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読む政治:増税か、上げ潮か 自民、消費税論議が本格化
◇与謝野氏「責任政党の道筋を」/中川秀氏「打順は歳出減が先」
「山中(貞則・元自民党税制調査会長)さんが、『今日から消費税の議論をする。全員落選の覚悟で議論しろ』と言ったのが忘れられない。それで選挙に敗北したが、責任政党として道筋をつけないと」(与謝野馨・党税調小委員長、5月15日)
「増税の前にもっと無駄をなくせ、というのが多くの国民の声だ。論争は激しくなるが、政治生命を惜しんでは戦いはできない」(中川秀直・元幹事長、5月31日)
与謝野氏と中川氏の発言に引っ張られるように自民党内の消費税論議が熱くなっている。福田康夫首相はバランスをとりながら両氏に頼る場面も多く、消費税へのスタンスは明らかでない。議論の行方によっては、政界再編という形で政策論争の域を超える可能性もはらんでいる。毎日新聞 2008年6月2日 東京朝刊
「政調会長から我々に早く指令を出したほうがいい。早く議論しないと間に合わない」
5月16日、与謝野氏は党本部で谷垣禎一政調会長に、通常なら秋に始まる党税制調査会の論議を前倒しすべきだと迫った。
第3次小泉改造内閣で経済財政担当相だった与謝野氏と財務相だった谷垣氏は、「増税は避けられない」とタッグを組んだ仲だ。
谷垣氏は与謝野氏に同調し、28日夕、国会図書館で、「インナー」と呼ばれる津島雄二党税調会長や与謝野氏ら税調幹部による非公式会合が開かれた。会合では、6月下旬の総会で税制論議を始めることを決め、実質的な税制論議が始まった。
与謝野氏は30日午後官邸を訪れた。名目は高齢者総合支援策を首相に説明するためだ。
首相は報告に満足し、「あまり財源にとらわれずに、しっかり議論して、やれることをやろう」と声をかけた。
与謝野氏は「税制も少し絡むわけで、党税調を早めにやらなきゃいけない」と畳みかけ、首相は「道路財源の一般財源化もある。時間もかかるから早めにやった方がいい」と、税制論議の前倒しにお墨付きを与えた。
消費税率引き上げ論には理由がある。09年度から基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に上げることが決まっており、消費税の1%相当分(約2兆3000億円)が必要。国の借金は地方、中央を合わせて800兆円に及び、少子高齢社会で、切り詰めても社会保障費が上がる。
さらに首相が公約した来年度からの道路特定財源の一般財源化は、「税制抜本改革の中で実現する」と閣議決定された。今年度中に税制抜本改革に道筋をつけることを意味し、首相は避けて通れないのだ。
◆
一方、中川氏が繰り返し説くのは「打撃順位論」だ。財政再建の手順として(1)デフレ克服(2)国の資産圧縮(3)歳出削減(4)霞が関制度改革--を挙げ、増税は「5番バッター」。増税の前にやるべきことはあるという。中川氏が国家公務員制度改革基本法案の成立に向けて首相の背中を押しているのも、この文脈だ。
河野太郎衆院議員、山本一太参院議員ら自民党の両院議員19人が名を連ねる勉強会「プロジェクト日本復活」が30日、党本部で記者会見を開いた。
経済成長の5%達成を目指すことを柱とした政策提言の内容は、「上げ潮派」の中川氏の持論と重なる。顧問を務める竹中平蔵慶応大教授は「財政再建のために歳出削減をやる。義務的経費を削る。先に増税した国はすべて失敗している」と、自信たっぷりに増税論を一蹴(いっしゅう)した。
◆
政治は純粋政策論だけでは動かない。その最たるものが増税論議で、政治家は表向き「選挙に負けるから消費税率引き上げに反対だ」とは言わない。
その「声なき声」が与謝野、中川両氏のどちらに流れていくか。税調幹部の一人は「与謝野さんの主張は理解できるが、増税を打ち出すなら下野を覚悟しないとならない」と話す。
◇政界再編の対立軸に
「党総裁を出している派閥の人間が、あんなに政界再編に踏み込んだことを言ったらいかん」
4月30日夜、森喜朗元首相は会食した町村派の若手議員らに、「側近中の側近」と言われた中川氏に対する怒りをぶちまけた。
その前日、中川氏は都内の街頭演説で「行政の無駄を省くべきだという派と、行政の無駄はもうないという派の対立が秋に始まるような予感がする。この戦いの結果、政界再編が起こるかもしれない」と訴えたのだ。
ある中堅議員は「中川さんが民主党議員と頻繁に連絡を取り合っている。衆院選の前に民主、公明、そして自民を割って、という腹じゃないか」との見方を示した。
昨年11月の大連立政局で透けて見えたのは、「オール与党で国民が嫌う消費税率アップに手を付けよう」という試みだった。中川氏の再編イメージははっきりしないが、消費税は対立軸としては分かりやすい。
小泉内閣で閣議決定した「骨太の方針2006」は、社会保障費の抑制(5年間で1・1兆円)や公共事業費の3%削減など、「上げ潮派」が重視する歳出削減の流れに沿った内容だ。中川氏には、この方針は、小泉純一郎元首相と二人三脚で作り上げたとの強い自負がある。
1年間で2200億円の社会保障費抑制策に対して、党内では「医療が崩壊する」(尾辻秀久参院議員会長)と反発が強まっている。
5月29日の町村派の幹部会で、中川氏は抑制策維持を主張し、「小泉改革を転換するということは衆院解散・総選挙を覚悟することだ」とまで言い切った。
社会保障費抑制の方針を撤回すれば、財政規律が緩み、支出が増える。カバーするための消費税率引き上げにつながり、小泉改革に反するという理屈だ。
今後、政府の社会保障国民会議中間報告、骨太の方針08、概算要求、党税制改革大綱、来年度予算案などに関する議論が続く。
その中で、7月の北海道洞爺湖サミット後に取りざたされる内閣改造の顔ぶれも、消費税論議を占う材料になる。党税調幹部の一人は「人事の行方を見なければ、議論を進めにくい」と話す。首相にとって路線を規定しかねない与謝野、中川両氏の処遇は難しい。【三沢耕平、近藤大介】
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