[ベルリン 4日 ロイター]
早過ぎる刺激措置の撤回、回復頓挫の恐れ=IMF専務理
国際通貨基金(IMF)のストラスカーン専務理事は4日、世界経済は深い落ち込みから浮上しつつあるものの、今後の回復の歩みは遅く、早過ぎる景気刺激措置の巻き戻しは回復を頓挫させる恐れがあるとの認識を示した。
また、失業の増加に対する懸念を示した。将来的な成長を減速させる可能性があるとしたほか、失業増によってもたらされる社会的な影響が「一段と気掛かり」との見方を示した。
専務理事は講演用原稿で「早過ぎる景気刺激策の巻き戻しは、成長や失業に著しい影響を与える可能性があり、回復を頓挫させる危険をはらんでいる」とし、「したがって、成長が根付き失業が減少し始めることが明確に示されるまでは出口戦略を実施すべきではない」と述べた。
政策担当者が出口戦略の策定を行うのに現在は適切な時期とする一方で、実施時期の決定には「慎重過ぎるぐらい慎重になる」よう求めた。
また報酬慣行規制などの銀行システムの問題に対する取り組みについて、金融市場の改善が気の緩みを招いているとの懸念を示した。
「金融業界における報酬制度改革の推進に向け断固行動しなければならない。金融セクターが危機から回復するにつれて、『これまでどおり』という考え方が(改革の)大きな前進を阻害するかもしれないと懸念している」とし、この問題は週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で協議されるだろうと述べた。
準備通貨としてのドルの役割については、危機の最中にドルの価値が上昇したことで無類の安全資産としての地位が示されたと述べたほか、ドルの代替となる通貨については、今後数カ月ではなく数十年間かけて決定される問題との見方を示した。
ロイターの記事からだけどが、巷のエコノミストが抜かしているのとは違って、更なる緩和策ではない緩和の解除を示す「出口戦略」の拙速を指摘する適切な発言である。
物価上昇率を見るのは当然なのだが、失業率や求人倍率などの雇用情勢を眺めない、また実質と名目の成長率を見ない金融政策など有害でさえある。
週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の日銀の対応と民主党の金融政策に対する姿勢には注目すべきである。