内閣府と財務省が22日発表した7~9月期の法人企業景気予測調査によると、自社の景況感を示す景況判断指数は、大企業(全産業)がプラス10・5と、前回調査(4~6月期)より8・7ポイント上昇し、3四半期ぶりに改善した。
大企業の景況感は、製造業は情報通信機械や鉄鋼業、非製造業は小売業や卸売業の良さが目立った。国内需要が堅調なためとみられ、内閣府は「企業部門は好調さを持続しており、景気の回復基調に変わりはない」と分析している。
中堅企業(全産業)は4・7ポイント改善してプラス3・2と4四半期ぶりに改善し、中小企業(全産業)も5・5ポイント改善してマイナス12・4と、3四半期ぶりで改善した。
(読売新聞) - 9月22日
景気の回復というほどではないだろうと思う。未だに中小企業は、マイナス12・4なのだから、デフレの脱却は、コスト・プッシュ・インフレの分を差し引いた消費者物価指数(CPI)の上昇と金融機関の企業にたいする貸付が、上昇しなければ、内需が柱になった景気回復とは言い切れ無いのだろうと、私的には判断する。
今現在の「景気回復」は、デフレによって、デフレの状態でも,いやデフレの不況であったからこそ、余裕のある企業部門、家計部門が存在し、またそうでない者たちとの「格差」が広がったのである。 その余裕は、企業部門ではリストラ、勤労者に生産性を過剰に求め、家計では消費の切りつめを伴った「合理」的思考によるものだが、ただ、企業にとっては投資に見合った利益が見込めない経済状態、家計では、流動性の選好がより強く意識され貯蓄に向かう経済状態がデフレの圧力である。したがって、余裕のある家計部門、余裕のある企業では、インフレである状況とは違って、デフレの経済状態では、流動性の選好が、消費や投資より強く、企業内には未投資の内部留保が退蔵され、家計部門では、消費より貯蓄が選好されることになる。その退蔵された流動性、内部留保した資金が投資資金に回っている状態、企業部門で投資がされている状態なのだと読むべきである。経営者が予想する設備投資から得られる将来の収益が予想が、低ければ設備投資は控えられるであろう。資金を借りてまで、設備投資の意欲が強まること、雇用を増やすことが、まず持って必要となる。そのために、期待実質金利が低下するだけでなく、デフレの状態が続くようなベースマネーの削減政策は、避けなければならないのである。
企業の資金需要による「景気回復」でもなく、本格的な「景気回復」の前段階の「景気回復」だと推測する。
このような判断に立てば、デフレから完全に脱却し、本格的「景気回復」に向かっているという景気回復の現在進行形の指標としては、金融機関の企業への資金供与が、デフレへ突入する前の時期にまで回復する必要がある。
左の図は、戦前のデフレ期の高橋是清の日銀の国債引受前後の金融機関の資金供与のデータであるが、これを診れば、デフレ脱却から、金融機関の資金供与が上昇するのは、当時で3~4年がかかったのである。デフレ脱却の状況にあるなどといえるのかどうか、はなはだ疑問であり、その過渡期であるとしか言えないのでは、と思う。
はてさて、日本経済の明日はどっちだ。