日本国政府がどれだけ借金しても絶対に日本は倒産しないと言うことのサルでも分かる説明
基本的には大まかに賛成の記事なんだけど、かなり荒っぽいなぁとはおおざっぱな筆者でも思う。財政の破綻問題で、よく引き合いに出されるのが、ドーマの定理である。筆者のようなものでも知っているのだから、マクロの経済の「常識」なのかもしれないが、長期の国債の名目金利が、名目の経済成長率を上回り続けると破綻の危機があるという定理である。ただし、いつ破綻するかは、この条件下では分からない。
名目金利は、国債の金利で、国債の残高に対する名目の利子率である。政府の税収は税率が一定ならば名目経済成長率分増えることになる。この増加分を補填していけばいいということになる。毎年の名目成長率がプラスであり続ければ、財政破綻は長期で見ればそれほど不安視しなくてもいいということである。
しかし、地方債も合わせて1000兆円もある国債、地方債償還を考えたとき、税収だけで返却していくというのもかなり妙な話である。国債償還は、現役世代へ若い者たちへの付けの繰り延べである。それだけではなく、税収とは違った方法で徴収がされる年金や健康保険も若い者たちの負担が増えることになる。
バブル崩壊後の90年代からほとんど経済成長はない。平均して1%ぐらいのことである。これはOECD諸国の中でも最低の水準である。これでは、所得の増加も望めず、家計か企業のどちらかへの再分配方法しか行財政議論の俎上に上がらず、国債地方債の償還もままならないこと、年金や健康保険の負担率も高くなるのは当然のことである。一般に欧州は高負担、高福祉であるといわれ、米国は低負担、低福祉であるといわれるが、そこには隠された前提がある。90年代以降の経済成長率、つまり国民所得の伸び率がほとんどない国と3%程の成長率がある国とを比較して年金などを含めた負担と福祉の議論をしているに過ぎないと考えるべきである。