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 ネット上で興味深かった記事があった。覚書的引用。深尾 光洋の金融経済を読み解く生産誘発係数と投資乗数の違いが内容なんだけどが、これが面白かった。特に、輸出の額が、国内での需要に貢献するといってみれば、当然のことなんだが、深尾は支出、分配、生産の三面等価の原理という基本使って、さらりと「係数」まで出している。この辺に、非凡さを感じる。
「次に家計への消費財の販売が301兆円である。この金額には家計が購入した輸入品を含む食料品、衣料品、耐久消費財、サービスなどが含まれている。総投資の130兆円は、日本株式会社による設備投資や在庫投資の金額と、家計による住宅投資、政府による公共投資や在庫投資が含まれている。日本株式会社は行政サービスも生産していると仮定されているので、政府はこのサービスを86兆円購入している。さらに日本株式会社は57兆円輸出している。以上の取引に含まれていた輸入品を54兆円差し引くと、売り上げの中の国内生産額は959兆円である。

 「産業」を縦に読むとコスト構造が分かる。中間財の投入が439兆円、賃金俸給の支払いが276兆円である。「資本費用、利潤等」は、減価償却費を差し引く前の営業利益にほぼ相当する。縦の列を合計すると総生産コストと利潤の合計になり、生産額である959兆円に一致する。

 生産額から中間投入を差し引いた520兆円が、表の右に出っ張った部分の最終需要である。これは需要面から見た国内総生産(GDP)に相当する。これに対し、日本株式会社の粗付加価値総額(減価償却を含む付加価値額)が表の下に出っ張った部分であり、同じく生産額959兆円から中間投入439兆円を差し引いた520兆円となる。これが生産面から見たGDPである。この金額は雇用者所得と資本費用・利潤等の合計に等しく、これが分配面から見たGDP である。この3つが等しくなることが三面等価の原理である。」

 で、これ以上にうなずけたのが、投入係数の導出。
「乗数効果は消費刺激を考慮

 先の産業連関分析は、特定の最終需要が増加した場合の生産額の増加を見たものである。例えば輸出が1億円増加すると、最終需要の増加は三面等価の原理から、同額の付加価値を生み出す。他の最終需要項目は変化しないと仮定しているので、付加価値の増加も1億円止まりである。しかし現実には、賃金や利潤などから構成される付加価値が1億円増加すれば、所得の増加を経験した家計は支出を増やす。これがケインズの指摘した乗数効果である。所得と消費の関係に関する実証分析から、最終需要が1億円増えると、消費支出は0.6倍程度増加する。実際、GDPの520兆円に対して消費は301兆円で、マクロの消費性向は0.579となっている。最終需要をF、消費をC、政府消費をG、総投資をI 、輸出をE、輸入をMと置くと、

 F =C +I +G +E -M

となる。ここで消費Cが付加価値Vの0.579倍だと仮定すると次の式が成立する。

 F =0.579 ×V + I +G +E -M

さらに三面等価の原理からF=Vとなるので、両辺を整理して次の式が成立する。

 F =(I +G + E -M)/( 1 -0.579)

  = 2.375×(I + G +E -M)

この式から、例えば輸出Eが1億円増加すると、最終需要はその2.375倍増加する。
これがかなり面白かった。需要という意味でのケインズは、死んではいないことが、「基本」から示されたことになる。(^^♪もっとも、短期での経済を見るときの指標なんだが・・・。
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