懸念が増す中、実務経験が豊富な武藤氏は金融政策のかじ取り役にふさわしいと判断している。

 副総裁候補の白川氏は日銀で金融政策の立案などを長く担当し、国際的な知名度も高い。学界出身の伊藤氏は旧大蔵省(現財務省)副財務官に起用されるなど国際派として知られる。

 町村長官は7日午前の閣議後の記者会見で「我々としてはベストだと思って示す。候補者からの意見聴取やそれぞれの党の議論を通じ、最善だという判断に到達していただけると期待し、確信もしている」と述べ、民主党の同意に強い期待を示した。

 一方、民主党の山岡賢次国会対策委員長は7日朝、町村長官に電話し、「武藤氏では党内は難しい」と伝えた。町村長官は「そこを何とかお願いできないか」と述べた。民主党は最終的な対応を、小沢代表や鳩山幹事長、輿石東参院議員会長ら幹部12人による国会役員会で決定する。

 党内は、財政政策と金融政策を分ける「財金分離」の立場から、財務省出身の武藤氏の昇格に反対する声がある。共産、社民両党は武藤氏昇格に反対する意向で、民主党が反対すれば、人事案は参院で否決されることになる。

 一方で、民主党内には「人事案に反対すれば、総裁が空席となる。批判を受けないように棄権し、事実上、武藤氏昇格を容認するしかない」との声もあり、最終的な対応は不透明だ。
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