で、採り上げる一人目は、原田泰氏。この人のマクロの経済学的知見は、金融政策に対して理論的で筆者にはよく理解できる範囲に属するが、この人の見方によると、「賃金は増えず、労働時間を増やしたから所得が増えた状況。高揚感がないから実感がない景気回復が続いている。しかし、賃金が上がって高揚感が持てるようになると、今度は雇用が減る」と分析。「アメリカ景気、中国景気の影響もあるが、安定した賃金の中で雇用が増え、消費が増える基本的メカニズムはしっかりしているので、高揚感のない景気拡大が数年続く」としている。http://news.livedoor.com/article/detail/2940257/
原田の分析は、極めて単純化すると需要を齎すのは、失業率の低下であり、これが4パーセントでやや低めで定位しているので、その分、総需要に貢献する。そこで、原田の著作「日本の「大停滞」が終わる日 」では、彼のモデルから試算したところによると、他の外からのショック、経済成長に対する障害が無ければ、失業率の1パーセント低下は、経済成長率に5パーセント程度の寄与があるとしている。景気回復は、実質の経済成長率の増加だから、日銀の金利の上げが無ければ、これは続くだろうということだ。景気回復の実感は実質の所得の増減に依存する。
賃金の下方硬直性、労働分配率の平行移動によって定位安定であるから、高揚感の無い、実感の少ない景気回復は続くと言うわけだ。
二人目は、小泉内閣の下で“竹中チーム”のメンバーを務めた木村剛氏、である。うーん、この方は構造改革主義で、がんがん官僚批判をしている。挙句は、日本を社会主義だとして非難している。木村剛節が唸りきっているなぁ。それはそれで、スカッとしていいのだろうが、マクロ経済の安定には、中央銀行の金融政策の重要性を過小評価しているので、筆者にはどうもついていけない要素が大きい。政治的な官僚「構造」の批判 は必要条件だが、しかしながら、デフレの脱却、景気の回復、インフレの抑制、財政再建の方法などは、「構造」変換だけで、達成できるものではない。「構造」変換だけで十分条件を満たさないからである。
社会主義でも、規制のあまりに多い、中国の驚異的な経済成長は、「社会主義」的市場主義で達成されているのではないか? 中国が発展途上国的経済で、固定相場制であり、「先進」国では、変動相場制である以外に相違はあるのか?固定相場と変動相場の差は、構造の差ではあるが、マネーの循環の差がマクロの経済では、大きいのではないのか?
木村の主張で同意できるのは「デフレ経済が続いており、業績が良いのは一部の企業だけというのであれば、それも分かる。しかし実態は、いざなぎ景気を超える長期間の景気回復を達成している。勢いは、いざなぎ景気ほどないにせよ、世の中全体が良い方向に向かっていることは事実」と木村の「構造」改革への強い意思、かな。構造改革は、極めて生産性の低すぎる農業に、こそ適用されすべきだと思うが、その辺はどうよ、木村さん。http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070110-00000000-nkbp-bus_all.html
で、三人目に採り上げるのは、TVでも活躍中の森卓、こと森永卓郎氏だ。この人、趣味とか個人的な事柄では、視聴者にコケにされる言動をしてる様だけど、ミクロの経済ではなくマクロ経済では、なかなかに卓見を持つ人である。
安倍政権の政局的見方が述べられているが、政局は一瞬先は闇だ。個人的願望と公的願望が屈曲するから、さらに読みにくい。
それはそれとして、景気回復の動向は、日銀の金融引き締めが左右するというのが結論のようだ。
日銀の総裁に、竹中平蔵がつくなど言う言辞は、ん、と思ってしまうことが述べられている。その構想は、面白いとは思う。
というのも、竹中は、供給側の構造改革主義者だが、インフレターゲッティング論者でもあり、また量的金融緩和の支持者でもあるという論理的には一貫しない不思議な存在なのでもあるが、竹中が日銀の総裁につけば、法学部的思考が強い福井のような時間軸効果という捏造した論理?で、日銀官僚に丸め込まれていまうことは無いだろう、とも思う。ま、竹中の強引さ、牽強付会してもほとんど意に介さない性格が、政策として好転する方向に導くことになるのだろう。勉強不足の福井よりは、ましな金融政策が採用される可能性は大きくあると思うが、その実現はどうかなぁ?。http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/news/070104_morinaga/index.html
マクロの経済の日本の明日はどっち、だ(^ム^)?!