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ウイルスは弱毒性、米もWHOも冷静対応目立つ新型インフル
 【ワシントン=山田哲朗、ジュネーブ=平本秀樹】新型インフルエンザの感染例が最初に見つかってから3週間以上たつ米国では、ウイルスの毒性が弱いとわかってきたこともあり、冷静な対応が目立っている。


 米政府は国内感染者が20人になった4月26日、「非常事態」を宣言したが、国民に大きな動揺は見られなかった。米ハーバード大が5月8日に発表した電話調査では、「1年以内に家族が感染する懸念はない」と予測した人が61%に上り、米国内の楽観的なムードを反映した。

 米疾病対策センター(CDC)は1日、疑わしい生徒が見つかった学校に14日間の休校を勧告。一時700校が休校したが、ウイルスが「弱毒性」であることがはっきりしたことを受け、休校勧告は6日に撤回され、大半の学校が再開した。

 世界保健機関(WHO)も、国民生活や経済活動を過度に制約する対策を勧めていない。警戒水準については最高の「フェーズ6」への引き上げを検討しているが、渡航制限や国境閉鎖は引き続き行わないよう各国に要請する方針だ。

 シルビ・ブリアン・インフルエンザ対策部長代理は8日、空港での水際対策の限界を指摘。軽症者がほとんどという「実態」に「対策」を合わせるべきだと述べ、「封じ込め」より感染の早期発見、早期治療の方が重要になるとの見解を示した。

(2009年5月9日22時38分 読売新聞)

 この騒動もウイルスの正体が分らずに不安の増幅が起きている面もある。騒ぎも分らないではないが、昨年9月リーマンショック以来の世界同時不況の方が、実態に対して影響ははるかに大きいだろう、と思う。
 
 もっとも、主要国が金融安定化のための諸策を実施、大規模な財政出動と激しい金融緩和による大量の流動性供給と中央銀行の民間銀行を介さない直接ローン、社債の買取などに走り出したので、29年の「世界恐慌」ほどの巨大な落ち込みはないと思う。景気のリセッションは、これからであるが、国政が間違った方向や消極的な出動、緩和の方法を誤らなければリッセションの傷は小さくて済む。実体経済、企業所得、生産、雇用の悪化はこれからである。輸出産業のトヨタが最高益から転落し巨額な赤字記録、家電も巨額な赤字を出した。
 
 米国株価、日本の株価も9000台に乗った。株価は景気の先行指標であるから、この上昇は、景気の底打ちを示す指標の一つだ。これから、金融危機、下手な原油の上昇、などショックが無ければ、株価は上昇するだろう。実体経済の回復はまだまだ先だが、失業率はおそらく米国では10パーセントまで上昇、日本では5、5㌫ほどになるともいわれている。

 昨年9月から本年09年5月という期間は短いな。ほんとに大不況かよ、騒ぎすぎではと思っている人もいるかもしれない。景気の底割れを財政出動と金融緩和で、防いでいるから、この程度の不況、景気のリセッションで収まっている。
 
 米国では29年から33年までにデフレ率25%、失業率が3%から25%になったということであるから、国民所得は大雑把に計算して、3/4には縮小したことになる。当時の米国では、地方の銀行の多くは、取り付け騒ぎ多くがつ潰れ、債務デフレから借金を負っていた地方の農家、自営業者は多くは返済に困り、困窮し、自殺者も多かったといわれている。

 日本では、当時は、民政党浜口雄幸は、田中内閣の外交に批判的だった。政友会、田中義一内閣が張作霖爆殺事件の対処を巡って辞任。その後元老の西園寺公望の指名によって、浜口が天皇に総理を任命される。29年7月、国民の圧倒的支持を背景に政党本格内閣を組織。浜口内閣が出来るまでは、1914から18年の第一次世界での戦争特需によって日本は輸出を大きく伸ばし、株価は大きく上昇した。特需によって成金が生まれ、景気の活況に沸いていた。17年の貿易収支は20億弱の輸出、輸入は、21億強の輸入で、貿易赤字ではあったが、その額は1億8600万であった。これが、19年以降、輸入超は植民地もあわせて41億8000万円となった。18年に戦争終結。戦争特需は萎み、資金需要の停滞特需を背景にした過剰な資金貸し込みによる不良債権の増大から金融恐慌が起きる。全国で取り付け騒ぎが起き、これを緊急の公的資本注入などで、当時の井上準之助日銀総裁は迅速に金融危機に対処した。1923年に関東大震災。東京、横浜では、多数の死傷者、負傷者がでることとなる。経済をいっそう冷え込ませ、不況を長引かせた。
 
 輸入超過、戦争特需の終息による不況を生産側の怠慢に人々や浜口政府が求めた。今後の産業政策の基本方向として、「国家の調整」による無駄な乱費、過剰な重複を整理し「産業組織の現代化」と実現し、その上で、「主要産業」を建設して、「国家生産力の根底」固めることが必要とした。生産力を強固にするためには、今は緊縮整理が、具体的には財政緊縮と公債発行の削減、財界整理が必要だとした。こうした緊縮政策と旧平価での金本位制への復帰準備は、不況下での円高政策と金融引締め策を必要とした。政策的に、不況を日本経済に持ち込むこととなった。デフレ率は10%ほどに下落、デフレと不況が共存する深刻な不況へと落ち込んだ。
 
 デフレは、借金を抱える者、債務者には一層の不利になる。何故なら、実質の金利が、デフレによって、その率の分だけ増えるからである。借財をする動機は二つほどあるだろうか、一つは恒常的債務者、後は一つは設備投資に積極的な借財である。後者には、流動性の確保からの借財と支払能力の不足によるそれがある。設備投資、また、流動性の確保としての借財は、積極的、果断な判断が必要とされ、ケインズが資本主義に必要な精神であるアニマルスピリットの持ち主が多い。(無論、筆者のような下々の者には、そのスピリットも無いし、またそのような設備投資に躍起となる「自惚れた」者たちとの付き合いも御免ではあるが・・・。)設備投資をしようとする環境は、どういった具合のものだろうか?巷が、景気に沸いているときであろう。この好況の経済状態を概ね予想インフレ率というと考えていいと思う。つまりインフレ率がある程度高ければ、実質金利は下がるのである。よって、投資者にとっての実質の金利負担は、デフレより下がることとなる。インフレ時には、積極的な設備投資、店舗展開のための借財は、負担が減ることになる。デフレ時には借財は、その名目の率よりデフレ率の分だけ重くなることになる。この現象は、デフレ時だけでなく、景気後退期、不況期にも見られる現象だが、しかしながら、デフレは債務解消が、債務の維持より、企業や積極的に起業しようとすることより「儲かる」ことに繋がる。よって、企業の工場、店舗などは、稼働率を低下させるか、あるいは人員を減らすか、さらに賃金を減らすか、またそれの同時並行的な策を選択することになるだろう。よって雇用の収縮を齎す。
 
そうなれば、不景気、活況を呈していない経済社会を認識した経済主体で、負債を負っているものは、債務を返済する方に走り、金融機関の利潤は減り、また、流動性の危機から支払い能力の危機へと陥った負債者は倒産、破産し不良資産を金融機関は抱えることになる。銀行の側は、不景気を背景に融資に慎重になり、貸し渋りに繋がることなる。信用収縮の始まりであり、不況への突入のステージが出来上がることになる。
 
 当時は農業就業が圧倒的に多く、その比率は就業者の8割ほどであったとされる。東北の農業就業者には、不作も重なって、所得不足から娘を売りに出す者もいたという。都会では物が売れなくなり、失業者も溢れたといわれる。浜口内閣(外交的には優れた功績と慧眼に満ちていた、この次期で非戦条約を締結したのであるから、政治家としては「国際」的な慧眼に満ちていたといえる。)は、井上準之助大蔵大臣の下、緊縮財政、旧平価での金解禁(宿願の金本位制への復帰のため)の準備のため金融引締めへとのめりこんでいった。 

 これがデフレ率10数㌫を伴った不況である「政策」的に引き起こされた昭和恐慌である。
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