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 学校のバウチャー制が、新聞紙面をにぎわせている。バウチャー制は、ミルトンフリードマンが69年あたりから唱えた「新自由主義」の経済理論だとされる。政府が配分することになる補助金を、配分する先を消費者にする制度である。学校の分野では、補助金を券の形で、家庭と言う消費者に配り、学校選択の時にそれを学校側に渡すのである。このようにすることで、学校が、そのバウチャー(補助金)の獲得を目指して、生徒獲得競争に動き、競争が始まる。その結果、いい学校と負ける学校とに分けられるシステムに資するという新自由主義の市場構築の方法である。ことの是非は、ともかく、バウチャーについて「自由主義」の立場に立つ「経済」紙が、バウチャーに再考を求める記事が掲載されていたので、掲載。
 

義務教育再生   新首相と改革派教育長

学校選択制は ○ 、バウチャー制は×   

 いかにすれば、わが子を私立有名小学校、有名中学に入学させることができるか。先鞭をつけた『プレジデント』誌は昨年11月、この分野に時化した『プレジデントファミリー』を創刊、「品切れ店続出」と言う。かく一言う小誌も7月8日号「学校カ」は大きな反響をいただいた。 サラリーマンが「小中モノ」に熱中する背景には、言うまでもなく、公立小中学枚に対する深い絶望がある。イジメ、不登校、校内暴力。私立への「逃避」は、親にすれば、わが子を守る自己防衛策である。 だがしかし、公立の小中学校は全国に2・8万校、教師64万人。この広大な教育資源を丸ごと″諦めて″しまっていいのだろうか。

 公立小中学枚を″再生″すれば、国民規模での学力水準の底上げに直結し、「格差」拡大への歯止めの一つにもなるはずである。もちろん、サラリーマンの懐も大いに助かる。 安倍晋三新首相もそこに着目した。著書『美しい国へ』 によれば、義務教育「再生」 のための武器は、「学枚選択制」と「バウチャー制」だ。従来、公立の小中学枚は市町村が指定する学校に入学するしかなかったが、2000年度から保護者が学校を選択できるようになった。

 だが、現在、選択制を採用している市町村は1割足らず。この選択制を徹底させるべく、選ばれた学校に予算をつけるのが、バウチャー制だ。 バウチャーとは利用券のこと。教育予算は教員数を基準に割り振られているが、そうではなく、生徒一人ひとりにバウチャーを持たせる。つまり、生徒数を基準に予算を配分することで公立学枚の競争を促し、選別淘汰するのが、新首相の戦略だ。 はたして、絵に描いたような成果が上がるのか。少なくとも、選択制に関するかぎり、その効用を実証してみせた人物がいる。東京・品川区教育委員会の若月秀夫教育長である。世間の風に当てる 品川区は教育界の熱い視線を一身に集めている。00年度、全国に先駆けて学校選択制を導入し、小学校に「教科担当」を新設。この4月、小中一貫、4・3・2制の公立校「日野学園」を開校した。この改革の立役者が若月さんだ。 戦後60年、教師はサボっていたか。いや、それなりに頑張った。にもかかわらず、結果が出ないのは、なぜなのか。若月さんの出発点である。「学校は皿の上に載ったコーヒーカップ。皿が緩衝材になって、世間では当たり前のことが当たり前として受け止められてこなかった」。ならば、世間の風に直接、当てる。公立といえども、選ばれる存在になる。それが選択制の導入である。 教員たちからは大反発が湧き起こる。「教育に競争の原理を持ち込むとは、若月は教育を破壊する気か」。若月さんは反発を心から喜んだ。「核心に触れた。当たった」。 ただし、周到だったのは、選択制導入に先立って、「結果」の出し方を率先垂範、自ら示してみせたことだ。44歳、教育委員会から小学校の校長に転出したときのこと。若月さんは、「学校教育の管理」とは何か、という問題と格闘した。周りの校長先生たちは「たまに授業を巡回すればいいんですよ」と言う。そんな″管理″で、結果が出るはずはない。 悩み抜いて、品川区に本社を置くソニーの門をたたき、民間の管理職セミナーに足を運んだ。そして、はたと思い当たった。企業の管理とは「入るを量って出るを制す」。結果が思わしくなければ、投入する資本の配分を再調整する。これである。

 しかし、学校における「資本」とは何か。カネ=予算は校長の自由にならない。若月さんが発見した「資本」は、「時数」=授業時間だった。 授業時間は、小学5年なら国語で年間210時間と文部科学省が定めている。だが、若月さんは教師に言った。「180時間で各工部数えなさい。30人の学級で8人が水準未連なら、30時間は8人に集中しなさい。その間、22人は私が見よう」。「教科担当」、「個に応じた指導」や4・3・2制につながる手法である。選んだ側の責任 若月さんは言う。「選択制は格差を拡大させる、と学者は言う。しかし、導入しようがしまいが、格差は厳然とあるんですよ。格差を白日の下にさらすことで、ギャップを埋めるインセンティブが働く。選択制によって、まず管理職が変わった」。一つの改革は次の改革につながっていく。選択制を導入したら、保護者たちから「何を基準に学校を選んだらいいのか」という声が上がった。そこで、近隣の有識者からなる「外部評価者制度」を設け、独自の「学力定着度調査」も実施した。すると、テストの結果が悪い中学側は「そもそも小学校の教え方に問題あり」と言い始める。それなら、と決断したのが、小中一貰制だ。一貫制の日野学園には、私学合格を蹴って入学する生徒が出た。「公立が私学から子供を奪い返した」初の快挙である。 選択制を推進する若月さんは、しかし、安倍首相が提案するもう一つのツール、バウチヤー制には必ずしも賛成ではない。生徒数で予算が分配されれば、生徒の争奪戦が勃発する。生徒の後ろにいる保護者は、はっきりと言ってしまえば、点数主義一辺倒。教育は結果を出さねばならないが、その結果が、点数だけでいいはずはない。心の「強さ」「豊かさ」も育てていく。品川区が「学力テスト」ではなく、「学力定着度調査」としたのも、その合意だろう。 

 若月さんは、いったん選んだ学校を保護者が変更することを認めない。「選んだ側にも責任がある。あなたが思うような学枚になるように協力してください」。学校づくりに参加してこそ、保護者の評価眼も本物になる。家庭教育を放棄した、「あなた任せ」の保護者の評価(=生徒数になる)を絶対化していいか。それが若月さんの思いだろう。 当初、現場から″専制君主″と恐れられた若月さんは、実は、現場主主義者である。「(バウチャー制でなくても)学校の努力はきちんと見れる。経常費はそのままだが、努力した学校にはプラスアルファ。アルファが全然ない学校もある」。現場のやる気を引き出すには、プラスアルファで十分なのだ。「品川区がやっていることも一つの方便。要は、管理職と教員の考え方を変えること。地域によってそれぞれ適合する方法論があると思う。」 最も成功した企業モデル=トヨタの秘密は、現場の知恵を極限まで活用することだ。方便″に振り回され、現場の知恵を根こそぎにしてしまったら、元も子もない。 新首相が決断を下すのは、教育現場の声にじっくり耳を傾けてからでも遅くはあるまい。   (シニアライター‥梅沢正邦)

 

 
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