政府が緊急雇用対策を決定、09年度末までに10万人の雇用創出・下支え
[東京 23日 ロイター] 政府は23日午前、緊急雇用対策本部(本部長:鳩山由紀夫首相)の第2回会合を開き、緊急雇用対策を決定した。貧困・困窮者や新卒者に対する支援に重点を置くとともに、緊急雇用創出事業の前倒しや緊急人材育成支援事業の新規開拓などで2009年度末までに10万人程度の雇用創出・下支え効果を見込む。今回の対策は既存施策の前倒しなど運用改善によって対応するもので、政府では現段階で新たな予算措置は必要ないとしている。
緊急雇用対策は、雇用情勢について「依然として厳しい状況にあり、今後悪化する懸念がある」との基本認識に立ち、1)情勢に即応した機動的な対応、2)貧困・困窮者、新卒者への支援を最優先すること、3)雇用創造に本格的に取り組むこと──に焦点をあてた。
内容は、貧困・困窮者支援として「今年の年末・年始に貧困・困窮者が再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにする」ことを目標に、「緊急支援アクションプラン」を展開。1つの窓口で雇用、住居、生活支援などの相談・手続きを可能とする「ワンストップ・サービス」の提供や「緊急人材育成支援事業」の訓練メニュー・実施者の新規開拓、住居を失った人に対する「住まい対策」などを実施。新卒者支援については、就職支援態勢の強化や「就活支援キャンペーン」を展開する。
また、緊急支援として、雇用調整助成金の支給要件の緩和や、臨時国会に提出する「中小企業金融円滑化措置法案」を通じた雇用安定のための施策の策定なども明記した。
さらに、介護、グリーン(農林、環境・エネルギー、観光)、地域社会の3つを成長分野と位置づけ、働きながら資格取得や職業能力の向上が実現できることなどを盛り込んだ「緊急雇用創造プログラム」を推進する。
こうした一連の施策を実行するため、労働界、産業界など各界のリーダーや有識者との意見交換と合意形成を行う「雇用戦略対話」を11月にも設置。来年早々に、関係自治体も含めて地域単位で対策を推進するための「地域雇用戦略会議」を設置する方針だ。
失業率の高止まり、有効求人倍率の下落、新規雇用率の大きな下落が、世界同時不況による外需の不足と日本経済固有の課題である90年代から続くデフレ現象による長期の内需不足によって酷い状態となっている。よって政策の目標はとてもよいが、政府の政策が効果があるかマクロ経済としては大いなる疑問がある。おおきな目で見れば、失業率、有効求人倍率、新規求人倍率は労働需要と供給とその価格によって決定されるからだ。
労働需要が、大きくなるのは、基本的に経済が大きくなるときである。自律的に経済が大きくなっていくなどという兆候が見られない(景気の悪化が底打ちしたとはいえ、経済水準が低い)のに、財政政政策、金融政策の緩和が不足しているのだから経済の大きさが縮小する。そのような情勢のとき雇用政策単独での効果に期待通りの効果があるかはかなりの疑問を抱くのは当然である。